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今年の夏は風鈴を出してみました。風が吹くと奏でる音色はより涼しさを感じさせてくれています。

さて、今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

緊急再確認! 熱中症予防対策!

 

高温多湿の日本の夏。今年は梅雨も短く梅雨明けからの酷暑が続いています。地球温暖化やヒートアイランドの影響もあり、暑熱環境はより厳しいものになってきています。
総務省消防庁の熱中症による救急搬送状況を見てみると、令和3年5月1日~7月10日(確定値)が9,532人に対し、令和4年5月1日~7月10日(速報値)は30,239人と、

実に 約3.2倍! でした。
そこで、今一度『熱中症の予防対策』について考えてみたいと思います。

 

熱中症を正しく理解できていますか?

 

熱中症とは、汗や皮膚温度で体温調整ができず、からだに熱が溜まってしまう状態のことです。熱中症を引き起こす条件は、主に「環境」「からだ」「行動」によるものが考えられます。

 

環 境:気温が高い、湿度が高い、風が弱い、日差しが強いなど
からだ:高齢者・乳幼児・肥満の方、低栄養状態、糖尿病などの持病がある、

    二日酔・寝不足といった体調不良など
行 動:激しい労働や運動、長時間の屋外作業、水分補給ができない状況など

 

熱中症で見られる症状
重症度Ⅰ度 手足のしびれ・めまい・立ちくらみ・こむら返り、筋肉痛・生あくび・大量の発汗
重症度Ⅱ度 頭痛・嘔吐・倦怠感・判断力/集中力低下
重症度Ⅲ度 意識がない、呼びかけへの反応が乏しい、けいれん・まっすぐ歩けない

 

ここがPOINT!
熱中症は、湿度等の環境、水分補給の状態、活動内容や健康状態等により、気温が高い状態ではなくても発症することがあります。
また、室内でも熱中症は起こり得ます。

 

救急医に聞く!身近な人が熱中症かも?その時どうする?

 

熱中症を疑った場合には、涼しい場所に移動させ身体を冷却させること、水分や電解汁の補給が重要です。特に呼びかけに反応がない場合はすぐに救急車を呼びましょう。

 

熱中症は重症化すれば高齢者や子供はもちろん若年者も臓器障害を起こし生死に直結するため、如何に早期発見し対応を行うかが重要です。呼びかけに反応がなかったり鈍い状態であれば、迷いなく救急車を呼んでください。救急車を呼ぶべきか受診するべきか迷う場合には、救急医療電話相談(♯7119)に電話し相談すると、医療機関受診の緊急度についてアドバイスをもらえます。24時間365日対応していますので活用するとよいでしょう。

 

また、夏の水分不足が引き起こすのは熱中症だけではありません。水分不足から血液がドロドロになり、血栓を作って脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こしやすくなります。特に脳梗塞は発症すればめまいや嘔気、ふらつき等の症状が現れますが、熱中症の症状と似ているため注意が必要です。
熱中症の症状に加えて、麻痺や呂律が回らないなどの脳梗塞の症状が出ている場合もすぐに救急車を呼びましょう。

 

救急医:石川

【熱中症の応急処置】

引用:厚生労働省 熱中症を防ぐために知っておきたいこと 熱中症予防のための情報・資料サイト
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/happen.html

 

熱中症警戒アラートが発表されたら?

 

熱中症警戒アラートは、環境省と気象庁が2021年より開始しています。1日2回、前の日の夕方17時とその日の朝5時に暑さ指数が33以上になると予測される地点に発表され、発表された情報はテレビ、防災無線、SNSを通じて発信されます。

 

熱中症警戒アラートが発表されたら・・・
・熱中症のリスクが高い方へ予防の声かけを!
・普段以上に熱中症予防行動を実践!
・屋外での運動は原則中止・延期を!
・外出はできるだけ控えよう!
・身の回りの暑さ指数(WBGT)を確認しよう!

 

~豆知識~
暑さ指数(WBGT) 
気温1:湿度7:輻射熱2の比率で計算され、風(気流)も指標に影響。環境省の熱中症予防情報サイト等で確認できるほか計測器での測定が可能。28~31未満で厳重警戒、31以上で危険基準とされている。

 

熱中症は日常生活での予防が肝心

 

暑さの感じ方は人それぞれ。日々の体調を確認しながら対策を行っていくことが大切です。

 

≪感染対策も行いながら・・・≫
マスクを着けると皮膚からの熱が逃げにくくなったり、気づかないうちに脱水になるなど、体温調整がしづらくなってしまいます。
体調に応じて、屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合にはマスクをはずす、マスクを着用する場合には、強い負荷の作業や運動は避け、のどが渇いていなくてもこまめに水分補給を心がけるようにしましょう。

 

≪日々の生活の中で・・・≫
睡眠・休養、食事等の体調管理に加え、日傘や帽子等の日除け対策、携帯型扇風機や保冷材などのグッズも活用しましょう。

 

≪職場の中で・・・≫
自身の体調管理に加え、職場では、水分塩分補給の促しや職場環境・WBGT値の確認、職員の健康状態の把握、作業時の服装や作業時間の確認等、予防対策を進めていきましょう。

 

2020年7月のかわら版も参考に!
「Are you ready? #マスク夏  #コロナ夏」
https://www.jpm1960.org/kawara/01/202007.html

 

熱中症対策情報もチェック!

 

今回の記事は、下記サイトや情報を参考に作成しています。今一度確認をして、熱中症予防対策を続けていきましょう。

 

【厚生労働省】

  • 熱中症を防ぐために知っておきたいこと 熱中症予防のための情報・資料サイト
    https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/
  • 厚生労働省委託事業
    職場における熱中症予防に用いる機器の適正な使用法等周知事業
    学ぼう!備えよう!職場の仲間を守ろう!職場における熱中症予防情報
    https://neccyusho.mhlw.go.jp

 

【環境省】

  • 熱中症予防情報サイト
    https://www.wbgt.env.go.jp/
  • 「熱中症 環境保健マニュアル2022」
    https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php
  • 熱中症について学べる動画
    https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_library.php

 

【国土交通省 気象庁】

  • 熱中症から身を守るために
    https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kurashi/netsu.html

 

【総務省消防庁】

  • 熱中症情報
    https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post3.html
 

PDF版はこちら 【2022年8月】健康づくりかわら版.pdfをダウンロード

 

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