胃がん検査

一般財団法人日本予防医学協会では、企業・健康保険組合に向けた健康診断を受託しています。
このページでは、当会が受診者様、健診ご担当者様にご報告している下記の健診結果に関して説明しています。

  • 受診者さま宛の健康診断結果(健康診断レポート)
  • 健診ご担当者さま向けの健康診断レポート控え(個人通知)
  • 健診ご担当者さま向けの健康診断結果報告書、要管理者一覧表、受診者一覧表(ホチキス留めしてあるもの)
  • 健診ご担当者さま向けの健康管理台帳  等

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胃部レントゲン検査

胃部レントゲン検査は、造影剤(バリウム)を飲み、上腹部にX線を照射して、食道から胃、十二指腸までを観察します。
臓器の形や異常(炎症、潰瘍など)を調べる検査です。
異常が発見された場合の精密検査としては、上部消化管内視鏡を行うのが一般的です。

コード対応表 胃部X線検査の所見は日本語表示の他にコードで表示いたします。
【例:6-0-6(部位1-部位2-所見)は、「十二指腸球部変形」となります。】

部位1 部位2 所見 所見説明
1.食道 0.その他 1.硬化 胃壁のやわらかさがなく、伸縮性が悪い状態
2.噴門 1.前壁 2.壁不整 壁・粘膜表面の乱れた状態
3.胃体部 2.後壁 3.欠損 バリウムの陰影が一部写っていない所見
4.胃角部 3.小弯[ しょうわん ] 4.ニッシェ 潰瘍等の窪んだ部分にバリウムが溜まった所見
5.前庭部 4.大弯[ だいわん ] 5.レリーフ異常 粘膜のひだの走行が異常な状態
6.十二指腸球部   6.変形 正常像に比べ辺縁の形が変わっているもの
7.穹窿部[ きゅうりゅうぶ ]   7.充満不良 十二指腸球部にバリウムが入らない状態
8.幽門   8.バリウム抜け 胃壁の隆起物によってバリウムがはじかれた状態
9.十二指腸   9.バリウム斑 粘膜の凹んだ部分にバリウムが溜まった所見

よく見られる所見 所見説明
巨大レリーフ 胃にある正常のひだが慢性炎症等によって、太くなった状態です。これ自体が疾患というわけではありません。しかし、自覚症状があるようでしたら精密検査が必要です。
慢性胃炎 胃粘膜が何らかの原因で持続的に炎症を起している状態です。表層性胃炎から萎縮性胃炎に至るまで、いろいろな段階があります。ピロリ菌感染が疑われます。
萎縮性胃炎 胃腺細胞の減少をもたらす胃粘膜の慢性炎症です。ピロリ菌感染が続いた後に見られることが多く、年1回以上の経過観察が必要です。
びらん性胃炎 胃の粘膜に起きた炎症によって粘膜表面に損傷が見られる状態です。
ポリープ(疑い) 胃粘膜が隆起して起こる病変です。胃にできるポリープはほとんどが良性です。「疑い」の場合は撮影時の気泡等の陰影の場合があります。
憩室[ けいしつ ] 憩室は食道の壁、胃、十二指腸の壁が外に向かってふくれ出て小さな袋を作っている状態です。
隆起性病変(疑い)
[りゅうきせいびょうへん]
腫瘍・ポリープなど胃・十二指腸等の粘膜表面が盛り上がった状態です。「疑い」の場合はひだやバリウムのむらによる陰影の場合があります。
食道裂孔ヘルニア
[しょくどうれっこう]
食道が通る横隔膜の穴を食道裂孔といい、この穴から本来、腹腔内にあるべき胃の一部が胸腔内に脱出している状態です。胸焼けの原因になることがあります。
潰瘍瘢痕(疑い)
[ かいようはんこん ]
胃・十二指腸潰瘍の治った跡を瘢痕といいます。現在は治った状態ですからあまり心配することはありません。しかし、自覚症状があるようでしたら精密検査が必要です。
粘膜下腫瘍
[ねんまくかしゅよう]
胃固有筋層の病変(粘膜の下に出来た腫瘍)により粘膜が内腔に隆起した状態です。
瀑状胃
[ ばくじょうい ]
胃の上部が拡張して背中側に折り曲がった形態異常です。これ自体が疾患というわけでありません。しかし、不快感や重圧感などの症状が続くようでしたら精密検査が必要です。
逆流性食道炎
[ぎゃくりゅうせいしょくどうえん]
何らかの原因で胃酸が食道へ逆流し、食道粘膜に炎症をおこしてしまう疾患です。
胃下垂
[いかすい]
胃の下縁が正常よりも下がっている状態で痩せた人に多くみられます。これ自体は疾患ではありません。
胃角部変形
[いかくぶへんけい]
通常はU字型をしている胃角部(胃の曲がり角)の辺縁が直線化し、滑らかに曲がっていない状態です。胃潰瘍・胃炎・がんの場合もありますので精密検査の指示があれば内視鏡検査を受けてください。
球部変形
[きゅうぶへんけい]
十二指腸球部に潰瘍ができることで辺縁が変形している状態です。
食物残渣
[しょくもつざんさ]
胃の中に摂取した食べ物が残っている状態です。
病変と間違える場合もあり、確認のため再検査とすることがあります。

 

胃部内視鏡検査

口や口から内視鏡(胃カメラ)を入れて、食道、胃、十二指腸を直接観察する検査です。 胃十二指のポリープ、潰瘍、がんなどが発見できます。病変がみつかった場合、その一部を採取し病理組織検査をおこなうこともあります。
検査で病変がみつかった場合に、その一部を採取(バイオプシー)して、頭微鏡で観察し、良性か悪性かを判断する検査を「病理組機検査」といいます。胃病理組織検査では結果を5段階に分けて評価しています。数字が大きいほど、悪性度が高くなります。

Group分類 病理学的意義 検査結果の説明
グループX 生検組織診断ができない不適材料 今回実施した検査では検体の状態が検査に適さず、判定ができませんでした。
グループ1 正常組織および非腫瘍性病変 正常の範囲ですが、必要に応じて経過観察をすることがあります。
グループ2 腫瘍(腺腫またはがん)か非腫瘍性か
判断の困難な病変
炎症が強く診断が困難な場合などが考えられます。
治療後に再検査を実施するか、十分な経過観察をおこないます。
グループ3 腺腫 良性の腫瘍です。再検査や粘膜切除をおこない、経過観察をおこないます。
グループ4 腫瘍と判断される病変のうち、
がん
が疑われる病変
大きさや内視鏡的な性状を確認して、再検査や粘膜切除をおこない、確定診断を試みます。
グループ5 がん 治療が必要です。

胃がんリスク層別化検査(ABC検診)

胃がんリスク層別化検査(ABC検診)は「ピロリ菌感染の有無を調べる検査」と「胃粘膜の萎縮度を調べる検査」を組み合わせて胃がんになるリスクを分類する検査です。
ABC判定区分は下記の表のとおり、AD群に分類され、今後の管理・対処法が決まります。

<ABC判定区分> ヘリコバクターピロリ菌の感染有無
(-) (+)
ペプシノーゲン法
(萎縮度)
(-) A群 B群
(1+ ~3+) D群 C群

 

※スマートフォンなどで表の右側が表示できない場合は画面を横にしてご覧ください。

ABC判定区分 判定説明 判定
区分
A群 ピロリ菌感染・胃粘膜萎縮はいずれも否定的で、胃がんになる危険性が比較的低いと考えられています。 A1
B群 ピロリ菌に感染している疑いがあります。胃粘膜の萎縮は軽度ですが、胃潰瘍・胃がんになる危険性を否定できないので、ピロリ菌を除菌し定期的に画像検査等を実施することが望ましいです。 G2
C群 ピロリ菌感染および萎縮性胃炎があります。胃がんになる危険性があるので、ピロリ菌を除菌し定期的に内視鏡検査を実施することが望ましいです。 G2
D群 高度の胃粘膜萎縮がありピロリ菌が住めない状態です。胃がんになる危険性が相当に高いので、年1回以上、内視鏡検査を行い注意深く経過を観察する必要があります。 G2

検査対象外となる方

ABC検診を受診しても正確な判定結果が出ないため、検査実施対象外となります。
①ピロリ菌の除菌治療を受けたことがある方
②食道、胃、十二指腸の疾患が強く疑われるような自覚症状がある方
③食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの治療を受けている方
④胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬※)を飲んでいる方(薬を服用中もしくは2か月以内に服用していた方)(プロトンポンプ阻害薬※:オメプラール、タケプロン、パリエット、ネキシウムなど)
⑤胃の切除手術を受けたことがある方
⑥腎不全または腎機能障害がある方(目安:クレアチニン値3mg/dl以上)

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