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暑い日が続いていますね。今年の夏は11月まで続くのでは?という噂もありますが、その分、長い夏を満喫できるということでポジティブに考えたいと思います。
さて今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

減塩は社会全体で取り組む時代!?

 

健康診断で高血圧を指摘され、塩分を控えた食事を心がけていても、減塩生活が継続できず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
塩分は調味料に多く含まれ、特に加工食品や外食からの摂取が多いことから、健康を守るには個人の認識だけでなく、社会全体で取り組む必要があるといわれています。

そこで今回は『減塩』に関するお話です。

塩
 

TRY!スマソる?

 

皆さんは「TRY!スマソる?」という言葉を聞いたことはありますか?

福岡県では、2023年に賢く(スマートに)塩(ソルト)を使用する減塩プロジェクト『TRY!スマソる?』を開始しました。
このプロジェクトでは、単に塩分を減らすだけではない減塩の工夫が推奨されており、『いかにおいしく、そして楽しく減塩できるか』を追求し、様々な取り組みが行われています。

具体的には…

1.スマソルレシピの紹介
2.スマソル弁当の販売
3.料理教室・公開講座の開催 などです。

特設サイトでは、塩分チェックシートも掲載されています。日々の食生活で塩分をどのくらい摂取しているかを確認でき、減塩のヒントもたくさん見つかりますので、興味がある方は『スマソル』で検索してみてください。

 

スマソル体験談

 

この減塩プロジェクトに取り組んでいる協力事業者のお店へ行き体験してきました。

~焼き鳥屋~

通常の焼き鳥と一緒に、減塩仕様の焼き鳥を選ぶことができるお店で、『砂肝(砂ズリ)』と『豚バラ』をそれぞれ通常のものと減塩仕様のもので食べ比べてみました。

砂肝は意外にも味の差を感じにくく、一方で豚バラは明らかに違う…。同じ減塩仕様でも部位によってここまで差があるということに驚きました。

砂肝…水分が少なく繊維質がしっかりしているため、塩分量に関係なくしっかりした塩気を感じやすい
豚バラ…脂で塩味がぼけるため、減塩すると差を感じやすい

減塩を始めたい人は『砂肝・皮・ハツ』など味を濃く感じやすい部位から挑戦すると、違和感が少なく取り入れやすいかもしれません。『豚バラ・ささみ』などは薬味をプラスすると減塩でも物足りなさを感じずに楽しむことができます。

焼き鳥

※焼き鳥なのに『豚バラ』?
福岡県は焼き鳥が人気で、鶏肉だけでなく豚バラを使った焼き鳥も定番メニューです。また、キャベツの上に焼き鳥をのせるスタイルも福岡独特。このキャベツは単なる刺身のツマのようなものでなく、ポン酢ダレをかけて食べるとおつまみにもなります。

焼き鳥

~薬局とコラボしたヘルシー路線のカフェ~

週替わりの減塩プレートをいただきました。

雑穀米
鶏むね肉のポシェ
人参とくるみのラペ
紫キャベツのコールスロー
きゅうりのカレー風味カルパッチョ
ひじきと枝豆サラダ
蓮根グリル

この中で一番興味深かったのは、メインの『鶏むね肉のポシェ』です。低温でやさしく火を通された鶏むね肉に赤いソース。あんず?のような甘酸

っぱい味…

気になってお店の方に聞いてみると、5つの食材・調味料が使われているとのこと。面白い組み合わせで、夢中になって食べました。全体としても、たっぷりの野菜と様々な味・食感・香りにより減塩であることを感じさせない大満足のプレートでした。

~薬局とコラボしたヘルシー路線のカフェ~

週替わりの減塩プレートをいただきました。

雑穀米
鶏むね肉のポシェ
人参とくるみのラペ
紫キャベツのコールスロー
きゅうりのカレー風味カルパッチョ
ひじきと枝豆サラダ
蓮根グリル

この中で一番興味深かったのは、メインの『鶏むね肉のポシェ』です。低温でやさしく火を通された鶏むね肉に赤いソース。あんず?のような甘酸っぱい味…

気になってお店の方に聞いてみると、5つの食材・調味料が使われているとのこと。面白い組み合わせで、夢中になって食べました。全体としても、たっぷりの野菜と様々な味・食感・香りにより減塩であることを感じさせない大満足のプレートでした。

ワンプレート

~老舗醤油屋~

近年では様々な減塩調味料が販売されています。その中で今回は老舗醤油屋さんの減塩醤油を試してみました。比較対象は、普段我が家で使っている一般的なこいくち醤油です。それぞれを冷や奴にて実食しました。

まずは減塩醤油。ラベルには塩分42%カットと書かれており、さすがに薄いのでは?と少し心配していましたが、思いのほか違和感はなく、美味しい醤油でした。
そして、驚いたのはこの後です。減塩醤油の後に普段使っている醤油をいただくと、普段使っている醤油がとても塩辛く感じたのです。あまりの塩辛さに梅干しを食べた時のように顔をしかめてしまうほどでした。
人の味覚には『味覚順化』というものがあり、薄味でも数日すれば慣れるという話は聞きますが、慣れる間もなく、味覚の変化を感じた瞬間でした。

ラベルの裏面にある栄養成分表示では塩分量を『食塩相当量〇g』として記載されています。以前は『ナトリウム〇mg』という表記が多く、塩分量としての実感がわきにくかったのですが、今では何gの塩分が含まれているかを意識しながら選ぶことができます。
食品を選ぶ際は食塩相当量もチェックしてみてください。
(1日の目標量:男性7.5g未満 女性6.5g未満)

醤油
 

減塩を感じさせない工夫

 

『酸味・辛味・うま味・香り』を加えて、おいしく、そして楽しく減塩してみませんか?

1.酸味で薄味をカバー

お酢や柑橘類(レモン・かぼす・ゆずなど)を用いて味に変化をつける

ビタミンCやクエン酸を含み、夏バテ予防にも効果的

レモン

2.香辛料や香味野菜を加える

カレー粉・にんにく・ねぎ・しそ・生姜・海苔などの辛味や香味は塩味の代わりに味を引き締める

香辛料

3.出汁(うま味)を効かせる

かつお節・昆布・しいたけ・トマトにはうま味成分が多い

かつお節

4.香ばしさを活かす

焼き目をつける、ごま油やごまを加えて風味を活かす

ごま油
 

高血圧対策の新しい指標 ~ナトカリ比~

 

皆さんは『ナトカリ比』という言葉をご存じでしょうか。
ナトカリの『ナト』はナトリウム、『カリ』はカリウムを表しています。

ナトリウム…食塩の主成分
カリウム…ナトリウムの排泄を促す成分

単に塩分(ナトリウム)を減らすだけでなく野菜や果物(カリウム)をしっかり摂ることで体内のバランスが整い、血圧も安定しやすくなります。これが『ナトカリ比』の考え方です。

日本高血圧学会では高血圧予防のために、減塩と、野菜や果物の摂取増加を推奨しています。自治体や企業の健康診断では尿中のナトリウムとカリウムの比率を測る実証も進んでいるそうです。

※腎臓に疾患のある方はカリウム制限が必要な場合もあります。まずは医師にご相談ください。

 

最後に・・・

 

これまで減塩は個人で取り組むことが多く、取り組みや継続が大変な部分もあったかと思います。

しかし、今は、減塩をサポートしてくれる飲食店や調味料がたくさんあります。

私は、今回のスマソル体験で、塩味が薄いことで、素材の味が際立つ瞬間に気づくことができました。

減塩は“おいしさ”を見つめ直すチャンスなのかもしれません。

皆さんも、まずは“素材を感じるひと口”から減塩を始めてみませんか?【I】

 

※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。

・TRY!スマソる?WEBサイト
 https://www.kenko.pref.fukuoka.lg.jp/try-smasol/
 (最終閲覧日:2025年7月10日)

・厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年版)

・特定非営利活動法人日本高血圧学会WEBサイト
 https://www.jpnsh.jp/
 (最終閲覧日:2025年7月24日)

 
 

PDF版はこちら【2025年8月】健康づくりかわら版をダウンロード

 

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