6月1日は「電波」の日

健康づくりWEBかわら版 2017年06月号
 
 

6月に入りそろそろ梅雨入りの季節となりました。
雨が続くと、何だか気分も沈みがちになってしまいますね。室内で楽しめることを見つけて、有意義に過ごしたいですね。
さて今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

6月1日は「電波」の日

「電波の日」は電波法、放送法、電波監理委員会設置法が昭和25年6月1日に施行されたことを記念して、昭和26年に総務省が制定しました。これを機に、私たちの暮らしを支えてくれている電波について、少し考えてみましょう。
そこで今回は『電波』に関するお話です。

 

電波利用の歴史

電波は人類が誕生する以前から自然界にあり、雷や摩擦電気の火花放電などにより発生します。
人類が電波を利用するようになったのは、約120年前。1895年にイタリアのマルコーニが無線電信を成功させたことがその始まりです。

その後、日本では1925年にラジオ放送、1953年にテレビ放送が始まり、電波は文化の発展に貢献してきました。
現在は携帯電話、カーナビゲーション、衛星放送、気象衛星、ITS(高度道路交通システム)、電子レンジ、ワイヤレスICシステム、MRIなどの医療機器、蛍光灯などに使用され、私たちの生活を便利にしてくれています。

白衣を着たおじさん
 

電波とはどんなもの?~電波の性質~

電波は電界と磁界が互いに影響し合いながら空間を伝わる「電磁波」です。電磁波には波の性質があり、波が1秒間に振動する回数を周波数といいますが、電波は「周波数300万MHz以下」と定義されています。

  • 速さ
     電波の速さは光と同じ1秒間で約30万km(地球を約7周半)の速さで伝わる。 
  • 伝達
    宇宙空間に浮かんでいる放送衛星から電波を受けて、テレビを映す、宇宙のスペースシャトルと地球の管制センターが連絡を とるなど、空気や水のないところでも伝わっていく。
  • 反射
     木やガラスのように電気を通しにくい性質のものは通り抜けるが、金属のように電気を通しやすいものには反射する。ビルの影でも携帯電話が使えるのは、いろんなビルで反射された電波が携帯電話に届いているため。
  • 曲がる
    雨粒にあたると、電波は進路の向きを変える。強い雨の日に衛星放送の画面が乱れるのはこのため。電波はアンテナなどから放射されて空間を伝わっていきますが、電波の強さはアンテナから離れるにつれ、急激に弱くなります(アンテナからの距離が2倍になると電波の強さは4分の1)。
 

電波が生物へ及ぼす作用

電波塔

電波が生物や人体に与える影響に関する研究や調査は、今日まで50年以上にわたり、世界各国で行われてきました。研究内容としては、動物や細胞を使った生物学研究や人を対象にしている疫学研究などが挙げられます。

電波が生物へ及ぼす作用には、次の「刺激作用」と「熱作用」があります。

 

  • 刺激作用
    生物が電波にばく露されると、微量ながら電波の影響により、電流が生じる。生物に流れる電流の大きさは、周波数や生物の大きさ、形、電気的な特性などによって変わるが、非常に強い電波にばく露されて電流の大きさがある一定量を超えると、神経や筋の活動に影響を与え、血流の変化などを引き起こすことがあるといわれている。比較的低い周波数の領域で起こる。
  • 熱作用
    電波が生物にあたると、一部は体内に吸収されてそのエネルギー(電気時間)が熱となる。非常に強い電波の場合、発熱量も大きくなり体温が上昇する。体温が上昇することで起こる作用を「熱作用」といい、約100kHz以上の周波数の領域で起こる。熱作用は体温上昇によるストレスから、動物の行動パターンを変化させる。その変化は、動物の種類や電波のあて方などの条件によら
    ず、全身における電波の吸収量がある一定量を超えると生じることがわかっている。
 

電波へのQ&A ~総務省電波利用HPより~

【Q1】ごくわずかな電波でも健康に悪影響がありますか?

≪A1≫熱作用が生じない弱いばく露レベルであっても、健康への 悪影響を示唆する研究報告があることは確かですが、現在 まで実験で再現されたものはなく、証拠として認められて いません。

 

【Q2】国際がん研究機関(IARC)が、電波について「発がん性が あるかもしれない」と分類しましたが、携帯電話などに関 してより厳しい規制などが必要ではないでしょうか?

≪A2≫総務省では、科学的な調査・研究に基づき、携帯電話端末規制値を定めており、市販されている全ての端末はこの値以下になっています。現在はこれを下回るレベルの電波による健康への悪影響について明確に示した科学的証拠がないこと、IARCの評価は定量的なものでも、がんのリスクを立証したものでもないことから、現時点においては規制を
 より厳しいものとすることは適当ではないと考えます。 ただし、携帯電話の長時間使用でのリスクについて、すべて解明されたわけではないため、心配な場合は、通話時間を抑える、ハンズフリーを使用する、通信の状態が悪い時にはできるだけ通話しないなど、それぞれの事情に応じて対策をとることが適当と考えます。

 

最後に・・・

わが国では「電波防護指針」を制定し、安全な状況かを判断する考え方や基準値を示すなどの規制を導入しています。日常生活において浴びる電波は非常に弱く、刺激作用や熱作用を及ぼすようなレベルではありませんが、今後さらに電波に利用が進み、強い電波を浴びる状況が現れるかもしれません。
身近な電波やその人体への影響などの情報について、今後もアンテナを張ってうまく付き合っていきたいですね。

 

【参考資料】
・総務省「電波と安心な暮らし」
 http://www.soumu.go.jp/main_content/000354468.pdf

・なるほど統計学園「6月1日電波の日」
 http://www.stat.go.jp/naruhodo/c3d0601.htm

法律書と木槌
 

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