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健診結果の読み方!使い方!

春の陽気も束の間。もう今年も暑い夏が顔をのぞかせていますね。
麗らかな季節をどのように過ごされましたか?
さて今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

健診結果の読み方!使い方!!

 

年度が替わり、あっという間に2か月が経過しました。4月や5月といった春の時期に健康診断を受けられた方は、結果がそろそろ手元に返ってきた頃ではないでしょうか。健康診断の結果、みなさんはスミからスミまでしっかり読むことができていますか?
読み込んでも「ハテナ」がたくさん出てくるかもしれませんが、年1回ほどの貴重な機会。今日はぜひ本記事を手元に置いて健診結果とにらめっこしてみましょう!

今回は3つのポイントで健診結果の読み方、使い方をご紹介します。
1.各検査項目の判定まで確認し、基準値との差を確認する
2.経年の変化を確認する
3.自己解釈したり情報に踊らされたりせず、専門家に相談する

『健診結果の見方』本記事を通してマスターしましょう!

医療従事者と車いすに乗る人
 

そもそも健康診断とは?

 

会社は、労働安全衛生法第66条1項の定めにより、年に1回、働く人(労働者)に対し健康診断を行わなければならないと定められています。さらに労働者は、この健康診断を受診する義務があります。この健康診断は一般健康診断に分類され、会社が従業員の健康状況を把握することや、仕事が病気の発生要因になっていないか、現在の配置が健康上問題ないかなど、従業員の健康を守ることを目的としています。また、会社は「職務上の命令」として従業員に健康診断を指示することができ、これを拒否すると懲戒処分が下されることもあるので受診は絶対です。

 

基準値と異常値

 

さて、健診結果の見方、最初のポイントは「判定と数値」です。
多くの健診結果では、「あなたは●判定です」と大きく記載された総合判定と、血圧などの各検査項目に対する判定が記載されています。
判定はA、B、C等の表記で返ってくる場合が一般的ですが、健診実施機関や所属の会社、健康保険組合等で異なります。そしていずれにおいても、この判定を付与するために重要な要素であるのが各検査の【基準値】です。

稀に基準値を正常値と呼ぶ方がいらっしゃいますが、"基準値≠正常値"です。基準値内であっても正常でない場合がありますし、逆も然りです。ただし、基準値は健常者(健康上問題のない方)の約95%が含まれる上限の数値と下限の数値で定められているため、信頼度は非常に高い数値と言えるでしょう。

ご自身の検査結果の数値が基準値内に収まっているのか、基準値外なのであれば、どれくらい基準値から乖離しているのかを確認することが大変重要です。

グラフ
 

見落としがちな経年変化

 

2つ目のポイントは「経年変化」です。基準値との差分や判定のみでは自分の身体を知るにはまだまだ不十分です。毎年、同じ病院や健診実施機関で健康診断を受診する最大のメリットは、「経年変化」を一目で確認できるところにあります。

多くの健診結果では、過去2~3年程度の検査結果が記載されています。この数値の変化と基準値を組み合わせながら確認することにより、『基準値内の中で数値が上がって(下がって)きている』や『●年前に基準値の上限を超えたが、▲年前からは基準値内の数値に戻った』などの情報を得ることができます。そのうえで自身の生活習慣を振り返り、甘いものを減らしたことが良かったのか?や運動の習慣が減ってきたからかな?と思慮することは自身の健康をコントロールする能力に直結します。

 

注意!"決めつけ"と"ネット情報"

 

ここまでの過程を踏んで健診結果を確認すると、自身の身体の変化や気を付けたほうが良い検査項目がだんだんとわかってくるのではないでしょうか。

そこで最後に健診結果、使い方のポイントです。

それは「きっとこうすれば検査結果が改善していくだろう」という決めつけで極端な食事制限や過度な運動に取り組んだり、”これさえ飲めば〇〇改善!”といった怪しい情報に踊らされてしまわないよう注意することです。

自身の生活を振り返り行動を変えていこうと考えることは非常に大切であるということは前述したとおりですが、それを自分自身で「どうにかしよう」と考えたり、信用性の低い商品や情報に手を出してしまうことは、稀に自身の健康状態を悪化させてしまいます。

あなたが今、取り組もうとしている生活習慣改善は、購入しようと思っている健康商品は、あなたの身体に、健康状態に本当にあったものでしょうか?

自分を一番理解している専門家は自分自身です。しかし、多くの方は健康状態を正しく見極めることができる医療の専門家ではないでしょう。あなたの健康をきちんと理解し見極めてくれる医療の専門家を見つけることは健康のための第一歩です。かかりつけ医や社内の医療スタッフなどに必ず相談し、自身の振り返りや今後予定している取り組みが誤っていないか、さらに健康を手に入れるために専門的な観点から何が必要かを聞いておくことで、よりあなたはいきいきと元気でいられることができるでしょう!

ノートパソコン
 

正しく読む、使う。3つのポイント振り返り

 

これまで健診結果の読み方、使い方として3つのポイントを記載しました。振り返りです!
1.各検査項目の判定まで確認し、基準値との差を確認する
2.経年の変化を確認する
3.自己解釈したり情報に踊らされたりせず、専門家に相談する

このポイントを正しい順番で確認すること、また可能であれば過去の健診結果を引っ張り出して、ご自身の健康状態の変化を長期間にわたり確認することができれば、きっと新たな発見がありますよ。


なお、本記事の発行元である(一財)日本予防医学協会の健康診断をご受診いただいている皆様におかれましては、下記URLの当会HPにて各検査項目に関する説明「検査結果の見方」もあわせてご覧くださいませ。【D.Y.】
https://www.jpm1960.org/jushinsya/exam/

 

※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。
・健康診断・保健指導パーフェクトBOOK 畑中純子監修 メディカ出版 2019年
・国民衛生の動向 一般財団法人 厚生労働統計協会 2021年

 
 

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終了日
6月30日

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