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年度末!腸内細菌も決算!

今年度も残すところ僅かとなりましたが、みなさん、いかがお過ごしでしょうか。新年度を気持ちよく迎えられるよう、身の回りの整理をしていきましょう!
さて今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

年度末!腸内細菌も決算!

 

みなさんはご自身の便をチェックされたことはありますか。近年、健康と腸内細菌の関係が注目されており、この腸内細菌の状態は便で確認することが出来ます。良い便は黄色から黄色がかった褐色で、においがあっても臭くなく、形状は柔らかいバナナ状をしています。一方、良くない便は黒っぽい色で悪臭があります。日々の便をチェックし、腸内細菌も定期的に決算(見直)しましょう!
そこで今回は『腸内細菌』に関するお話です。

 

腸内細菌とは?

 

腸内細菌とは大腸に存在している細菌で、ヒトの腸内には約1000種類、100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息しています。そして、ヒトの腸内細菌は、善玉菌と悪玉菌、そのどちらでもない中間の菌と、大きく分けて3グループで構成されています。

[特徴]

〇善玉菌

(乳酸菌、ビフィズス菌など)
・悪玉菌の侵入や増殖を抑える
・腸のぜん動運動を促す

善玉菌

〇悪玉菌

(有毒株の大腸菌、ウェルシュ菌、ブドウ球菌など)
・有害物質を発生させる
・腸内の腐敗を促進させる

悪玉菌

〇中間の菌(日和見菌)

(バクテロイデス、無毒株の大腸菌、連鎖球菌など)
・善玉菌が多いときは大人しい
・悪玉菌が多いときは悪玉菌と同じ働きをする

日和見菌

腸内細菌の中で最も数が多い菌は中間の菌で、次に善玉菌が多く、悪玉菌は少数です。腸内細菌の数や種類はとても多様で、個人差も大きく、さらに食事・在住国などの要因によっても異なります。
また、菌の数は年齢によって増減はあるものの、菌の種類は一生を通じてほとんど変わらないことも報告されています。

腸内環境を良い状態にするためには、腸内の善玉菌が占める割合を増やすことが大切です。

 

善玉菌を増やすには?

 

(1)健康に有用な作用をもたらす生きた善玉菌である「プロバイオティクス」を摂取する

例:ビフィズス菌や乳酸菌を含むもの
ヨーグルト・チーズ・キムチ・ぬか漬け・納豆・味噌・醤油などの大豆発酵食品・乳酸菌飲料

腸内にある程度の期間は存在しても、すみ着くことはないとされているため、毎日続けて摂取し、腸に補充することが大切です。

(2)善玉菌のエサとなる「プレバイオティクス」を摂取する

例:オリゴ糖や食物繊維を含むもの
大豆・たまねぎ・ごぼう・ねぎ・にんにく・アスパラガス・バナナ・牛乳・ヨーグルト・はちみつ・甘酒

悪玉菌が減って善玉菌が増える
 

菌とその他栄養素のひみつ

 

~ビフィズス菌~
整腸作用だけでなく、病原菌の感染や腐敗物を生成する菌の増殖を抑える効果があると考えられています。

~乳酸菌~ ※1
タンパク質や糖質を分解することによる栄養の吸収性向上や、ビタミンBなどの栄養素の産生、乳酸や抗菌物質を産生することによる食品の保存性向上、酸味やうま味・香気成分の付与といったおいしさの向上など、食品の二次機能、三次機能を高める働きがあります。

また、乳酸菌は口腔内にも存在しており、虫歯や歯槽膿漏の原因菌から口腔環境を守る働きをしています。

~オリゴ糖~ ※2
甘味料、物性改良用として飲食品に利用されるほか、非消化性、難消化性、血中脂質改善、ビフィズス菌増殖、非うしょく性、抗うしょく性などの各種生理効果を有することが確認されつつあり、最近注目されている特定保健用食品にも多数申請されています。
※うしょく:歯の実質欠損のなかで、生物的要因(口腔内の細菌が糖質から作った酸による歯の脱灰など)が原因であるもの

特定保健用食品などで市販されているものもありますが、急に摂取すると下痢を起こしたり、おなかが張ったりすることがあります。1回の量を2~3回に分けて摂取する、または1日あたりの摂取量を減らして数日間かけて摂取するようにしましょう。

~食物繊維~
便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっています。

 

管理栄養士がおすすめする腸が喜ぶメニュー

 

〇はちみつバナナヨーグルト

はちみつ(オリゴ糖)+バナナ(食物繊維)+ヨーグルト(ビフィズス菌、乳酸菌)

〇なめこ味噌汁

なめこ(食物繊維)+味噌(乳酸菌)

〇納豆巻き

納豆(乳酸菌)+のり(食物繊維)

〇厚揚げキムチチーズ

厚揚げ(オリゴ糖)+キムチ(乳酸菌)+チーズ(乳酸菌)

〇カプレーゼ

チーズ(乳酸菌)+トマト(食物繊維)

 

最後に・・・

 

忙しく身体がしんどいと感じる時は、腸も悲鳴をあげているかもしれません。毎日がんばってくれている身体(腸)を労い、良き相棒として、上手く付き合っていきましょう。

キラキラしている腸
 

※今回の記事は次の資料を参考にして作成しました。
・厚生労働省 e-ヘルスネット 最終閲覧:2024年2月20日
 腸内環境と健康 清水 純
 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html

・食物繊維の必要性と健康 清水 純
 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html

※1)立垣愛郎(2018)「乳酸菌の健康機能」、公益財団法人国際全人医療研究所『Comprehensive Medicine Vol.17 No.1』、p.10 p.8-18

※2)菅原正義(1993)「オリゴ糖の特性と生理効果」、日本食品化工(株)研究所『ビフィズス 7:1-22』p.1

 
 

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