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日本予防医学協会HP

寒さが徐々に和らぎ、春の訪れを感じる時季となりました。
春の花が咲くように、皆様のもとに笑顔が増える季節となりますように。
さて今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

あなたのカラダは渇いてない!?コップ2杯で身体が喜ぶ

 

私たちの身体の約6割は水でできており生命を維持しています。

また、インフラの一つとして、水は生活の中に当たり前に存在していますね。

毎年3月22日は、「世界水の日」。いつも身近にある『水』について、改めて理解と関心を深めてみませんか?

そこで今回は『水』に関するお話です。

水滴
 

水分が不足するとどうなる?

 

水分が不足すると、熱中症や虚血性疾患のリスクが高まり、体内の水分の20%を損失してしまうと生命の危機があります。
のどが渇いたと思ったときは、すでに水分が1%失われている状態です。

≪水分を損失している率とその症状の例≫
1%:多量の汗、喉の渇き
2%:強いの喉の渇き、尿の凝縮・量減少、めまい、吐気
3%~:頻脈、発汗が減る・しなくなる、頭痛、呼吸数上昇、
    手足の震え、ふらつき


室内外の温度差が大きい日は、ヒートショックによる血管へのストレスが心筋梗塞の要因となるといわれます。入浴前後の水分摂取や血液の濃縮が起こりやすい起床時にも水を飲むことが推奨されます。

汗を拭く女性
 

水分を摂ろう

 

1日の水分摂取量の目安は、約2.5リットルです。水分には、口から飲む飲料水(1.2リットル)、食べ物の中に含まれる水(0.3リットル)、のほか、体内で栄養素がエネルギーになるときに生成される代謝水(1.0リットル)があります。
そして、尿や便(1.6リットル)、皮膚や呼気からの不感蒸泄※(0.9リットル)により排泄され、水分の出入りが保たれています。

また、水分が排泄されるときには、電解質(ナトリウムやカリウム、クロール等)も併せて排泄されています。
また、不感蒸泄量は、発熱時など体調や温度湿度によっても変わります。

※不感蒸泄・・・日常において自然に、また無自覚に失われている、呼吸の際に呼気に含まれる水分と、皮膚や気道の粘膜から蒸発する水分

 

水分はどのように摂る?

 

のどの渇きを感じてから水を飲み始めるのではなく、渇きを感じる前に小まめに摂ることが大切です。
コップ1杯約200ml程度を、起床時、朝食時、午前中、昼食時、午後、夕食時、入浴前・後、就寝前と、1日に9~10回程度、小まめに摂れると良いですね。

また、水以外に、緑茶や珈琲、紅茶を摂る方も多いのではないでしょうか。
0カロリーではないものの、カテキン、テアフラビン、コーヒーポリフェノールなどのポリフェノールを含んでおり、老化予防や免疫力向上、生活習慣病予防などの効果が期待できます。
一方で、カフェインを含み利尿作用も持つため、多量に飲みすぎて脱水とならないように気を付けましょう。

砂糖や塩分を含む飲料(スポーツドリンク等)は、運動や重労働の際に、汗などで失われた分を補うときには適しますが、必要以上に摂りすぎないように気を付けておきましょう。

水を飲む女性
 

口当たりの良い水質とは?

 

人の身体の水分のpH(水素イオン濃度)は7.35~7.45に保たれており、それに近いpHの水が口当たりよく感じられます。
水道水は水道法「水質管理目標設定項目と目標値」においてpH7.5程度とするように定められており、飲用水は食品衛生法に基づいた成分基準を満たすように調整されています。
浄水器を通した水は、水道水から不純物や残留塩素が除かれていますが、天然水はその地域の地下水の成分が反映されています。

日本の水は地域により硬度が違いますが、多くは軟水です。
1リットルあたりのミネラル(カルシウムやマグネシウム等)の含有量により分類されます。

軟水
 1リットルあたりのミネラル含有量120mg未満
 口当たりがなめらかで、さっぱりとしている


硬水
 1リットルあたりのミネラル含有量120mg以上
 味がしっかり感じられる。大腸の調子を整えてくれる等の効果
 転がるような舌触りに好みがあらわれる

硬度により適した飲み物や料理が違います。ご自身の住んでいる地域の水道水の硬度を知り、必要に応じて軟水器を利用したり、硬水を購入するなどしてみるのも良いですね。

 

水道水に含まれるPFAS

 

日本の水道水は、「そのまま飲める水」として世界的に有名です。
しかし、2024年に公表された水道水質調査の結果に、水道水への不安を感じた方もいらっしゃるかと思います。

PFASとは、1万以上ある人工的につくられた有機フッ素化合物の総称です。そのうちPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、コレステロール値の上昇、発がん性や免疫系との関連が報告されていますが、どの程度の血中濃度でどのような健康影響があるかについては明らかになっていません。
PFOSとPFOAの合算で暫定目標値50ng/Lと定められています。体重50㎏の人が生涯にわたって毎日2リットル飲んでも健康に悪影響が生じないと考えられる水準を基に設定されています。

健康への影響を含め、測定・評価方法や基準値など、国・各省庁が連携して検討した情報を収集しながら、飲用水を選んでいきましょう。

なお、水道水のPFOS、PFOAの分類は2020年に水質管理目標設定項目に移行されました。現在さらに「水質基準」に見直される動きがあります。
また、消費者庁食品衛生基準審査課において、ミネラルウォーター類のうち殺菌または除菌を行うものを対象に、PFOS、PFOAを成分規格とする方針が示されています。

ご自身の地域の水道水の水質についてより詳しく知りたい方は、環境省ウェブサイトよりご確認ください。

 

環境省 有機フッ素化合物(PFAS)について
https://www.env.go.jp/water/pfas.html

水道水
 

最後に・・・

 

空気の乾燥が気にならない時季でも、こまめに摂っておきたい水分。
水以外にもいろいろな選択肢がありますが、好みだけに拠らず、体調に合わせて摂っていきましょう。

ペットボトル
 

※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。
・国土交通省ウェブサイト いま知りたい水道
 https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/watersupply/stf_seisakunitsuite_bunya_0000087512_00010.html
 (最終閲覧日:2025年2月10日)
・環境省ウェブサイト 水道水質基準について
 https://www.env.go.jp/water/water_supply/kijun/index.html(最終閲覧日:2025年2月10日)
・環境省ウェブサイト「健康のため水を飲もう」推進運動
 https://www.env.go.jp/water/water_supply/nomou/index.html(最終閲覧日:2025年2月10日)
・環境省ウェブサイト 有機フッ素化合物(PFAS)について
 https://www.env.go.jp/water/pfas.html(最終閲覧日:2025年2月17日)
・消費者庁ウェブサイト 令和6年度第1回食品衛生基準審議会食品規格・乳肉水産・伝達性海綿状脳症対策部会
 (2025年2月10日)(最終閲覧日:2025年2月17日)
 https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/review_meeting_006/041076.html

 
 

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