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ベストコンディションのカギは「食べる時間」?!

新年度がスタートして、早くも一ヶ月。連休前半も終わり、少し疲れが出てくる頃かもしれませんね。連休後は、少しずつ身体を慣らしながら、次の楽しみを見つけていきましょう。
さて今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

ベストコンディションのカギは「食べる時間」?!

 

疲れやすい、健康診断の検査値が改善しない、仕事のパフォーマンスが上がらない、イライラしやすいなど、コンディションの悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
体質だから…性格だから…と諦める前に、ぜひ食べるタイミングを意識した食事にチャレンジしてみませんか?
そこで今月は、『時間栄養学』に関するお話です。

体内時計
 

時間栄養学って何?

 

時間栄養学とは、従来の「何をどれだけ食べるか」に加えて「いつ食べるか」という考えを取り入れた栄養学のことです。
わたしたちの身体には、一定の時間的なサイクルを持つ体内時計(時計遺伝子)が備わっており、体内の代謝をコントロールしています。
しかし、体内時計はズレが生じやすく、その乱れが眠気や頭痛、倦怠感・食欲不振などの身体的な不調、さらには生活習慣病や肥満・がん・うつ・老化の加速などに影響しているということがわかってきました。

体内時計のズレは「食事」を適切なタイミングで摂ることによりリセットすることができます。そして、体内時計を整えることで、コンディションはどんどん変化し、皆さんが本来持っている最大限の力を発揮できる=「ベストコンディション」の状態を目指すことができます。

 

現在のコンディションをチェックしてみよう

 

朝・昼・夜のそれぞれの時間帯で、自分が次のチェック表の状態で過ごせているか確認してみましょう。

【朝】

☐ 目覚めがすっきりしている
☐ 朝から食欲がある
☐ 朝食後に排便がある
☐ 休日は朝から活動的に過ごせる

【昼】

☐ 午前中、頭がさえている
☐ 12時頃になると、適度におなかがすく
☐ 午後も集中力が途切れない

【夜】

☐ 終業後、趣味やプライベートの時間を楽しむ余裕がある
☐ 夜は寝つきがよい

チェックが多いほどコンディションが良い状態、逆にチェックが少ない方は体内時計のズレを修正することで、自身のコンディションをさらに上げることができる可能性があります。

 

時間栄養学を実践してみよう

 

【朝】

・起床後、1時間以内に朝食を食べる
   
 ≪選び方のポイント≫「糖質」+「低脂肪のタンパク質」


 ≪おすすめメニュー≫納豆ごはん、卵かけごはん

朝食を摂ることで体温が上がります。その結果、代謝がよくなるため消費するエネルギーが増えていきます。
逆に、朝食を抜くと脳にエネルギーが十分に届きにくいので、筋肉を分解してエネルギーを脳に送ることになります。
そのため、基礎代謝が低下し消費エネルギーが減り、太りやすくなったり、仕事のパフォーマンスも下がっていきます。
 
朝から朝食の準備は大変!という方は、栄養バーやバナナ・ヨーグルトを買い置きしておく、前日のおかずを残して朝食べるなどでもOKです。手軽に食べられるものを口に入れることから始めてみてくださいね。

納豆卵かけごはん

【昼】

・昼食は定食など、食品数の多いメニューでしっかり食べる


 ≪選び方のポイント≫主食+主菜+副菜のそろった食事


 ≪おすすめメニュー≫日替わり定食、幕の内弁当

・間食は16時までに食べる

・夕食が遅い、夕食前におなかがすく、夕方に運動する場合は

 昼食時間を遅らせる又は補食を摂り夕食量を調整する


 ≪おすすめの補食≫
  おにぎり、サンドイッチ、チーズ、バナナ、ドライフルーツ、

  ナッツ、干し芋など

昼食のメニュー選びを意識すると、午後の眠気や夕方の疲労感が変わってきます。
また、昼は体温が高く代謝がよいため、食べた栄養素が有効利用されやすく、脂肪に代わりにくい時間帯です。
食べたいものは夜ではなく昼に食べることで、好きなものをそれほど我慢しなくても、適正な体重を目指すことができます。

ワンプレートランチ

【夜】

・できるだけ早めに夕食を済ませる(20時までが◎)
・遅い時間に食べる場合は、量(腹八分目)と中身を意識する

≪選び方のポイント≫
 玄米、押し麦、野菜・海草類など食物繊維が豊富な食品を増やし、

 常温で固まるバターや脂身などの動物性脂肪の多い食品を控える。

≪おすすめメニュー≫
 麦ごはん+さばの味噌煮+もずく+具だくさん味噌汁

夕食時間や量を調整すると、腸のリズムが整い朝食後に排便が起こりやすくなります。胃の調子も良くなるため、朝に食欲がある状態になります。
また、体重やウエストにも変化が表れるため、朝、服を着るタイミングでウエストの変化を確認してみてください。

サバの味噌煮と味噌汁とごはん

その他、次の食事までの時間が短い場合は、軽食(おにぎり+サラダなど)で済ませたり、夕食で食べ過ぎてしまった場合は、翌日の食事を控えめにして調整していきます。
いつも“食事の前に適度な空腹感がある状態”を意識し、食べるタイミングや食事量を調整していくことが大切です。

まずは1週間・1つの時間帯からでもよいので、できることから取り組んでみましょう。体内時計が整うことで、自身のコンディションの変化を実感できるのではないかと思います。

 

最後に・・・

 

食べる時間を変えるだけで今よりコンディションがUPする…想像するだけで、なんだかとてもワクワクしますね。
これからぜひ身体の中の時計をイメージし、「いつ食べる?」の視点を取り入れて過ごしてみてはいかがでしょうか。【Y.S.
】

 

※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。
・「生活習慣病の予防や改善を目指した時間栄養学」オレオサイエンス 第 21 巻 4 号(2021)
・小島美和子. “1週間で体調がグンとよくなる食べ方”.三笠書房(王様文庫), 2018
・小島美和子.“今日から始めよう! 食コンディショニング”.株式会社法研関西,2016
・体内時計(e-ヘルスネット厚生労働省)
 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-039.html
・交代制勤務者の食生活に関する留意点(e-ヘルスネット厚生労働省)
 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-004.html

 
 

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