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日本予防医学協会HP

半袖で過ごせる陽気も増えてきました。新緑を感じつつ、活動量を増やしていきたいですね。
さて、今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

『何人も、酒気を帯びて 車両等を運転してはならない。』

 

タイトルは道路交通法「酒気帯び運転等の禁止」 第65条 第1項です。

ですが、現実には飲酒運転によって失われていく命があります。

 

そのような背景から、2022年(令和4年)4月より改正道路交通法施行規則が順次強化され、社用車運転前後の安全運転管理者によるアルコールチェックが「義務化」されました。
そこで、今月は改正道路交通法施行規則の内容を確認しながら、
『運転とアルコール』について考えていきましょう。

 

改正道路交通法施行規則 『安全運転管理者の業務』

 

『安全運転管理者』
乗車定員11人以上の自動車1台以上、またはその他の自動車5台以上の自動車を使用する事業所ごとに選任が必須となっています。

 

2022年4月より「安全運転管理者」へ追加される業務【順次強化】

― 運転者に対して運転前後のアルコールチェックを行うこと ―

2022年4月1日より

  • 運転前後の運転者の状態を目視等でチェックし、酒気帯びの有無を確認する
  • 酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存する

 

2022年10月1日より

  • 運転者の酒気帯びの有無の確認を、“アルコール検知器”を用いて行う
  • アルコール検知器を常時有効に保持すること

アルコール検知器
 呼気中のアルコールを検知し、その有無またはその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器

 

アルコールと運転

 

飲酒運転に対しては厳しい罰則が定められています。

【酒酔い運転】

5年以下の懲役または100万円以下の罰金 
違反点数:無条件で35点⇒免許取消し、欠格期間3年

【酒気帯び運転】
3年以下の懲役または50万円以下の罰金
違反点数:呼気中アルコール濃度0.25㎎/L以上で25点⇒免許取消し 欠格期間2年
     呼気中アルコール濃度0.15㎎/L以上0.25㎎/L未満で13点⇒免許停止 90日間

飲酒運転死亡事故率、飲酒運転なしの場合と比べ約8.1倍。※2

飲酒運転は極めて危険性が高い行為です。

お酒に酔う=脳がアルコールによって麻痺している状態であり、注意力や判断力、情報処理能力が低下し、反応や操作能力が落ち、事故の可能性が高くなります。

 

飲酒運転の背景に潜む、アルコールへの依存

 

アルコールは身体的・精神的な依存を引き起こすことがあります。

 

長期間の多量な飲酒によって、アルコールの制御ができなくなります。車の運転の予定があっても、お酒を飲みたくなり、それを抑えることができないのです。

 

依存症対策全国センター※1では、アルコール依存の経過を細かく説明してくれています。

① 常習的な飲酒や飲酒機会が増大するとアルコールへの耐性が生まれ、
② 以前と同じ効果を得るために飲酒量が増えたり、飲酒をしていない時の不快な症状が起こり、
③ 次第に飲酒の制御が困難になり、
④ 身体的、精神的、社会的問題・悪影響が頻発しても飲み続けてしまいます。

長期間多量に飲酒をすれば誰でもアルコール依存症になる可能性があるということを理解しなくてはなりません。

 

節度あるお酒との付き合い方

 

車を運転するときには、お酒は飲まない。
お酒を飲むときには、車を運転しない。

お酒をたしなむ方の守るべきルールです。このことは肝に銘じましょう。

また、アルコールは肝臓や脳以外にも、がんや生活習慣病などたくさんの疾患の要因となります。また、うつや不安障害とも関係があります。ご自身のお酒の飲み方や飲酒量を振り返りましょう。

●節度ある適度な1日の飲酒量・・・純アルコール量で20g

(女性や高齢者は半分量の10g)

 

 純アルコール量(g)=お酒の量(ml)×度数(%)×お酒の比重【0.8】 
 《例 ビール500ml(5%)  500ml×0.05×0.8=20g》

 

~詳細はこちらで確認を!『かわら版 2021年11月号』~ 
できていますか? (×)酔い (〇)良い お付き合い
https://www.jpm1960.org/kawara/03/202111.html

 

●アルコール使用障害スクリーニング(AUDIT)
 ※純アルコール量10g=1ドリンクで換算してください。

 厚生労働省 e-ヘルスネット AUDIT (最終閲覧:2022年4月12日)
 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-021.html

今回の記事は次の資料を引用・参考にして作成いたしました。

 

※1 依存症対策全国センター アルコール依存症の症状とサイン(最終閲覧:2022年4月19日)
   https://www.ncasa-japan.jp/notice/alcoholism/sign
※2 警視庁WEB 令和3年警察白書 第2部 
   第4章 安全かつ快適な交通の確保 p.168 (最終閲覧:2022年4月11日)
   https://www.npa.go.jp/hakusyo/r03/pdf/pdfindex.html

 

【警察庁WEB】 (最終閲覧:2022年4月12日) 

  • 飲酒運転根絶
    https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/index.html
  • 安全運転管理者の業務の拡大 
    https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/index-2.html

【厚生労働省 e-ヘルスネット】 (最終閲覧:2022年4月11日)

  • アルコールの運転技能への影響
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-06-006.html
  • アルコール依存症 
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-016.html
 

PDF版はこちら 【2022年5月】健康づくりかわら版.pdfをダウンロード

 

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