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ビジネスケアラー 働きながら、介護するということ

もうすぐ七夕ですね。
子どもの頃はワクワクしながら天の川を探していましたが、最近はすっかり空を見なくなっていることに気づきました。
今年は久しぶりに織姫と彦星の物語を思い出しながら、空を見上げ、天の川を探したいと思います。
皆様も素敵な七夕をお過ごしください。

 

さて今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

ビジネスケアラー
~働きながら、介護するということ~

 

令和6年5月に育児・介護休業法が改正されました。高齢化の進む日本では、仕事をしながら家族等の介護に従事するビジネスケアラーの数は増加傾向にあり、ピークを迎える2030年時点では約318万人になると推計されています。

介護は突然やってくることもあります。家族に介護が必要になったとき、あなたの準備は整っていますか?

そこで今回は『仕事と介護』に関するお話です。

制服を着ている女性
 

仕事と介護 両立支援の動向

 

今回の育児・介護休業法改正では、介護離職防止のため、仕事と介護の両立支援制度を強化し、事業主に介護期の柔軟な働き方を支援することを求めています。

【事業主の措置義務】※令和7年4月1日施行

  • 介護に直面した労働者が申出をした場合に、両立支援制度等に関する情報の個別の周知・意向確認
  • 介護に直面する前の早い段階(40歳等)の両立支援制度等に関する情報提供
  • 研修や相談窓口の設置等の雇用環境の整備

その他、介護期の働き方について、テレワークの導入を努力義務とするなどの改正が行われました。

なお、介護発生による労働者の生産性の低下等が日本全体に与える経済的損失額は、2030年時点で約9兆円と推計され、喫緊の対応が必要と考えられています。
経済産業省では、ビジネスケアラー発生に伴う諸課題への対応として、企業における両立支援の取組を促すガイドライン策定に向けて、検討会も開催されています。

 

仕事と介護の両立支援制度

 

代表的な制度としては、介護休暇と介護休業があります。この制度の対象となる介護を必要とする家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、孫です。

介護休暇
病院の付き添いなどで短時間の休みが必要なときに使用します。
取得できる日数は、対象家族1人につき1年度に5日まで、対象家族が2人の場合は1年度に10日まで取得可能です。

労働基準法の年次有給休暇とは別に取得できますが、有給か無給かは会社の規定によります。

車いすに乗っている女性の車いすを押す男性

介護休業
対象家族1人につき通算93日、最大3回まで分割が可能な制度です。
雇用保険の被保険者で、一定の要件を満たす方は、介護休業期間中に介護休業給付金が支給されます。

介護サービスの手配など、介護の環境が整うまでには時間がかかります。
自分で介護を行うだけでなく、仕事と介護を両立できる態勢を作る期間としても利用できます。

座っているおばあさんに話しかける女性

その他にも、短時間勤務制度やフレックスタイム制度など、会社によって利用できる制度が異なりますので、確認してみてください。

 

介護をしながら働き続けるために

 

介護はいつ始まるか分かりません。いざという時に備えて、事前に介護に関する情報収集を行ったり、「介護が必要になったときどうするか」について親やきょうだいなどと話し合ったりしておくことが大切です。

介護を一人で抱え込むのは大変なことです。介護保険制度や介護サービス、両立支援制度について、概要を把握するとともに、介護に直面したとき困らないために相談窓口を確認しておくことがおすすめです。

【相談窓口の例】

  • 地域包括支援センター(介護サービスや介護に関すること)
  • 都道府県の労働局(両立支援制度のこと)

また、実際に介護が始まった時には「介護を行っていること」を会社に伝えるとともに、介護休暇等の両立支援制度や介護サービスなどを活用し、自分で「介護しすぎない」環境をつくることも大切です。

ケアマネージャーなどの専門家や周りの方にも相談しながら、仕事と介護を両立できる環境を整えていきましょう。

 

最後に・・・

 

2年前に母の在宅介護を経験しました。
介護保険の申請、電動ベッド等の介護用品や訪問診療の手配、担当ケアマネージャーとの調整など、時間に追われながら在宅介護に向けて準備をする中で事前の情報収集の重要性を痛感しました。
また、いつ終わるとも分からない介護にストレスや孤独感を感じたことを覚えています。

超高齢社会の日本、介護は他人事ではありません。突然介護に直面したときに困らないために、仕事と介護の両立について考えてみてはいかがでしょうか。【M.Y.】

手のひらで包まれるハート
 

※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。
・厚生労働省 介護休業制度特設サイト(最終閲覧日:2024.6.5)
 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/

・厚生労働省ホームページ 育児・介護休業法について (最終閲覧日:2024.6.5)
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

・経済産業省ホームページ 介護政策 (最終閲覧日:2024.6.5)
 https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kaigo/kaigo.html

 ・経済産業省ホームページ ニュースリリースアーカイブ (最終閲覧日:2024.6.5)
  https://www.meti.go.jp/press/2023/11/20231106001/20231106001.html

 
 

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