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ツボ押しで整える秋の健康習慣

少しずつ秋の気配が近づいてきました。
実りの秋、心も体も健やかに充実した秋を過ごしたいですね。
さて、今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

ツボ押しで整える秋の健康習慣

 

朝晩の冷え込みが増し、空気も乾燥してくる10月。この時期は、気温や湿度の変化に身体がついていかず、体調を崩しやすくなるため、不調を感じる場面も多いのではないでしょうか。
そこで今回は『ツボ押しセルフケア』に関するお話です。

 

秋に多い健康トラブル

 

秋という季節は「乾燥」と「寒暖差」が大きな特徴です。
これにより、以下のような症状が現れやすくなります。

・喉や鼻の乾燥、咳が出やすくなる
・肌のかさつき、かゆみ
・肩こり、頭痛、目の疲れ
・冷えや倦怠感、疲れがとれにくい
・気分が沈みやすくなる(秋うつ)

中医学では、秋は「肺」の働きが弱りやすい季節とされています。ここでいう「肺」は臓器としての肺の意味とは違い、呼吸器系だけでなく免疫、水分代謝、皮膚の状態や機能に関わります。また、寒暖差などの外的要因と生活習慣の乱れなど内的要因の両面から、自律神経のバランスが崩れやすく、ストレスを感じやすくなる時期でもあります。

温度計
 

手軽にできる健康習慣「ツボ押し」とは

 

ツボ押しは、東洋医学の考え方に基づいたセルフケアの一つで経絡と呼ばれるエネルギーの通り道にある経穴(=ツボ)を刺激することで、身体の巡りを整え、不調を和らげる効果が期待できます。
道具は不要で、場所も選ばず短時間で実践できるため、忙しいビジネスパーソンにもぴったりの健康法です。

(ツボ押しの期待される主な効果)
1.血行の改善
2.痛みやこりの緩和
3.内臓機能の調整
4.精神の安定
5.美容と若返り

 

秋の不調におすすめのツボ3選

 

1.尺沢(しゃくたく)

乾燥により働きが弱りやすい「肺」に関わる不調に効果的で、呼吸器の症状全般に効くツボ。
肺に活力を与え、水分の循環をよくし乾燥肌にも効果的です。

効能:咳・喉の痛み・喘息・鼻水、皮膚の乾燥など

ツボの場所:肘を曲げたときに内側にできるシワの中心から指1本分親指寄りの部分。

押し方:反対の親指をツボにあて左右6~8回ずつ、息を吐きながら腕の中心に向かって押し、息を吸いながら緩めます。

左右どちらも行いましょう。

こんな人におすすめ
・乾いた咳が出る
・喉がイガイガする
・風邪をひきやすい
・肌がカサカサする

尺沢(しゃくたく)

2.風池(ふうち)

風邪の予防に効くツボ。血行を促進し、筋肉や神経の緊張をほぐしてくれるため、寒暖差による不調にも効果的です。

効能:頭痛・肩こり・不眠・目の疲れ・自律神経の乱れなど

ツボの場所:首の後ろ、髪の生え際で、僧帽筋という太い2本の筋肉の両側のくぼんでいる部分。

押し方:両手の親指で頭を包むようにして、息を吐きながら、一度中央に寄せてから押し上げ、息を吸いながら緩めます。

6~8回繰り返して行いましょう。

こんな人におすすめ
・季節の変わり目に頭痛が出やすい
・自律神経が乱れて眠れない
・目が疲れやすい
・肩や首がこりやすい

風池(ふうち)

3.太衝(たいしょう)

自律神経に働きかけて、下半身の血流をよくするツボ。心身の緊張や落ち込みにも改善効果があり、秋のメンタル不調や食欲不振にもおすすめです。

効能:ストレス緩和・胃腸の不調・冷え・自律神経の乱れ

ツボの場所:足の甲、親指と人差し指の骨が交わるくぼみ部分。やや凹んでいるところ。

押し方:親指をツボにあて6~8回、息を吐きながら足裏に向かって押し、息を吸いながら緩めます。左右どちらも行いましょう。

こんな人におすすめ
・気分が落ち込みがち
・イライラしやすい
・秋になると食欲がなくなる
・冷え性や便秘が気になる

太衝(たいしょう)

今回は秋におすすめの3つのツボ(経穴)を紹介しましたが、正式にWHOが定めているものだけでも体には361もの経穴があります。ご自身の体調に合わせたツボや押すと気持ちよい場所を探してみてくださいね。

 

実践のポイント

 

ツボ押しを効果的に取入れるためのポイントは次の通りです。

●リラックスした呼吸とともに行う

息を吐きながら押し、息を吸いながら緩めます。できるだけゆったりと長い呼吸を意識することで、副交感神経が優位になりやすく、リラックス効果が高まります。

深呼吸

●毎日の習慣として継続する

1回1~2分の短時間でも継続することで、体調の維持につながります。毎日ちょっとずつでも継続して行うと効果的です。

日めくりカレンダー

●痛すぎない程度の圧で行う

経絡は皮膚の表面近くを通っているため、軽く押すだけでも効果があります。押してみて自分が「気持ちよい」と感じる程度が最も効果的です。
ぐっと押し込むのではなく、指先でじんわり押すのが基本です。

指圧
 

ツボ押しQ&A

 

Q:正しいツボの位置を押せているか不安です。

A:多少位置がずれていても気にする必要はありません。

ツボの位置は、個人差がある上、ピンポイントではなくても効果があります。これでいいのかな?と不安に思いながら押すより、絶対に効く!と信じて押す方が効果的と考えられます。

Q:道具は必要ですか?

A:基本は指だけで十分です。

ネイルをしている等で押しにくい方や、指でのツボ押しに慣れてきたら、ペンやツボ押し棒、ボールなどを使用する方法もあります。

Q:ツボを押さない方が良い場合はありますか?

A:発熱時や飲酒後、入浴中のタイミングは避けたほうがよいです。

また、妊娠中やがん治療中、高血圧や心臓病の方は、ツボによっては流産や病状の悪化につながる可能性もあるため、自己判断では押さず主治医に確認の上、行うようにしてください。

 

最後に・・・

 

多彩な魅力にあふれる秋には、人それぞれ〇〇の秋の楽しみがあり、仕事だけでなくプライベートも日々忙しく過ごされるのではないでしょうか。つい自分の体調管理が後回しになりがちなこの時期。1回数十秒のツボ押しでも、積み重ねることで体は変わります。
ぜひ、短時間で気軽にできる「ツボ押しセルフケア」を取り入れ、自分の身体と向き合う時間を意識的に確保してみてはいかがでしょうか。ご自身の体調にあわせたツボの推し活を始め、今年も充実した秋にしていきたいですね。【N】

 

※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。
・福辻鋭記『体が整うツボの解剖図鑑』株式会社エクスナレッジ、2019

 
 

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