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新しい年がスタートしました。今年は「丙午」の年。
十干(じっかん:暦を構成する10の要素)の丙(ひのえ)と十二支の午(うま)の組み合わせは60年に一度です。
「丙」は太陽のような明るさ、「午」は勢いを表すいわれています。皆様の一年が、活力に満ち力強く前進する年となりますように。

さて今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

「笑い」の効果 ~こころと身体を元気にする力!!~

 

昔から「笑う門には福きたる」といわれてきました。
今年最初の「初笑い」はどんな出来事でしょうか?

「笑い」は近年、心身にさまざまな良い影響を及ぼすことが研究により明らかになってきました。

そこで今回は『笑いの健康効果』に関するお話です。

 

笑いがもたらす“身体によい効果”

 

●免疫力アップ

笑いには、身体の防御力を高める作用があります。代表的なものは、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性化です。
NK細胞とは、がん細胞やウイルスを攻撃する働きを持つ免疫細胞です。

研究によると、寄席を見に来たお客さんのNK細胞の活性を調べたところ、大笑いをした後のほうがはるかにNK細胞が活性していることが分かりました。

また、免疫細胞を活性化するのに薬を使った場合、効果が出るのに3日かかるのに対し、笑いは短期間で効果があることが分かりました。

風邪をひきやすい、疲れが取れにくいという人ほど、意識的に笑う機会を増やすことで、身体の防御力を高めることが期待できますね。

 
パンチを繰り出す女性

●血流の改善

ワッハッハと大笑いすることは、下腹部に力を入れて息を吐く腹式呼吸と同じ状態です。
胸式呼吸では1回に出入りする空気の量は500㏄ですが、腹式呼吸では2000㏄にもなります。

大声で笑うことで、体内に溜まっている二酸化炭素が排出されてたくさんの酸素を取り込みます。すると、肺胞(酸素と二酸化炭素を交換する場所)の表面から「プロスタグランジン」という物質が分泌され血管を拡張し血圧を下げるように働きます。
 
血流が良くなることで、高血圧や動脈硬化のリスクを下げ、脳卒中や心筋梗塞の予防にもつながります。

日常の中で笑顔の時間を増やすことは、食事や運動と同じように「血管の健康習慣」ともいえそうですね。

 
おなかを抱え笑う女性

●糖尿病の予防、改善

ストレスが溜まると交感神経(自律神経のうち身体を緊張モードにする)が活発になり、血糖を上げる作用を持つグルカゴンやアドレナリン等のホルモンが多く分泌されて血糖値が上昇します。

笑うことでストレスが軽減されると、交感神経の緊張が緩和され血糖値を上昇させるホルモンの分泌が減ったり、過食を防いだりと血糖のコントロールに望ましい作用を及ぼす可能性があります。

 
駆け寄る主婦

●痛みを和らげる効果

笑うと、脳内で生成される神経物質である「エンドルフィン」が分泌されます。
エンドルフィンはモルヒネに似た構造を持ち、気分を高揚させ、幸福感をもたらすほか、痛みを和らげる働きがあります。

足の指を何かにぶつけてしまい、痛さのあまり思わず笑ってしまった経験はありませんか?
痛いときに笑いが出るのは、無意識に痛みを和らげようとしたり交感神経の緊張をゆるめようとするためです。

笑いは、薬を使わずに痛みを緩和できる“天然の鎮痛剤”として介護・医療の現場でも注目されつつあります。

 
両手を広げる女性

●認知症の予防

落語を聞いて笑った後の脳血流の部位別変化を測定した実験では脳全体で血流が増えましたが、特に海馬(記憶の中枢)と扁桃体(感情の中枢)の血流が増加していました。
笑いが記憶力を良くし、感情を豊かにするといえます。

さらに、「ほぼ毎日笑う人」と「ほとんど笑わない人」では、後者のほうが1年後の認知機能の低下が大きいという調査報告が出ており、笑いの頻度が少ないことは認知機能の低下と関連することが明らかになりました。

 
2人の高齢女性
 

笑いがもたらす“こころに良い効果”

 

●ストレスの軽減

笑いは、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌を抑え精神的な疲れや不安を和らげます。
また「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンやドーパミンの分泌を促します。これにより、幸福感が増し気分が前向きになり、抑うつ気分の緩和や不安の軽減につながります。

 
寝転がる男性

●リラックス効果

副交感神経(自律神経のうちリラックスモードにする役割)が優位になることで、心拍数や血圧が下がり、睡眠の質が向上したり深い眠りにつきやすくなります。

 
鼻歌を歌う女性

●社会的な効果

笑いは単なる感情表現ではなく、周りの人と良い関係や良い雰囲気を作る大切なツールです。
人は誰かと笑うことで信頼や安心感が生まれ、こころの距離が縮まります。

また、前頭葉(思考や判断を司る司令塔の役割)にあるミラーニューロン(鏡の神経細胞)の働きにより、周りの人が笑顔でいると自分も楽しい気持ちになり、明るい空間が周りを元気にする「笑いの伝染効果」が認められています。

 
レジャーシートに座る男女
 

笑いを日常で増やす工夫

 

「そんなに毎日笑えることは起こらない…」と感じる方もいるかもしれませんが、意識次第で笑いの機会は増やせます。

テレビのお笑い番組やおもしろい動画、コメディ映画を観るのも良いですが、「笑える毎日」のコツは、自分でおもしろいことを考えたり見つけること。
失敗したり嫌なことがあっても「おっ!いいネタができたぞ!」「失敗は笑いに変えてしまおう♪」と、それさえも笑いのネタにできればしめたものです。
意識して観察すれば、日常や仕事の中にも、意外と笑える要素はきっと見つかりますよ。

作り笑いであっても大丈夫です。口角を上げて笑顔の筋肉が動くと、その情報が脳に伝わり脳が「笑っている」と勘違いをし幸福感が得られるそうです。
気持ちがへこんだときこそ、鏡に向かって思いっきり作り笑いをしてみるといいかもしれませんね。

さらに、「笑いヨガ(ヨガの呼吸法やストレッチを組み合わせた笑いの健康体操)」なども、認知症予防や運動機能の向上等を目的に、介護の現場で導入されるところが増えています。

 

最後に・・・

 

新しい年の始まり、たくさん笑ってスタートできたでしょうか。
忙しい日常だからこそ、ちょっとしたユーモアや微笑みを大切にしてみませんか?

きっと、私たちの暮らしはより健康で豊かなものになり、前向きなエネルギーが湧いてくるはずです。
2026年が皆様にとって、笑顔あふれる一年となりますように!【A】

和服姿の女性
 

※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。
・西田元彦.笑いの健康学.シンプリブックス,2022,150p 
・昇幹夫「笑いの医学的考察」
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/warai/1/0/1_KJ00003258916/_article/-char/ja/ (最終閲覧日:2025年12月8日)
・大平哲也「認知症予防を目的とした笑いの効果についての実践的研究」
  https://www.nihonseimei-zaidan.or.jp/shiryo/kourei/saisyu_houkoku/H19_oohira.pdf (最終閲覧日:2025年12月8日)

 
 

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