バックナンバー
日本予防医学協会HP

厳しい暑さが続いていますが、夏独自の風景や味覚を楽しめる時季でもあります。

忙しい毎日の中でも、ほっと一息つく時間を大切にしながら、健やかに過ごしていきたいですね。



さて今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

特定保健指導は未来への投資
 ~まずはお腹周り1cm減から~

 

健康診断の結果を見て、「少し体重が増えたかな」「お腹周りが気になる」と思いながら、そのままにしていませんか?
実は、その小さな変化が将来の健康を左右することもあります。
そして、将来の健康を守るために、健康診断の結果を活用して実施されているのが「特定保健指導」です。

今回はこの『特定保健指導』に関するお話です。

腹囲測定
 

特定保健指導とは?

 

特定保健指導は、40~74歳を対象に健康診断の結果から生活習慣病のリスクが高いと判定された方へ、専門職(保健師、管理栄養士など)が、一人ひとりの生活に合わせて健康づくりを支援するプログラムです。

腹囲やBMI、その他の検査値が基準値を超えていても「まだ症状がないから大丈夫」と思う方もいるかもしれません。
しかし、高血圧症や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、自覚症状がないまま進行することが少なくありません。

車で例えるなら、健康診断は定期点検です。異常ランプが点灯する前に整備を行えば、大きな故障を防ぐことができます。
しかし、定期点検を怠ればどうなるか、どんな未来が待っているのか容易に想像できると思います。

特定保健指導は、健康診断の結果から自らの生活習慣を振り返り、今できる生活習慣を改善し、将来の健康リスクを回避することを目的としています。

「治療」ではなく「予防」のために実施していることが、特定保健指導の特徴です。

専門職が話を聞き取る
 

なぜ腹囲が重要なの?

 

特定保健指導では、腹囲が重要な指標になっています。

男性85㎝以上、女性90㎝以上を目安として判定されます。その理由は、内臓脂肪にあります。

内臓脂肪は皮下脂肪と異なり、内臓の周囲に蓄積する脂肪です。
この脂肪は高血糖や高血圧、脂質異常の原因となり、生活習慣病のリスクを高めることがわかっています。

メジャー

一方で、内臓脂肪には嬉しい特徴もあります。それは、「落としやすい脂肪」であることです。

例えば、
・エレベーターでなく、階段を利用する
・加糖のコーヒーをお茶や水に変える
・1日10分多く歩く

こうした小さな積み重ねでも減少しやすいことが知られています。

特定保健指導では、最初に専門職と面接を実施し、目標の体重や腹囲、目標を達成するための行動計画を立案します。その後、3ヶ月~6ヶ月程度、定期的に専門職のサポートを受けながら、取り組みを実施していきます。

大幅な体重減量は必要ありません。現在の体重の3~5%減少を目標にして取り組むだけでも、健康面で大きなメリットが期待できます。

 

継続は力なり ~健康づくりのコツ~

 

健康づくりでもっとも大切なのは「頑張ること」ではなく、「続けること」です。

立てた目標がなかなか続けられなかった経験は、誰にでもあります。
実は、生活習慣の改善に成功する人は、最初から大きな目標を立てているわけではありません。

例えば、運動習慣がない方は、「毎日1時間ウォーキングをする」より、「テレビを見ながらスクワットを10回」から始めています。

有名な話ですが、日本を代表する元プロ野球のイチロー選手は、「小さなことを重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道」と語っています。

健康づくりも同じです。

1回の食べ過ぎで体重が増えたとしても、翌日から食事量や運動量を調整し、体重をうまくコントロールできれば問題ありません。
大切なのは、完璧を目指すことではなく「小さな改善を積み重ねること」です。
そして、生活習慣の改善や取り組みは特別なイベントではなく、歯磨きのように日常生活の一部にすることで無理なく継続できます。

継続
 

未来の自分から感謝される選択を

 

今の生活習慣は、5年後、10年後の自分へのプレゼントです。

例えば、毎日缶ビール350mlを1本減らす場合、1年間では約5万kcal以上の摂取エネルギーの削減につながります。これは体脂肪に換算すると、約7kg分に相当します。

また、1日10分のウォーキングを追加すると、年間で60時間以上の運動時間になります。

小さな変化でも、積み重なると大きな差になります。

将来、「もっと早く始めておけばよかった」と思う人は多くいますが、「健康づくりを始めて後悔した」という人は聞いたことがありません。

特定保健指導は、ただ体重を減らすためのプログラムではなく、これからも好きなことを楽しみ、仕事や趣味、家族との時間を元気に過ごすための「未来への投資」です。

特定保健指導の案内があったら、ぜひご利用ください。生活習慣を見直すチャンスです。

未来への自分へプレゼントをおくる
 

最後に・・・

 

健康は失って初めてその価値に気づくことが多いものです。
そして、健康は「いつか」ではなく、「今」の積み重ねから始まります。
特定保健指導の対象になった場合や、生活習慣病のリスクが高いといわれた場合は、今日からできることを1つ始めてみませんか?

未来のあなたは、きっとその一歩に感謝してくれるはずです。【s】

コツコツ積み上げる
 

※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。

 

・標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)(厚生労働省)
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194155_00004.html

・特定健康診査・特定保健指導の円滑な 実施に向けた手引き(第4.3版)(厚生労働省)

 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001496685.pdf

・特定健診・特定保健指導の効果検証(厚生労働省)
 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_300511.html

 
 

PDF版はこちら【2026年8月】健康づくりかわら版をダウンロード

 

一般財団法人日本予防医学協会
HP https://www.jpm1960.org/
本メールマガジンに掲載された記事を許可なく転載することを禁じます。
Copyright (c) The Association for Preventive Medicine of Japan.
All rights reserved.