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「春眠暁を覚えず」7世紀ごろ、古代中国・唐の時代に詠まれた詩「春暁」の冒頭の一節です。現代語に訳すと「春の穏やかで暖かな気候のせいで、朝が来ても気づかずに寝過ごしてしまう」という意味になります。
春の暖かな気候の中、心行くまで眠りたい!と、みなさんも考えたこと、あるのではないでしょうか。
さて今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

最新データから見る日本の睡眠

 

4月は新年度が始まり、生活環境が変わる人も多い季節です。
「心行くまで眠りたい」と思っていても、進学や異動などによって生活リズムが変わり、睡眠のリズムが乱れ、「最近なんだか寝不足かも」と感じている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
いまや5人に1人が睡眠に悩みを抱える時代。そんな中、実は日本人の睡眠には特徴があることが分かってきています。

そこで今回は、『睡眠』に関するお話です。

4月
 

日本人の睡眠は世界最短?

 

まず、日本人の睡眠時間についてです。
2021年に発表された経済協力開発機構(OECD)の平均睡眠時間各国比較によると、日本人の平均睡眠時間は約7時間22分でした。
これは調査された国の中で最も短い睡眠時間です。多くの国では7時間半から8時間程度の睡眠が確保されています。
なお、日本人の睡眠時間は1960年代と比較すると約1時間短くなっていることも報告されています。高度経済成長期の時期と比べて約1時間睡眠時間が短いというのは驚きですね。

グラフ
 

約半数が6時間未満睡眠

 

令和6年度過労死等防止対策白書によると、就業者全体の約半数が6時間未満の睡眠で生活していることが報告されています。
一般的に成人では7時間前後の睡眠が健康の維持、仕事などの効率・安全性においても望ましいとされており、睡眠時間が短い状態が続くと次のような影響が出る可能性があります。

  • 疲れが取れにくい
  • 集中力、判断力が低下する
  • 生活習慣病のリスクが高まる
  • 作業ミスが増える
  • 事故のリスクが高まる
6時間を指し示す時計

実際に、同報告にて、睡眠で休養がとれているかについて、就業者全体の約半数が「全く取れていない」「あまり取れていない」と回答しています。
また、2021.2発行の健康づくりかわら版「しっかり眠って健康に!」でも触れているように連続して15時間以上起きている状態は「酒気帯び状態」と同程度の作業能力となり、生産性の低下、労働災害発生のリスクを高めます。

 

日本人の睡眠に改善の兆しあり!?

 

一方で、日本人の睡眠は少しずつ改善している可能性も報告されています。
睡眠計測アプリのデータを分析した発表では、日本の平均睡眠時間が以前よりも長くなっていることが分かりました。
具体的には平均睡眠時間が約30分ほど長くなったという結果が発表されています。
まだ世界と比べると短い睡眠時間ですが、睡眠への関心の高まりとともに、生活習慣を見直す人が増えているのかもしれません。

また、同発表にて日本人は睡眠時間は短いものの、平日と休日の睡眠時間の差が小さく、7か国の比較で睡眠リズムが最もよいということについても触れられており、大きな話題となりました。
この「睡眠規則性」は睡眠時間よりも死亡リスクと強い関連があることが報告されており、他にも睡眠規則の乱れは学業成績の低下と関連していることも明らかとなっています。
睡眠時間は短い一方で、生活リズムは比較的規則的であるということが日本人の睡眠の特徴ということができるのではないでしょうか。

 

睡眠を整えるポイント

 

睡眠の質を高めるためには、体内時計を整えることが重要とされています。
体内時計は光や生活習慣の影響を受けて調整されており、特に次のような習慣が睡眠の改善につながると考えられています。

  • 朝起きたら太陽の光を浴びる
    朝の光は体内時計をリセットし、夜に自然な眠気を起こしやすくします。また、朝食を食べることも体内時計をリセットします。
太陽の日を浴びて起床する女性
  • 寝る時間と起きる時間をそろえる
    毎日同じ時間に寝起きすることで体内時計が安定し、睡眠の質が向上しやすくなります。
目覚まし時計
  • 寝る前の強い光を避ける
    スマートフォンなどの光は脳を覚醒させる働きがあるため、就寝前は使用を控えることが望ましいとされています。
布団の中でスマートフォンを操作する男性
  • 日中の適度な運動
    日中に体を動かすことは、夜の眠気を強める効果があるといわれています。
体操をする男性
 

最後に・・・

 

ミラノ・コルティナオリンピック、パラリンピック、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)など、2026年前半話題になった日本人アスリートもたくさんいましたが、多くのアスリートが共通して「食事と【睡眠】には気を遣っている」とインタビュー等で答えています。高い成果を上げる人ほど生活習慣の重要性にいち早く気づいているのですね!
あなたも日々を戦うアスリート!まずは日々の睡眠が本当に足りているのか、自分自身に問いかけてみましょう。【Y】

眠る女性
 

※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。
・OECD Gender Data Portal, Time use across the world 
 https://www.oecd.org/en/data/datasets/time-use-database.html
・睡眠障害ガイドライン https://www.ncnp.go.jp/
・令和6年度過労死等防止対策白書 
 https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/karoushi/25/index.html
・健康づくりかわら版 2021年2月号
 https://www.jpm1960.org/kawara/04/202102.html
・https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000126093.html
(最終閲覧日:2026年3月12日)

 
 

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