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Check!! the 帯状疱疹

2月3日は節分。恵方は「東北東やや東」です。

皆様の無病息災を願いながら・・・

今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

Check!! the 帯状疱疹

 

近年、帯状疱疹のニュースや情報を目にする機会が増えていませんか?筆者は昨年、帯状疱疹を発症しました。最初は腰にぴりぴりした痛みがあり、その後発疹ができました。日に日に痛みが強くなり、皮膚科に駆け込み治療を開始。神経の痛みや違和感が軽快するまでに2か月以上かかりました。

今月は80歳までに約3人に1人がかかっていると言われている『帯状疱疹』についてCHECKしていきましょう。

帯状疱疹の女性
 

帯状疱疹の症状と治療法を CHECK!!

 

帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスが原因です。水ぼうそうは、子供の頃にかかることがありますが、完治しても水ぼうそうのウイルス自体は死滅せず、体の中の神経節に潜伏します。その後、加齢や疲労、ストレスや病気などにより免疫力が低下すると、ウイルスが活性化され、神経に沿って体の表面に現れます。
全身どこでも発症する可能性がありますが、発生頻度が多いのは胸やわき、顔などの上半身です。50歳代以降で罹る方が増える傾向にあります。

赤ちゃん

【症状】

一般的には、発疹や水ぶくれ等の症状が現れる1週間~数日前に身体の左右どちらかにピリピリするような、刺すような痛みが起こります。その後、身体の左右どちらか一方の神経に沿って帯状に発疹が出現、発疹から水疱(水ぶくれ)ができます。

帯状疱疹は、皮膚と神経の両方でウイルスが増殖して炎症が起こっているため、皮膚の症状に加えて神経の炎症による強い痛みを伴います。

皮膚症状は数日経つと、水ぶくれ⇒膿のたまった膿疱⇒潰瘍⇒かさぶた という経過をたどって軽快していきます。それに伴い、痛みも軽減していくことが多いとされています。

【主な治療法】

・抗ウイルス薬によるウイルスの増殖の抑制
・鎮痛薬による痛みの緩和

痛みの程度や皮膚の症状、合併症・後遺症等状態や経過に合わせて治療内容は異なります。

 

合併症や後遺症についても CHECK!!

 

帯状疱疹が顔面に起きた場合には、角膜炎や結膜炎を引き起こしたり、まれに耳鳴りや難聴、顔面神経麻痺などの合併症が出現することがあります。
また、腰部や下腹部に発症すると、便秘になったり、尿が出にくくなったりという症状を伴うこともあります。

さらに、皮膚症状が改善した後3か月以上にわたって疼痛が持続することを「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼びます。炎症により神経がダメージを受けたことで起きる痛みで人により数か月から数年続く場合があります。

虫眼鏡を使う女性
 

帯状疱疹発症時の対応を CHECK!!

 

治療の開始が遅れると治るまでに時間がかかったり、合併症や後遺症発症リスクを高めます。帯状疱疹かも?!と思ったら、適切な治療を≪早期に≫開始することが重要です。ピリピリした痛みや発疹の症状があったらすぐに≪皮膚科≫を受診しましょう。

また、帯状疱疹は水ぼうそうのウイルスが引き起こしています。
家族や身近な方で、水ぼうそうにかかったことがない、あるいは水ぼうそうの予防接種を受けていない方がいる場合、帯状疱疹としてではなく水ぼうそうとしてうつるリスクがあります。帯状疱疹の水ぶくれにはウイルスが含まれているため、患部をガーゼで覆う、タオルを共用しないなどの感染対策も取り入れましょう。

 

帯状疱疹の予防接種について CHECK!!

 

ワクチンを接種することで帯状疱疹の発症や重症化を抑制する効果が期待できます。現在日本で受けられる帯状疱疹のワクチンは2種類です。

①生ワクチン

 接種回数:1回 

 対象:50歳以上   

 

②不活化ワクチン

 接種回数:2回

 対象:50歳以上

     +

    帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上※

 

※2023年6月乾燥組み換え帯状疱疹ワクチン(商品名:シングリックス筋注用)において用法用量が追加され、接種対象が拡大しました。

 

「帯状疱疹に罹患するリスクが高い」とは?

・疾病又は治療により免疫不全である

・免疫機能が低下した者又は免疫機能が低下する可能性がある

・上記以外で、医師が本剤の接種を必要と認めた

●身体の状況によっては接種を受けられない場合があります。

接種について、かかりつけの医師や医療機関にご相談ください。

●接種費用は全額自己負担ですが、自治体によっては費用の助成を受けられ

る場合があります。詳しくはお住まいの市町村窓口にお問い合わせください。

注射を受ける女性
 

最後に・・・

 

帯状疱疹は予防と早めの治療開始が重要ポイントでしたね。
1つ忘れてはならないのは、日ごろから免疫力を高める生活習慣
も重要です!バランスのよい食生活、適度な身体活動や運動、十
分な休息を心がけましょう。また、音楽や趣味などを楽しむ時間
を作ったり、ストレッチや入浴等、自分にとってのストレス解消
法をいくつか持っておき、ストレスを溜めないようにしていきま
しょう。


今回の記事作成に際し、皮膚科医・産業医でもある真島先生にご
協力いただきました。また、次の資料も参考にしております。

【厚生労働省】(最終閲覧:2024年1月15日)
・第21回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会
 予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会
 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001165467.pdf

・水痘
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/varicella/index.html

【NIID 国立感染症研究所】(最終閲覧:2024年1月15日)
・IASR Vol. 39, No.8 (No. 462) August 2018「水痘・帯状疱疹の動向とワクチン」
 https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-vol39/8241-idx462.html

・「帯状疱疹 ファクトシート」
 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuk/0000184909.pdf

 
 
 
 

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