腕が上がらない!四十肩・五十肩?!

Image

とても寒い日が続いていますね。
早くも春の訪れが待ち遠しい今日この頃、皆様いかがお過ごしですか?
さて今月の【健康づくりWEBかわら版】をお届けします!


腕が上がらない!四十肩・五十肩?!


四十肩・五十肩をご存知ですか?肩の関節の痛みのため腕が上がらなくなる症状の総称で、40代、50代に発生しやすいことから四十肩・五十肩と呼ばれています。皆さんの職場に肩が痛くて悩んでいる方はいらっしゃいませんか?
そこで今回は『四十肩・五十肩』に関するお話です。


四十肩・五十肩って何?


「肩関節」と聞いた時にどの部分を思い浮かべますか?日本人では首の付け根から肩甲骨の周りまでを「肩」と認識している方が少なくありませんが、医学的に「肩関節」と呼ばれる関節は肩甲骨と上腕(二の腕)の接合部分を指しています。この肩関節自体あるいは肩関節の周囲の筋肉や靭帯などの軟部組織と呼ばれる部分に炎症などが起こり、主に腕を動かしたときに痛みを感じる症状の総称が「四十肩・五十肩」です。

I'm an image

四十肩・五十肩の種類


冒頭に記載しましたが、四十肩・五十肩とは「肩関節の周囲が痛む症状」の総称で、肩の痛みを発生させる疾病が複数存在します。
具体的な疾病例は以下のとおりです。

 

肩関節腱板炎
肩関節には腕を上げる際に働く【腱板】と呼ばれるインナーマッスル(筋肉)が付着しています。加齢とともにこのインナーマッスルが摩耗して炎症を起こした状態が肩関節腱板炎です(単に腱板損傷ともいわれる場合もあります)。この肩関節腱板炎は四十肩・五十肩の中でも大きな割合を占めているといわれています。

肩峰下滑液包炎(けんぽうかかつえきほうえん)
肩関節の動きの自由度を担保するために筋肉と骨の間には、第2肩関節と呼ばれる肩峰下滑液包という袋が存在しています。この袋の中には滑液とよばれる液体が入っていて、肩関節の複雑な動きに対応する仕組みになっています。この肩峰下滑液包が何らかの原因で炎症を起こした状態を指します。
肩の痛みに加えて腕のだるさや夜間の痛み(夜間痛といいます)が発生する場合もあり、腕を横に上げたときに痛みを感じやすくなります。

上腕二頭筋長頭腱炎
もっともメジャーな筋肉!といっても過言ではない、二の腕の力こぶをつくる時に固くなる筋肉が上腕二頭筋です。この上腕二頭筋の腱は上腕骨の通り道(結節間溝)を通って肩関節に付着しています。この通り道である上腕骨と上腕二頭筋の腱がこすれて炎症を起こした状態を上腕二頭筋長頭腱炎といいます。主に、腕を上げたり、ひねったりするとズキっとした痛みを感じます。

これらの疾病のほかにも、烏口突起炎(うこうとっきえん)、不安定性肩関節炎、石灰化沈着腱板炎などの疾病が原因となり痛みが発生している状態がいわゆる四十肩・五十肩といわれます。

 


どんな症状が起こるの?


四十肩・五十肩によくみられる症状とは、腕を上げたときに痛みを感じるケースが多く、その他にも腕を横に上げると痛むケースなどがあります。また、時間の経過とともに痛くて腕を腰の後ろに回せない、髪を結べない、夜中に肩の痛みで目が覚めるなどの症状も発生するケースがあります。ひどくなると、一日中、じっとしていても肩関節がうずくなどの症状を訴える方もいます。
I'm an image

セルフチェックポイントと痛みがある際の対応


「あれ?なんだか肩が痛むぞ」と思ったときに以下のようなチェックをしてみてください。

  1. バンザイした時に肩が痛む
  2. 肩が痛くて腰の後ろで両手を組めない
  3. 肩が痛くて後頭部で両手を組めない(髪が結えない)
  4. 就寝時、肩を下にして寝ると痛む
  5. 就寝時、肩が痛くて寝がえりできない
  6. 上着の脱着で肩関節が痛む

このような姿勢をとった際に肩関節がズキっと痛む場合は、整形外科への受診をおすすめいたします。
炎症を鎮めるための内服や運動療法などを継続して行うことで、より早期に痛みが治まるといわれています。
また、痛みを長期間放置してしまうと、関節が固くなり(拘縮といいます)、バンザイなどの姿勢ができなくなってしまうケースもあるため、早期発見・早期治療が肝要です。

 


最後に・・・


年齢を重ねるにつれ、加齢による筋力の低下や関節の可動性が低下するという変化が起こりやすくなります。このような加齢に伴う変化により、四十肩・五十肩は発生しやすくなります。
特に、普段デスクワークが多く、慢性的な肩こりなどをお持ちの方は要注意です。
肩こりは肩甲骨の可動性(動き)が低下していることが多く、肩甲骨の動きの低下は肩関節の可動性の低下へと連鎖して、四十肩・五十肩を起こす要因の一つとなります。
普段から、意識して肩甲骨を動かしたり首や肩関節周りのストレッチをしたり、あるいはインナーマッスルが弱らないようトレーニングをしておくことが有効な予防対策であるといえます。

 

理学療法士 T

Image
※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成いたしました。
 
  • 標準整形外科学 医学書院
  • 整形外科学 医学書院

PDF版はこちら 【2019年2月】健康づくりかわら版.pdf をダウンロード


一般財団法人日本予防医学協会
HP https://www.jpm1960.org/
本メールマガジンに掲載された記事を許可なく転載することを禁じます。
Copyright (c) The Association for Preventive Medicine of Japan.
All rights reserved.


PAGE TOP

メインメニュー