若者にも増えている“耳の病気”に注意?!

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木々の葉も美しく色づき、すっかり秋も深まって参りました。
1年で最も過ごしやすいこの季節、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
さて今月の【健康づくりWEBかわら版】をお届けします!

 
若者にも増えている“耳の病気”に注意?!
 

現在、イヤホンやヘッドホンを日常的に使用している方も多いのではないでしょうか。最近では、大人だけでなく小さな子どもも、大音量で音楽を聴いたり、携帯ゲームをしながらこれらを使用している光景を見かけるようになりました。
一方で、イヤホンやヘッドホンの使い過ぎによる耳の病気も増えているようです。
そこで今回は『耳の病気』に関するお話です。

 
音が伝わる仕組み
 

耳は、外耳、中耳、内耳の3つの部分に分けられ、次のような仕組みで音を認識しています。

 

  1. 音(空気を振動させる音波)が、耳介(耳の外側)に集められ、外耳道を通る。
  2. 鼓膜を振動させて中耳にある耳小骨に伝える。
  3. 耳小骨は鼓膜の振動を約3倍に増幅して、内耳にある蝸牛(かぎゅう)に伝える。
  4. 蝸牛の中のリンパ液が振動により揺れることで、蝸牛にある有毛細胞がそれを感じ取り、電気的な信号に変え、神経を経由して脳に伝える。
  5. 脳の聴覚中枢がその信号を受け取ることにより、音として認識される。

    外耳道に耳あかがたまっても隙間があれば聴こえるため、難聴になることはめったにありません。

(画像をタップして拡大)

 

耳の病気① 音響外傷とは?

 

大きな音を聴いたときに、内耳の蝸牛内にある有毛細胞が傷つけられて起こります。大きな音を聴いた後、耳の中でキーンと音が響いたり、めまいがしたり、ロックコンサートなどの翌日になっても音の聴こえが悪いなどの症状が現れた場合、有毛細胞が傷つけられている可能性があります。

 

一方、イヤホンやヘッドホンで音楽を聴き続けると耳が悪くなる といったように、大きな音でなくても音響外傷を発症することが あります。イヤホンやヘッドホンの音は、内耳の近くで聴き続けるため、長時間使用すれば有毛細胞がダメージを受けます。

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特に音量を大きくして聴いている場合は、ますますダメージが大きくなります。


耳鳴りがする、耳がつまったように感じる、高音域や低音域など特定の音が聴こえづらいなどの症状が現れた場合、それが一過性のものであるのか、深刻な状態であるのかは専門医の判断に任せる必要があります。しかし、大きな音が原因でないイヤホンやヘッドホン由来の音響外傷は、無自覚なままであることも珍しくありません。小さな子どもが音響外傷を発症しても、気が付かないケースは多いようです。

 

耳の病気② 外耳道真菌症(耳のカビ)

 

外耳道をイヤホンで擦って傷つけたり、イヤホンを長時間使用したときに外耳道の中が高温多湿となるなど、擦れや蒸れによりカビが繁殖することがあり、この状態を外耳道真菌症といいます。

症状としては、耳垂れやつまり、かゆみ、痛みが出現し、炎症箇所に耳あかなどが詰まったり、カビの増殖で難聴になることもあります。

 

セルフチェック

 

次の内容で当てはまるものがある方は要注意です。今は大丈夫!
という方も、いずれなるかもしれないという可能性を含めてチェ ックしてみましょう。

 

  • イヤホンなどをして音楽やゲーム、動画を楽しんでいる
  • 騒音下での仕事を長年している
  • ライブハウスやクラブに行く機会が多い
  • 空港の近くに住んでいる
  • 最近、特定の音域の音が聴こえづらい
  • 話し声が大きいと指摘されることが増えた
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耳の病気を防ぐためには、普段と違った症状が現れた時に、軽く考えずに専門医に診てもらうことが大切です。
また、子どもの場合は、呼びかけても振り返らないことが増えた、大音量でテレビを見るようになった、という場合には受診が必要です。

 

予防と治療

 

予防法としては、次の通りです。

 

  1. イヤホンやヘッドホンは連続で聴かない。
  2. 騒音環境下の場合、耳栓を活用する。※車の運転時は使用しないよう注意。
  3. 飲酒をして頭を激しく動かさない(音響外傷の発症率が高まるため)。

特にⅰのイヤホンやヘッドホンの使用については、1時間聴いたら5分程度耳を休ませるようにしましょう。子どもの場合は、30分を区切りに休めることをおすすめします。
また、音量を上げすぎないことも大切です。ヘッドホンやイヤホンをつけていても、外部の音や会話が聴こえる程度に音量を調整しましょう。
加えて、イヤホンは定期的に清掃することも大切です。イヤーピースの穴の内側は消毒用アルコールを染み込ませた綿棒を使用して汚れを取り、耳に接する部分はアルコール成分の入ったウェットティッシュなどで拭き取ります。掃除後はしっかりと乾燥させてくださいね。

また、音響外傷になった場合、一般的な治療方法としてはステロイド剤を服用します。一定期間の服用である程度の聴力は回復しますが、有毛細胞の破壊が進みすぎている場合は回復に限りがありますので、早めに受診することが大切です。
外耳道真菌症の場合は、イヤホンの使用を中止します。そして、点耳薬でカビを除去することができます。

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最後に・・・

 

日常的にイヤホンやヘッドホンを使用する習慣がある方は、これを機に使用時間や使用方法を見直してみましょう。
また、その他にも耳の病気が発症しやすい環境にいる方は、普段から耳を守る工夫を取り入れることをおすすめします。



※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。

 

・ 日本橋大河原クリニックHP 
 https://www.ohkawara-clinic.com/
・ 川村耳鼻咽喉科クリニックHP
 https://www.jibika-operation.com/

一般財団法人日本予防医学協会
HP https://www.jpm1960.org/
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