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7月に入り、夏空がまぶしい季節となりました。
夏が好きな方はもちろん苦手な方も、暑い季節だからこそ楽しめるものを見つけて、素敵な思い出を作りましょう。

 

さて、今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

夏の太陽はヤワじゃない ~夏マスク×紫外線対策~

 

新型コロナウイルスが流行して3度目の夏、5月に政府からマスク着用一部緩和の見解が公表されました。とはいっても、まだまだマスク生活は続きそうです。
梅雨が明けたら、太陽もいよいよ本領発揮!今年は猛暑になる予想ですが、マスク着用時はどのように日やけを防げばいいのでしょうか。

 

今回は『夏マスクにおける紫外線対策』に関するお話です。

 

マスクをしていても日やけするの?

 

マスク着用時には、つい気が緩みがちになります。マスクで隠れる部分の日やけ止めは控えめ、または全く塗っていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

実は、マスクによりある程度紫外線はカットできるものの、『マスクから出ている部分のみに日やけ止めを塗ればいい』わけではないようです。

 

花王株式会社が行った調査では、マスクで隠れない部分はもちろん、マスクで覆われた頬や顎部分、さらにサングラスや帽子を着用しても隙間から紫外線が侵入して、肌に到達していることが確認されました。

 

紫外線を浴びた後のイメージ

紫外線を浴びた後のイメージ(右図)

日やけ止め未塗布にマスク着用の場合

 

紫外線を浴びた後のイメージ

紫外線を浴びた後のイメージ(右図)

日やけ止め塗布効果

また、花王株式会社独自の解析方法でマスク着用時における日やけ止めの塗布状態の経時変化を確認したところ、時間の経過とともに日やけ止めがマスクに付着していることが分かったそうです。

日やけ止めが付いている部分が黒く見える(イメージ)

塗布直後

1時間後

3時間後

このことから、マスク着用時でも肌への紫外線の影響を防ぐためには、マスクで覆われている部分にも日やけ止めをムラ無く塗ること、さらにマスクで擦れやすい部分(鼻・頬・顔の側面など)は他より対策が必要であるという結果になりました。

 

日やけ止めはどう塗る?

 

マスクの中は汗と蒸れ・擦れで日やけ止めが落ちやすい状態であるため、汗や水に強いウォータープルーフタイプの日やけ止めを選び、普段よりも多めに塗ることを意識してみてくださいね。

 

≪日やけ止めを顔全体に均一に塗るコツ≫
日やけ止めには主にクリームタイプと液状タイプ(ジェル・乳液・ミルク)があります。このタイプ別に塗り方を変えることが重要なポイントです。

 

また、花王株式会社は日やけ止めをムラなく塗る方法として、くるくるとらせん状に塗る方法と、一方向に塗る方法を組み合わせた「らせん&一方向塗り」を提案しています。

  • クリームタイプ
    特 徴:粘度が高く肌に密着しやすい。狭い部分・顔などにおすすめ。
    塗り方:顔の数カ所に日やけ止めを置き、小さならせん塗りをする。その後、隙間を埋めるように一方向に短く伸ばす。

  • 液状タイプ
    特 徴:伸びがよく広げやすい。軽い使用感で体にもおすすめ。
    塗り方:1点において塗り広げると塗り残しや塗りモレができやすいため、額/鼻/顎/両頬に置き、大きならせんを描きながら塗布した後、さらに大きく一方向に伸ばして馴染ませる。

こうすることで日やけ止めが顔全体に均等に行き渡り、塗り残しや塗りムラが起きにくくなります。

また、1回塗ったらもう大丈夫!ではなく、タオルで汗を拭いたり、マスクで擦れたりしても日やけ止めは落ちてしまいます。落ちたと思ったときにすぐに重ね塗りするか、2~3時間おきに塗り直すことが大切です。

クリームタイプ

ミルクタイプ

 

曇りや雨の日・ステイホームでも要注意

 

紫外線の量は曇りや雨の日でもそれほど減りません。
快晴の日を100%にした場合、地上に降り注ぐ紫外線量は次の通りになります。

  • 薄曇りの日:紫外線量が8~9割
  • 曇りの日:紫外線量が6割弱
  • 雨の日:紫外線量が約3割

また、雲の状態によっては、雲が比較的多くても日射しを受けていれば、快晴の場合よりも紫外線量が多くなることもあります。
曇りの日でも油断せず、マスク焼けに注意することが大切です。

 

そして、在宅ワークや自宅では日やけ止めは必要ないと考えている方も多いかと思いますが、紫外線A波(UVA)は窓ガラスを通過して室内にも届きます。
マスクを外して自宅で過ごす日でも、室内で浴びる紫外線を最小限に留めるため、日やけ止めを活用することをおすすめします。

 

皮膚科医からのHOTなメッセージ

 

地上に到達する紫外線にはA波(UVA)とB波(UVB)があります。
A波は皮膚の弾力を保つコラーゲンなどを破壊するためシワやシミの原因となりますし、B波は皮膚表層の細胞を傷つけ細胞の癌化を引き起こします。ぜひとも紫外線対策をしたいですね。

 

日やけ止めはもちろん有効ですが、顔に塗布する場合はマスクの付け外しによる摩擦や汗により除去されやすいです。帽子や日傘、サングラスなどを上手に組み合わせ万全に対策しましょう。


~皮膚科医 知井~

【参考資料】

  • 「マスク着用時の日やけ止めによる効果的な紫外線対策(花王ビューティリサーチ&クリエーションセンター)」
    https://www.kao.com/jp/corporate/news/products/2021/20210610-001/
  • 「紫外線環境保健マニュアル2020(環境省)」
    https://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2020/matsigaisen2020.pdf
  • 「快晴時のUVインデックスを100%とした場合の天気毎のUVインデックスの割合(気象庁HP)」
    https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/3-73uvindex_mini.html
 

PDF版はこちら 【2022年7月】健康づくりかわら版.pdfをダウンロード

 

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