湯船でゆったりバスタイム♪に潜む危険とは…?!

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明けましておめでとうございます。
本年もかわら版のご愛読をよろしくお願いいたします。
皆さんは年末年始をいかがお過ごしになりましたか?
おみくじの結果はどうであれ、今年も充実した1年にしていきましょう。
さて今月の【健康づくりWEBかわら版】をお届けします!


湯船でゆったりバスタイム♪に潜む危険とは…?!


寒い季節、お風呂や温泉はリラックスできる癒しの時間でもありますね。一方、入浴中の事故は年間約1万件以上もあり、全体の約5割が冬季に発生しているという報告があります。これは入浴前後で血圧が急激に変化しヒートショックと呼ばれる状態になることが原因の一つとして挙げられています。
そこで今回は『ヒートショック』に関するお話です。


ヒートショックとは


ヒートショックとは、急激な「温度差」によって血圧が大きく変化するために起こる健康障害のことで、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす原因となります。

 

そして、寒い季節の入浴時は、血圧が次のように変動します。

 
  1. 寒い脱衣所で衣服を脱ぐと血管が収縮し、血圧が上昇(⤴)
  2. 寒い浴室へ入ると、さらに血圧が上昇(⤴)
  3. 浴槽に入り肩まで湯につかると心臓へ水圧がかかり、さらに 血圧が上昇(⤴)
  4. 熱めの湯に入ると交感神経が緊張し、血圧が急激に上昇 (⤴⤴)
  5. 体が温まると血管が拡張し、血圧が急激に下降(⤵)
  6. 浴槽から上がると水圧がなくなり、血圧がさらに下降(⤵)
 

このように温度に影響され、短時間で血圧が大きく変動していることがわかります。寒い季節、浴室はとても注意が必要な場所であることを認識しておくことが大切です。

 

 

 

特にヒートショックの影響を受けやすい人は次の通りです。

 
  • 65歳以上の高齢者
  • 糖尿病、高血圧、脂質異常症など動脈硬化の原因となる疾患がある
  • 飲酒後に入浴する
  • 42度以上の熱い湯に10分以上浸かる

できていますか?入浴時のヒートショック対策


入浴中の事故は高齢者が多いということは既にご承知かと思いますが、実は持病がなく普段元気な人でも死亡する事故が起きています。
消費者庁が55歳以上の男女を対象に行った調査(平成27年12月)によると、約1割の方が入浴中にのぼせたり、意識を失ってヒヤリとしたことがあると回答していました。比較的若い年齢の方も、ヒートショックによる危険を認識する必要があります。
また、寒い日に「シャワー又は浴槽の蓋を開けて浴室を暖めている」と回答した人は32%、「暖房機で浴室を暖めている」と回答した人は22%と少ない状況でした。そして、安全な入浴方法として推奨されている「41度以下で10分以内に上がる」を守っている人は42%にとどまっています。
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予防するためのポイント


入浴中の事故を防ぐために、消費者庁は次の5点について注意を呼びかけています。
 

1. 入浴前に脱衣所や浴室を暖める
鳥肌が立つほど寒い脱衣所や浴室から湯に浸かることがないよう、暖房器具などで温めておきましょう。
また、浴槽内に湯を入れる際はシャワーで給湯して蒸気を立てたり、湯沸かし器の場合は、浴槽の湯が沸いた段階でかき混ぜて蒸気を立て、蓋を外しておくと室温が上昇します。
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2. 湯温は41度以下、長湯はNG
熱いお湯に長時間浸かりのぼせてしまい意識障害が起こると、体温が上昇し熱中症になる恐れがあります。
湯に浸かる時間は“10分以内”、浴槽の湯は41度以下が目安です。また、浸かる範囲は心臓への負担を避けるため、胸の下辺りまでにしましょう。半身浴も長時間の入浴の場合は体温が上昇する恐れがあるので、注意が必要です。
お風呂上りのポカポカ感を実感したい方は、入浴剤を利用することをお勧めします。
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3. 浴槽から急に立ち上がらない
浴槽から上がるとき、立ちくらみを経験した方も多いかと思いますが、それは「のぼせた」だけでなく、血圧の変化が関係している可能性もあります。
浴槽から急に立ち上がるとそれまでかかっていた水圧がなくなり圧迫されていた血管が一気に拡張します。そのため、脳に行く血液が減って貧血状態に陥り、一過性の意識障害を起こしやすくなります。
浴槽から出る時は、手すりや浴槽のへりを使って体を支えながら、ゆっくり立ち上がるようにしましょう。

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4. アルコールが抜けるまで、また、食後すぐの入浴は控える
飲酒直後の入浴は脱水症状や血圧の急激な上昇で、身体への負担が大きいため、アルコールが抜けるまでは入浴しないようにしましょう。
高齢者では、食後に血圧が下がりすぎる食後低血圧により失神しやすくなる場合があるので、食後すぐの入浴も避けた方が良いです。さらに、体調が悪い時や睡眠薬等の服用後、気温が低下する早朝や深夜の入浴にも注意が必要です。
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5. 入浴する前に同居者に「お風呂に入ってくる」と声をかける
入浴中に体調の異変があった場合は、早期に対応することが大切ですが、入浴前に同居者に一声掛けている人は少ない状況です。いつもより入浴時間が長い場合は様子を見に来てもらうなど、安心できる環境で入浴をしましょう。


最後に・・・


ヒートショック対策はとても単純!“寒暖差を無くすこと”です。
高齢者だけでなく、子供や若い方も要注意。幸せなバスタイムを過ごせるよう、家族や離れて暮らすご高齢のご家族も含めて、入浴中の事故を防ぐための対策について検討してみてはいかがでしょうか。

 

こちらも参考に↓
日本気象協会の天気予報専門メディア「ヒートショック予報」
https://tenki.jp/heatshock/

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※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成いたしました。
 
  • 消費者庁HP
    (http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_013/)
  • きょうの健康(2017.11)
 
 

PDF版はこちら 【2019年1月】健康づくりかわら版.pdf をダウンロード


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