二の腕のはんこ注射の跡、何の予防接種?


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 二の腕のはんこ注射の跡、何の予防接種?
                                      
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二の腕に予防注射の跡が残っている方もいらっしゃると思います。
それは、BCG(結核の予防接種)の跡です。子供の頃に結核にかから
ないように守ってくれた印ですが、その効果はおよそ10数年です。
小児の結核予防には効果がありますが、成人の結核に対する予防
効果は高くないと言われています。

9/24~30は結核予防週間です。
そこで、今回は『結核』に関するお話です。

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★ 結核はどんな病気? ★
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結核は明治時代から昭和20年代までの間、「国民病」と恐れられ、
昭和25年まで日本の死亡原因の第1位でした。結核菌という細菌が
体の中に入り、増えることによって起こります。日本では8割が
肺に炎症が起こる「肺結核」ですが、肺以外の臓器に影響が及ぶ
こともあります。

結核は、医療水準の向上により、薬をきちんと服用すれば完治
できる時代になりましたが、過去の病気ではありません。今でも
日本では年間2万人以上の新しい患者が発生し、年間2千人以上の
人が命を落としている重大な感染症です。
(厚生労働省:平成24年結核登録者情報調査年報)

【結核の感染経路】
咳やくしゃみにより、結核菌の混ざった「しぶき」が空気中に
飛び散り、それを周りの人が吸い込むことによって感染します。
食器などを介して結核菌に感染することはありません。結核菌
に感染しても必ず発病するわけではなく、通常は免疫機能が働き、
菌の繁殖を抑え込みます。
なぜ、結核菌が増え始めて発病するのかはよく分かっていません
が、免疫力が弱まっているときは、発病しやすい状態と考えられ
ています。

【結核の症状】
初期症状はかぜに似ていますが、咳・たん・発熱(微熱)などの
症状が長く続くことが特徴です。また、体重が減る・食欲がない・
寝汗などの症状もあります。
さらにひどくなると、だるさや息切れ、血の混じった痰などが
出始め、血を吐いたり、呼吸困難になり死に至ることもあります。
「せきが2週間以上続く」「たんがでる」「だるい」「急に体重が
減る」などの症状がある場合には、早めに医療機関を受診しま
しょう。

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★ もし結核に感染したら ★
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もし結核と診断されても、医師の指示の下、約6ヶ月間毎日薬を
内服すれば治ります。しかし、症状が消えたからといって、自己
判断で薬の飲み方を不規則にしたり、止めてしまったりすると、
結核菌が薬に対して抵抗力(耐性)を作ってしまい、薬の効かない
結核菌(耐性菌)になってしまう可能性があります。医師の指示を
守って、治療終了まできちんと薬を飲み続けることが最も重要
です。

結核を発病した場合、医師の指示で入院もしくは通院治療が行わ
れます。結核の治療費は、公的な医療費補助制度がありますので
(個人により負担額は異なります)、治療に専念しましょう。
また、結核を診断した医師は、都道府県知事に結核が発生した
ことを報告する義務があります。
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★ 結核を予防するために ★
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○普段から健康的な生活を心がけて、免疫力を高めておくことが
大切です。栄養バランスのよい食事・十分な睡眠・適度な運動・
喫煙をしないことなどを心がけましょう。

○赤ちゃんは感染すると、重症になりやすいため1歳になる前に
BCG接種を受けましょう。(標準的な接種期間:生後5~7ヶ月)
生後1歳までであれば、費用は自治体等の負担で受けられます。

○結核から自分や周囲の人を守るため、定期健診を受ける、咳が
出る時にはマスクを着用する、または口元をティッシュや布で
押さえる、カゼのような症状が続いたら早めに受診することなど、
個人の予防意識を高めることが大切です。
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★ 最後に・・・ ★
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今まで結核を診断する検査としてツベルクリン反応が一般的でし
たが、平成18年からQFT検査という採血による検査も実施される
ようになりました。
また近年の調査では、「超多剤耐性結核菌」と呼ばれる、4種類
以上の薬が効かない新種の結核菌が確認され、WHOが警戒を呼び
かけています。
結核をなくすためには、一人一人が結核について正しい知識を
持ち、行動することが求められています。

【結核に関する情報を更に詳しく知りたい場合(一例)】
○国立感染症研究所ホームページ(トップ)…http://www.nih.go.jp/niid/ja/
○公益財団法人結核予防会ホームページ(トップ)…http://www.jatahq.org


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