バックナンバー
日本予防医学協会HP

2025年がスタートして1か月が過ぎました。「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」といいます。

今年度も残りわずか。一日一日を大切に過ごしたいですね。
さて、今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

避けられない「アイフレイル」どう向き合う??

 

「フレイル」という言葉は頻繁に見聞きするようになりましたね。フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間の段階で、加齢に伴い様々な機能が低下することにより、健康障害に陥りやすい状態を示します。

そして、身体が衰えるのと同じように、目も衰えてきます。「アイフレイル」とは、“加齢に伴う目の機能低下”です。

「昔はよく見えていたのに…最近なんだか見えにくい」

「目がかすむ。ぼやける。これって老眼?」

 

特に40歳を過ぎたら気になる症状の一つや二つ…。歳だから仕方ないと、放置している方も多いのではないでしょうか?でもそれは、病気のサインかもしれません。

 

アイフレイルチェックリスト

 

あなたはいくつ当てはまりますか?

☐ 目が疲れやすくなった
☐ 夕方になると見にくくなることが増えた
☐ 新聞や本を長時間見ることが少なくなった
☐ 食事の時にテーブルを汚すことがたまにある
☐ 眼鏡をかけてもよく見えないと感じることが多くなった
☐ まぶしく感じやすくなった
☐ はっきり見えない時にまばたきをすることが増えた
☐ まっすぐの線が波打って見えることがある
☐ 段差や階段が危ないと感じたことがある
☐ 信号や道路標識を見落としそうになったことがある

チェックの数が
~0の人は~
 あなたの目は今のところ健康です。変化を感じたらまたチェックしてください。

~1つの人は~
 目の健康に懸念はありますが、直ちに問題があるわけではありません。

~2つ以上の人は~
 アイフレイルかもしれません。 一度眼科専門医にご相談ください。

 (出典:アイフレイル啓発公式サイト)

 

アイフレイルの原因を知ろう!

 

症状の原因を知り、早めに対処・治療を行うことが大切です。

気になる症状があれば、早めに眼科に相談しましょう。

1 老視(老眼)

40代を過ぎると、目のピント調節機能が低下し、近くが見えにくくなります。老眼鏡やコンタクトなどで矯正することにより、見えやすくなります。自分に合った方法で対策していきましょう。

老視(老眼)の見え方

2 緑内障

目と脳をつなぐ視神経が障害され、視野が欠ける病気です。初期にはほとんど気づきませんが、徐々に視野障害は進行し一旦欠けてしまった視野が元に戻ることはありません。

緑内障の見え方

3 白内障

本来透明である水晶体(カメラのレンズに相当する部分)が濁ってきて、目の機能に障害が出た状態です。目がかすむ、ぼやける、光をまぶしく感じる等の症状が現れ、徐々に視力が低下していきます。

白内障の見え方

4 糖尿病網膜症

糖尿病により高血糖が長く続くと、網膜の毛細血管が弱くなって、小さな出血やむくみが出てきます。放置すると視力が低下し、失明にまで至ることもあります。

糖尿病網膜症の見え方

5 加齢黄斑変性

加齢により、視力にとって一番大事な黄斑部が障害される病気です。初期はものが歪んで見えたり、中心部が暗く見えたりしますが、病気の進行に伴って視力が低下します。

加齢黄斑変性の見え方
 

目の機能低下は、他のフレイルにも影響?

 

アイフレイルは、身体活動や社会活動にも悪影響を及ぼしかねません。例えば、目の機能低下により「自動車の運転ができない」「段差や階段でつまづく」などの困りごとがあると、外出の機会が減少し、活動範囲が狭まり家にこもりがちになります。


移動機能の低下や筋力が衰えたりするばかりでなく(身体的フレイル)、社会とのつながりや人との交流も希薄になります(社会的フレイル)。


また、「読書や趣味、家事ができない」など日常生活に制限がでると生活の質も大きく低下し、人生の楽しみにも影響します。うつ状態や軽度の認知症のリスクが上昇する可能性もあります(精神的フレイル)。


フレイルが連鎖していくことで、老い(自立度の低下)は急速に進みます。目の機能を良好に保つことは、生涯を豊かに過ごし、健康寿命を延ばすうえでも非常に大切といえますね。

 

目の健康を守る対策を知ろう

 

アイフレイルの予防、もしくは今以上の進行を防ぐために、例えばこんなことに気を付けてみましょう。

喫煙

喫煙により血管が収縮するため血流が悪くなり、目の毛細血管に酸素と栄養素が十分に届かない状態が繰り返されます。(緑内障、白内障、加齢黄斑変性などのリスクが増加)。 

また、たばこを吸うことで視力の維持に必要なビタミンが欠乏します。これは、喫煙者だけでなく、周りにいて副流煙を吸ってしまう人にも同じことが起こります。

禁煙にチャレンジしてみましょう!

タバコ

紫外線

紫外線は目にとって大敵です。紫外線が原因の一つと言われる病気は「翼状片よくじょうへん(白目が紫外線によって繰り返し傷つき、白目の細胞が異常増殖して黒目に入り込む)」や白内障、加齢黄斑変性などがあります。


UVカットのサングラス/眼鏡/コンタクトを使用し、帽子や日傘などを併用しましょう。(サングラスは、色が薄く大きめのフレームがおすすめです)

太陽

眼科受診も忘れずに

自覚症状を感じながらも、市販薬で対応したり自己判断で眼鏡を作ってしまうと早期発見の機会を逃してしまうことも。自覚症状を感じた時は、早めに専門医を受診しましょう。

病院

血圧・血糖値のコントロール

高血圧、高血糖などの状態が長いほど目の血管が障害を受けます。日常の生活習慣を見直し、生活習慣病を予防することも大切です。

血圧計
 

最後に・・・

 

人間は、情報の大半を視覚から得ています。
そんな大切な目ですが、残念ながら目の機能は元に戻すことが難しいと言われています。しかし今よりも悪くならないように維持するだけで十分意味があります。

年齢とともに変化していく自分の身体の声にしっかりと耳を傾け気になることはスルーせずに早めに対応していきましょう!
人生100年時代、頑張ってきた目とともに、これからの人生も豊かに過ごしたいですね!

視力検査を受ける子供
 

※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。

 

・日本眼科啓発会議 アイフレイル啓発公式サイト (最終閲覧:2025年1月29日)
 https://www.eye-frail.jp
・広報誌『厚生労働』2021年11月号 
 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202111_00001.html
・【厚生労働省】e-ヘルスネット 喫煙によるその他の影響 (最終閲覧:2025年1月29日)

 
 

PDF版はこちら【2025年2月】健康づくりかわら版をダウンロード

 

一般財団法人日本予防医学協会
HP https://www.jpm1960.org/
本メールマガジンに掲載された記事を許可なく転載することを禁じます。
Copyright (c) The Association for Preventive Medicine of Japan.
All rights reserved.