血液検査

※検査結果とは日本予防医学協会が受診者様、健診ご担当者様にご報告している以下の【検査結果】に関するご説明です。

  • 受診者様宛の健康診断レポート
  • 健診ご担当者様向けの健康診断レポート控え(個人通知)
  • 健診ご担当者様向けの健康診断結果報告書、要管理者一覧表、受診者一覧表(ホチキス留めしてあるもの)
  • 健診ご担当者様向けの健康管理台帳  等

 

血液検査

血液は血管の中を巡り、身体のすみずみに酸素や栄養などを送り届けています。
血液検査は、その血液に含まれている細胞や酵素、抗体などの数を数値化して、病気の診断やリスクをみつける検査です。
生活習慣病の中には、自覚症状が現れる前に病気が進行してしまっているものもあります。早期にリスクを知ることで、生活改善や予防に役立てることもできます。
血液検査でわかる主な病気は貧血、肝臓の異常、腎臓の異常、脂質異常症、糖尿病などです。関連する病気は項目によって異なるので、下表の項目ごとの説明をご覧ください。

下表の基準値とは、健康人の95%の人が入る範囲です(健康人でもこの範囲を外れる人が少数います)。この範囲を大きく逸脱すると病気の疑いが強まります。病気の疑いが高く明らかに放置するべきでないときは、要精密検査あるいは要医療と判定します。


※精密検査が必要と判定されたときは内科を受診してください。また、主治医の指示に従って対応してください。
※基準値は当会指定の血液検査機関のデータを参考に設定しています。

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項目 単位 性別 基準値※ 説明
下限 上限
肝臓系検査 AST
(GOT)
U/L   0 40 心臓、肝臓、筋肉、腎臓などのさまざまな臓器に存在する酵素です。これらの臓器が障害を受けると、この酵素が血液中に放出され、高値を示します。
ALT
(GPT)
U/L   0 40 ASTと同じように身体のさまざまな臓器に存在しますが、ALTは主に肝臓に存在するためASTALTの両方が高値のときあるいはALTのみが高値の場合には肝障害の可能性が高くなります。
γ-GT U/L 0 70 蛋白質を分解する酵素の1つです。肝臓や胆道に病気があると高値を示します。アルコールの影響で高値になりやすく、常習飲酒による肝障害の指標になります。
0 30
ALP
(IFCC法)
U/L   38 113 身体のほとんどの臓器に含まれている酵素ですが、主に肝臓、胆管、骨、胎盤などに多く分布し、これらの臓器の疾患で高値を示します。
ChE
(コリンエステラーゼ)
U/L 242 495 肝臓、膵臓、心臓などに多く存在しますが、肝臓で合成されているため、肝機能をよく反映しています。肝臓障害や栄養障害などで低下し、ネフローゼ症候群や脂肪肝などでは高値を示します。
200 459
LDH
(IFCC法)
U/L   124 222 各種臓器に広く分布し、肝臓、心臓、腎臓などの臓器のほか、筋肉や血液にも多く存在します。これらの臓器や血液成分に障害があると高値を示します。
総蛋白
(TP)
g/dL   6.7 8.3 血液中にはアルブミンやグロブリンなどの蛋白があり、身体の働きに重要な役割を果たします。低栄養、栄養の吸収障害など蛋白の不足で低下する他、肝臓、腎臓、免疫機能の障害により、身体の代謝に異常があると増減します。
アルブミン
(ALB)
g/dL   3.8 5.2 血液中に一番たくさんある蛋白で、肝臓で合成されます。栄養障害、肝臓や腎臓の障害時に低下します。
A/G比     1.1 2.1 血清中のアルブミンとグロブリンの比を調べることで、血清蛋白の異常を知ることができます。ネフローゼ症候群や肝臓疾患、慢性感染症などで低値となります。
総ビリルビン
(T-bil)
mg/dL   0.0 1.2 赤血球には寿命があり毎日少しずつ壊れていますが、その際にヘモグロビンが分解されて生じるものがビリルビンです。血中ビリルビンの値により、黄疸の程度などを含め、肝・胆道系疾患の有無やその程度を知ることができます。
肝炎検査 HBs抗原     (-) 肝炎を引きおこすウイルスの1つであるB型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べます。
B型肝炎は重大な病気なので、陽性のときは内科を受診することをお勧めします。
HBs抗体     (-) B型肝炎ウイルスに対する抵抗力の有無を調べます。この抗体が陽性のときはB型肝炎ウイルスによる新たな感染の可能性は低いと考えることができます。
HCV 抗体     (-) 過去または現在、C型肝炎ウイルスに感染した、あるいは感染していることを示します。確認には遺伝子診断であるHCV-RNAを検査します。C型肝炎は重大な病気なので、陽性のときは内科を受診することをお勧めします。
脂質系検査 総コレステロール
(T-cho)
mg/dL   150 219 コレステロールは血液中に含まれる脂肪分の1つで、細胞やホルモンを作るために必要な物質です。これが異常に高いと動脈硬化の進行が早まり、長期的には心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などがおこりやすくなります。
中性脂肪
(TG)
mg/dL   50 149 高カロリー食やアルコールの過飲などで過剰に摂られたエネルギーは中性脂肪として貯蔵され、さらに増加すると皮下脂肪や肝臓に蓄えられます。これが高くなると、内臓脂肪の増加や脂肪肝の原因となります。
HDL-C
(HDL-コレステロール)
mg/dL 40 86 動脈壁に付着したコレステロールを再び血液中に洗い出す働きがあるため善玉コレステロールと呼ばれます。これが高いと動脈硬化に予防的に働き、低いと動脈壁へのコレステロール沈着が増え動脈硬化の進行が早まります。
40 96
LDL-C
(LDL-コレステロール)
mg/dL   70 119 LDL(低比重リポ蛋白)はコレステロールを末梢細胞に運搬する働きがあります。血中のLDL-コレステロールの増加は冠動脈疾患の危険因子です。栄養の摂りすぎに注意して体重を適正に保つように努めてください。肥満ではないのに高値が続くときは、内科を受診してください。
nonHDL-C
(nonHDL-コレステロール)
mg/dL   0 149 non HDL-コレステロールはLDLだけでなくすべての動脈硬化を引きおこしたり促進したりするコレステロールを表します。non HDL-CT-cho - HDL-Cで計算されます。
糖代謝系検査 血糖
(グルコース・BS)
mg/dL   70 99 血液中のブドウ糖は身体の大切なエネルギー源です。食後には血糖が上昇しますが、インスリンの働きでもとに戻ります。糖尿病でインスリンの作用が不足すると血糖値は上昇します。糖代謝の要精密検査・要医療判定(糖尿病疑い)を放置することは危険です。内科を受診してください。
HbA1c(N) %   4.6 5.5 ブドウ糖とヘモグロビンが結合したものを、HbA1c(グリコヘモグロビン)といいます。
この物質は赤血球の寿命である約120日は安定するため、過去1~2か月の長期間の血糖がうまく調整されているかどうかを知るために役立ちます。
尿酸、
炎症、
腎臓・膵臓系検査
尿酸(UA) mg/dL 3.7 7.0 尿酸は身体の細胞の核にあるプリン体が壊れてできるものです。尿酸の合成増加や組織の破壊、腎臓での尿酸排泄の低下などで血中の尿酸濃度は高くなり、関節に沈着し痛風を、腎臓に沈着し腎障害をおこします。また慢性的に尿酸値が高いと動脈硬化を引きおこす危険性があります。
2.5 7.0
C反応性蛋白
(CRP)
mg/dL   0.000 0.140 体内に炎症(リウマチ熱、細菌感染など)があるとき血液中に現れる蛋白質(C反応性蛋白)の量を測定するものです。高値のときは原因となる炎症性疾患について、検査を受ける必要があります。
尿素窒素(BUN) mg/dL   8.0 22.0 尿素窒素は蛋白が身体の中で分解されたときにできる老廃物で、これらは腎臓から尿中に排出され
ます。腎臓での排泄が低下すると、血液中の尿素窒素の濃度が高くなります。
クレアチニン mg/dL 0.61 1.04 クレアチニンは筋肉内にあるクレアチンの最終産物で、腎臓でろ過され排泄されるため、腎機能のもっとも重要な指標とされています。
0.47 0.79
e-GFR
(推算糸球体濾過量)
ml/min/1.732   60.0   腎臓が老廃物を排泄する能力を調べる検査で、血清クレアチニン値と年齢と性別から推算します。慢性腎臓病(CKD)の重症度評価に用いられます。
アミラーゼ U/L   37 125 膵臓に含まれる消化酵素のひとつです。アルコールの飲みすぎや脂肪のとりすぎ等で膵細胞が破壊されると、アミラーゼが上昇します。高値の場合、膵疾患のほか、腸閉塞、卵巣腫瘍、肝炎、腎不全等が疑われます。
血球系検査 白血球数(WBC) 103/μL 3.9 9.8 生体を細菌やウイルスから守る免疫に役立つ細胞です。感染症や喫煙、ストレス等で高値を示しますが、まれに重大な血液系の病気(白血病など)のこともあります。
3.5 9.1
赤血球数(RBC) 104/μL 427 570 身体に酸素を運ぶ血球成分です。少ない場合は貧血を、多い場合は多血症を疑います。
376 500
血色素量
(Hb・ヘモグロビン)
g/dL 13.5 17.6 赤血球の中に含まれる酸素などを運ぶ成分です。低下すると貧血症状が生じます。
胃十二指腸潰瘍など消化管からの出血、女性の生理出血、鉄分の不足や血液疾患などが原因になることがあります。
11.3 15.2
ヘマト
Ht・ヘマトクリット)
% 39.8 51.8 血液は、細胞成分の血球と液体成分の血漿に大別でき、ヘマトクリット値は、血液中の血球の割合を示します。貧血があると低下し、多血症のときは増加します。
33.4 44.9
MCV fL 82.7 101.6 赤血球恒数:以下の3つの恒数をさします。
MCV:平均赤血球容積と呼び、赤血球一個あたりの容積(大きさ)を示します。
MCH:平均赤血球ヘモグロビン量と呼び、赤血球一個あたりに含まれるヘモグロビン量を示します。
MCHC:平均赤血球ヘモグロビン濃度と呼び、赤血球の一定容積に対するヘモグロビン量の比を示します。
79.0 100.0
MCH pg 28.0 34.6
26.3 34.3
MCHC % 31.6 36.6
30.7 36.6
血小板数 104/μL 13.1 36.2 血小板には、出血したときに血液を固めて止血する働きがあります。
血小板が少ない場合は、体の中で血小板が消費されたり破壊が進んでいたりするか、血小板を作る機能が落ちている可能性があり精査が必要です。また、血小板が抗凝固剤として使われるEDTAで凝集する方がおられ、極端な低値となる場合があります。そうした時には再検査が必要になります。
13.0 36.9

※基準値は当会指定の検査所のデータを参考に設定しているものです。

 

腫瘍マーカー検査(血液検査)

腫瘍マーカー(腫瘍関連検査)は、がんにより体が反応して産生されることのある物質を血液検査等で測定する検査です。
自覚症状のない状態でがんをみつけるきっかけになることがありますが、良性疾患や生活習慣によって異常値を示すことも多く、この検査のみでがんの診断をおこなうことはできません。また、対策型のがん検診の代わりにはなりません。
異常値の場合には精密検査が必要となります。また、検査が正常値でもがんが存在することもあります。関連の精密検査のため、内科を受診してください。PSAは泌尿器科を受診してください。

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項目名 対象臓器 単位 基準値※ 説明
下限 上限
AFP定量 肝臓 ng/mL 0.0 10.0 主に肝細胞がんなどで高値となりますが、慢性肝炎、肝硬変、急性肝炎でも高値を示すことがあります。
CEA 全体 ng/mL 0.00 5.00 「がん胎児性抗原」とよばれ、胃がん、大腸がん、膵がん、胆道がんなどの消化器系がんに加え、肺がん、乳がん、甲状腺がんなど多くのがんで高値となります。臓器特異性は低く各種がんの経過観察や再発・転移の確認などに用いられます。喫煙や加齢でも高値を示すことがあります。
前立腺PSA 前立腺 ng/mL 0.000 4.000 前立腺に関連する物質です。前立腺がんの早期発見や再発の確認に役立つと考えられています。ただし、前立腺肥大や前立腺炎、尿道刺激後にも高値を示すことがあり精密検査で確認することが必要です。
CA125 卵巣、
膵臓、
胆道
U/mL 0.0 35.0 卵巣がん、膵がん、胆道がんなどで高値となります。女性の場合、月経時や妊娠初期に上昇し閉経後に低下するなど性周期にかかわる変化があります。また、良性卵巣のう腫や子宮内膜症、子宮筋腫、炎症、腸閉塞、膵炎、胆のう炎などの良性疾患や炎症性疾患でも高値を示すことがあります。
CA15-3 乳房 U/mL 0.0 25.0 乳がんなどで高値となります。乳がんへの特異性は高いですが、原発性乳がんに比べ転移性乳がんや再発性乳がんでの陽性率が高く、再発の発見や治療効果の判定に用いられます。
エラスターゼ
(エラスターゼ1)
膵臓 ng/dL 0 300 膵がんの腫瘍マーカーの1つですが、急性膵炎、慢性膵炎の急性増悪期、膵臓の障害で高値となります。他の膵酵素に比べ、一度上昇すると高値が持続することがあります。
シフラ
(シフラ21-1)
ng/dL 0.0 3.5 肺がん(特に扁平上皮がん)などで高値となります。化学療法や手術後の治療効果補助に用いられます。間質性肺炎や結核などの肺良性疾患、 食道がん、子宮頸がんなどでも高値となることがあります。
CA19-9 膵臓・胆道・胃・大腸・卵巣 U/mL 0.0 37.0 膵がん、胆道がん、胃がん、大腸がんなどで高値となり、治療を含めた臨床経過をよく反映します。胆石症、糖尿病、膵炎、肝硬変、卵巣のう腫などの良性疾患でも高値を示すことがあります。

 ※胆道がん:胆のうがん、胆管がん

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