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ロコモ予防で健康寿命も上昇!

秋分の日を過ぎると日照時間が短くなり、夜の時間が長くなる「秋の夜長」の季節になりますね。 
星空や月が一層美しく見えるこの時期、みなさんはどんな「秋の夜長」を過ごしていますか?
さて、今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

ロコモ予防で健康寿命も上昇!

 

今年はパリオリンピックが開催され、私たちに多くの感動をもたらしましたね。
スポーツ観戦などでスポーツに触れる機会はあったかもしれませんが、日常で運動を習慣化できていますか?
そこで今回はみなさんと一緒に身体活動、運動について考えたいと思い、『ロコモ』に関するお話です。

 

ロコモとは

 

「ロコモ」とは、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)を略した名称です。 
運動器とは、骨や筋肉、関節のほか、神経などが連携し、体を動かす仕組みのことです。立つ、歩くなど、私たちが自由に体を動かすことができるのは「運動器」のおかげです。 
加齢に伴い「ロコモ」が進行すると、運動器の障害のために移動機能が低下し、「立つ」や「歩く」などができなくなり、将来介護が必要になったり寝たきりになるリスクがとても高くなります。
2022年の国民生活基礎調査によると、要支援の1位、要介護の3位は、転倒、骨折や関節の病気などによる運動器の障害であり、「ロコモ」と関連性があります。

 

 実は高齢者だけの問題ではない?

 

近年、子どもの健康に関する問題の一つに、「子どもロコモ」があります。 
新型コロナウイルス感染症の影響や、生活様式などの変化に伴い、大人だけでなく子どもたちも屋内外で体を動かす機会が少なくなりました。
柔軟性の低下、バランス力の低下、転倒の際に手が出ないなどの危険回避能力の低下などにより、子どもの骨折率が年々高くなっているというデータがあります。
このような、運動器機能が低下した状態を「子どもロコモ」と呼んでいます。 
現在では、学校で運動器検診も導入され、運動器疾患の早期発見や対処ができるようになってきています。 
子どものうちに運動器の機能の低下を防ぎ改善することが、今後の日常生活をより健康に過ごすことだけではなく、大人になってからの「ロコモ」の予防につながります。

目を回す子供
 

ロコモ度チェック

 

実際に運動器が衰えているか、今の自分の状態を確認するためにも、7つの項目をチェックしてみましょう。

  • 片脚立ちで靴下がはけない
  • 家の中でつまずいたりすべったりする
  • 階段を上がるのに手すりが必要である
  • 家のやや重い仕事が困難である
    (掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
  • 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
    (1リットルの牛乳パック2個程度)
  • 15分くらい続けて歩くことができない
  • 横断歩道を青信号で渡りきれない

一つでも当てはまれば運動器が衰えているサインです。 
また、ロコモであるかどうか調べる「ロコモ度テスト」もあります。テスト方法の詳細は日本整形外科学会:ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト ロコモオンラインのページをご覧ください。 
URL:https://locomo-joa.jp/check/test 

なお、日常生活の中で身体の痛みや以前より歩行や立つことに不自由を感じている方は、早めに整形外科を受診しましょう!

 

ロコトレ

 

ロコモはきちんと対処することで、運動器の低下を抑え予防ができます。そして、トレーニングをすることで回復も可能です! 
今回は、室内でできる3つの「ロコトレ」をご紹介します。 
ご自身の体力に合わせ、安全な方法で無理せずに行いましょう。

●バランス能力をつけましょう!

【片脚立ち】:1日3セット(左右とも1分間で1セット)

 ①机の横に立ち、姿勢をまっすぐにする 

 ②1分間、床につかない程度に片足を上げる 

 

 《ポイント》 

 ・転倒しないように机などつかまるものがある場所で行う 

 ・支えが必要な人は、机に手や指をついて行う 

 ・身体が傾かない範囲で脚を上げる

 
片脚立ち

●下半身の大きな筋肉をつけましょう! 

【スクワット】:1日3セット(5~6回で1セット)
 ①足を肩幅に広げてたつ 
 ②お尻を後ろに引くように、2~3秒間かけてゆっくりと

  膝を曲げ、ゆっくりもとにもどす。
 
《ポイント》 
 ・膝がつま先より前に出ない 
 ・息を止めないように 
 ・膝の曲がりは90度を大きく超えない 
 ・支えが必要な人は椅子に腰掛け、机に手をついて立ち、

  座りの動作を繰り返す 

 
スクワット

●歩行に必要なバランス能力や柔軟性を高めましょう!

【フロントランジ】:1日2~3セット(5~10回で1セット)

 ①腰に手を当て、胸を張った状態で立つ

 ②片方の脚をゆっくり大きく前に踏み出す

 ③太ももが床と並行になるように腰を深く下げる

 ④身体を上げ、踏み出した足を元に戻す

 

 《ポイント》 

 ・上体は胸を張り、良い姿勢を維持する

 ・バランスを崩さない範囲で前に踏み出す

 
フロントランジ

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最後に・・・

 

★人生100年時代という言葉も聞くように、日本人の平均寿命は年々上昇しています。 
しかし、平均寿命と健康寿命(健康で日常生活を送れる期間)には、男性で約9年、女性で約12年の差があります。その要因として、運動器機能の低下が挙げられます。
「健康寿命」を延ばすためにも、子どもから大人まで一緒に「ロコモ」を予防していきましょう。 【T】

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※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。

 

・日本整形外科学会:ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト ロコモオンライン https://locomo-joa.jp
・林承弘,柴田輝明,鮫島弘武.子どもロコモと運動器健診について.日整会誌2017.p12-18
・帖佐悦男.子どもの運動器疾患とロコモティブシンドローム予防―体を動かすことの大切さ―
 Jpn J Rehabil Med 2021;58:925-932
・厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 p23

 
 

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