ネット依存症、あなたは大丈夫?



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  ネット依存症、あなたは大丈夫?
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近年、スマートフォンやタブレット端末等の普及に伴い、インタ
ーネットによって私達の暮らしは大きく変わりつつあります。必
要な情報をすぐに引き出せ、人と簡単につながることもできるな
ど、多くの利便性や楽しみがある一方で、依存性などの課題や生
活への影響も指摘されているのが現状です。
そこで今回は『ネット依存症』に関するお話です。

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★ ネット依存症とは? ★
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ネット依存症とは、ギャンブルや買い物依存症のように、自分で
コントロールできず、その依存対象から離れると、不安を感じた
り日常生活に支障をきたしてしまう症状のことです。
尚、ネット依存症は、ネットに繋がっていない状態を恐れ、基本
的には次の症状があります。

 ●インターネットを自分の意志でやめることができず、ネット
  に繋がっていない状態に不安を感じる。
 ●携帯のメールチェックを頻繁にしてしまう。
 ●ネット以外への興味が薄くなる。

これらは現代の方に多く見られる症状かもしれません。そして、
依存症が重篤な状態にまでなると、幻聴・幻覚に悩まされるなど、
日常生活に支障をきたすようになるといわれています。
日常生活が問題なく過ごせているなら特に深く考える必要もあり
ませんが、のめり込み過ぎる前に気をつけておくことが大切です。

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★ なぜ、ネットに依存してしまうのか ★
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ネットを通じたコミュニケーションは、現実の対人関係より希薄
で、自由に関係を築くことができます。つまり、自分の利益や好
みを優先でき、好む人とだけ自分のさじ加減でコミュニケーショ
ンを深めることができます。
逆に、嫌いな相手との会話も、ネット上ならツールを閉じること
で自由に終えることもできます。
伝えにくい気持ちも、メールなら伝えやすいといったこともあり
ますね。

しかし、このような利点は同時に表面的で希薄なものとなり、そ
こに危険性があることを頭に入れておく必要があります。

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★ ネットの危険性とは ★
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コミュニケーションは言葉だけでなく、身振り手振りなどの体の
動きや表情、雰囲気など様々なものを総合的に使って意志疎通を
図っています。
しかし、ネット上でのコミュニケーションでは言葉が主となるた
め、相手に意図が伝わりにくくなります。双方の送り合う情報が
少ないため、限られた情報のみで解釈し、自分の価値観で受け取
ることになり、その結果、言葉の真意が伝わらず誤解が生まれや
すくなるなどの危険性があります。

また、巨大掲示版などで不特定多数の集団が集まり、過激な考え
や思想を持たない人でも、それらの考えや思想に同意したり、自
分の意志であるかのように主張したりする現象が起こりやすくな
ります。その結果、特定の個人を攻撃したり、集団自殺などにつ
ながりやすいという側面が考えられています。

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★ 中高生のネット依存傾向 ★
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国内では、約52万人とも言われる中高生がネット依存で「病的使
用」に当たる深刻な状態にあることが、厚生労働省研究班の調査
で発表されています(※1)。

「ネットに夢中になっていると感じるか」「使用をやめようとし
た時、落ち込みやイライラを感じるか」など8項目を質問し、5
項目以上に該当した人を「病的な使用」として、ネット依存が強
く疑われる者と認定しています。この「病的な使用」とされた割
合を男女別で比較すると、男性6.4%、女性9.9%で女性が多
く、チャットやメールに没頭する人が多いことが分かりました。

さらに、「病的な使用」とされた中高生のうち、「睡眠時間が6
時間未満」と答えたのは43%、直近1ヶ月で使ったサービスでは
「情報やニュースなどの検索」が約69%で最も多く、「動画サイ
ト」(約64%)、「メール」(約63%)の順で多いことが報告さ
れています。

また、日本だけでなく韓国や中国では、長時間連続でのオンライ
ンゲームの利用で死亡する事故が起きるなど、世界的にも深刻な
問題が起きており、その治療法に注目が集まっています。

治療法として、韓国では10泊程度のキャンプを行い、ネットから
切り離された環境で過ごす試みや、IDがなければ午前0時から翌
朝6時まではネットにアクセスできない「シャットダウン制度」
も導入されています。
日本では、ネット依存の治療に取り組んでいる施設はまだ少ない
状況ですが、(独)国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県
横須賀市)では平成23年7月から「ネット依存治療研究部門」を
開設して治療を開始しており、ホームページにネット依存の自己
チェックができるテストも掲載しています(※2)。

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★ ネット依存傾向の国際比較 ★
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総務省が報告しているネット依存傾向の国際比較の結果(※3)
では、日本・米国・英国・仏国・韓国・シンガポールの6カ国共通で
10-20代のネット依存傾向が高い層が多くなり、さらにスマート
フォン保有者の方が依存傾向が高くなる結果となっています。

そして、「コミュニケーション」をネット利用目的として挙げて
いるユーザーが6カ国共通でネット依存傾向が高く、米国・英国・
韓国においては「オンラインゲーム」を好んで使用しているユー
ザーも依存傾向が高めになっています。

現実生活への影響では、「ネットのしすぎで運動不足になってい
る」、「仕事や勉強、趣味や運動の時間を削ってネットをしてい
ることがある」、「常に末端をそばにおいていないと不安に感じ
る」の順で回答率が高い結果と報告されています。

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★ 最後に・・・ ★
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国内ではコミュニケーションをネット利用目的としているスマー
トフォンユーザーでネットの依存が高くなりやすい傾向となり、
直接人と会うなどリアルな生活やコミュニケーションを広く行っ
ている人ほど依存傾向が低いことが、報告されています。
休日に外に出かけ、ネットだけに偏らない生活や、暇つぶしのツ
ールとするのみでなく目的を持ったネット利用を意識するなど、
ネットと上手く付き合っていくことが大切です。
また、ネット依存を防ぐためには、自分自身がネット依存になっ
ていないかを見極めることも大切です。気になる方はぜひセルフ
チェックをしてみてくださいね。

URL  http://www.kurihama-med.jp/tiar/tiar_07.html
  ●インターネット依存度テスト
  ●インターネット依存自己評価スケール(青少年用)
 
今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。
※1 2013年8月1日 日本経済新聞
※2(独)国立病院機構久里浜医療センターHP
※3 総務省 H26年版 情報通信白書

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