バックナンバー
日本予防医学協会HP
男性の育休取得。みんなで考えてみよう!

令和も6回目の新年を迎えることになりました。時が経つのは本当に早いものですね。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

男性の育休取得。みんなで考えてみよう!

 

2022、2023年に「育児・介護休業法」が改正されたことをご存知でしょうか。以前は女性が子育てをして家庭を守り、男性は外で仕事をするという固定観念がありましたが、昨今では男性も育休を取得し家庭の時間を増やすという傾向にあり、法改正に伴い男性育休への注目が高まっています。

男性の育児休業取得率は年々増加しており、厚生労働省の調査結果によると2022年で13.97%まで上昇しています。

そこで今回は『男性育休』に関するお話です。

赤ちゃんを抱っこする男性
 

育児休業と産後パパ育休

 

これまでの育児休業制度に加え、2022年に「産後パパ育休」が創設されました。また、育児休業は原則1回しか取得できませんでしたが、男女ともそれぞれ分割して2回取得することが可能となりました。

● 育児休業

・育児休業は父母ともに取得できる休業制度
・子供が満1歳になるまで取得可能
・申し出によっては最長で満2歳まで延長可能

● 産後パパ育休(出生児育児休業)

・1歳までの育児休業とは別に取得できる制度
・子供が産まれた後の8週間以内に4週間まで取得可能
・休業中の就業が認められている(所定労働日や労働時間に制限あり)

 

男性が育休を取得するメリット

 

男性育休は取得することで様々なメリットがあります。

 

● 子供と共に過ごす時間を確保できる

従来、父親は仕事が優先であり、育児に割くことができる時間は少ない傾向にありました。しかし、育休を取得することで子供の産後から幼少期の大切な時期を共に過ごす時間を確保することができます。

●夫婦で助け合える

産後は母体のダメージが大きく、肉体的にも精神的にも負担が大きくかかる時期です。男性が育休を取得して生活や育児を夫婦で分かち合うことで、パートナー同士のコミュニケーションも増え、互いの理解や絆が深まると考えられます。その後の生活や関係性にも大きく影響していきます。

●給付金を受給することができる

男性が育休取得を躊躇する1番の理由は「収入が減ってしまうのでは」という心配からだと思います。しかし、育休中は働くことができない代わりに雇用保険から育児休業給付金を受け取ることができます。
一定の条件を満たす場合で受給することができ、休業開始から180日までは給与額面の67%が支給されます。また、育休中は社会保険料の支払いが免除されることも大きなメリットであり、手取り賃金は約80%程度が支給されることになります。
育児休業給付金や社会保険料免除の制度を利用して、安心して育休を取得できるようにしましょう。

 
指をさす男性
 

企業が男性育休を促進するメリット

 

2023年4月に施行された改正育児・介護休業法により、男性の育児休業取得促進のため、常時雇用する労働者が1,000人を超える事業主は、育児休業等取得の状況を1年に1回公表することが義務付けられました。
男性育休の取得を促進することで、企業は対外的なイメージを形成することができるとともに働きやすい職場をつくることができます。
また、国は労働者の育児休業を支援する企業に助成金を支給しており、出生児両立支援コース(子育てパパ支援助成金)などがあります。

※育休取得のための申請方法は企業によって違うので、自分が勤めている会社ではどういう流れになっているか必ず確認しておきましょう。

 

お父さん!育休中に何をする?

 

いざ育休を取得することになった場合、何をすればよいのでしょうか。

事前に打ち合わせをして準備をしておくことが必要です。

 

●家庭内でのタスクを二人で書き出してみよう

夫婦それぞれが担当している家事や育児のタスクを全て書き出してみましょう。お互いのタスクを共有して、何を重視してこだわるのか、何は手を抜いていいのかをお互いによく話し合っておきましょう。

●家事・育児を一人で切り盛りしてみよう

一度お父さん一人で家事・育児を切り盛りしてみましょう。実際にやってみると多くの発見や気づきがあるはずです。最初はうまくいかなくても大丈夫、まずは経験してみることが大切です。

●夫婦二人で話す時間を作ろう

育児中は子供が自宅で過ごすことが多く、夫婦二人で会話する機会は少なくなります。特に育児中は余裕がなくストレスが溜まったり、ぶつかりがちです。意識的に会話の時間を確保してみましょう。

考える二人
 

男性育休の課題

 

男性が積極的に育休を取得できる社会を目指すには、まだ多くの課題が残ります。男性の育休取得率は年々上昇していますが、多くの企業では男性の育休取得は例外的なものとして扱われがちです。育休は女性が取得するものという考え方を変えていくには、社会全体での意識変革が必要です。
また、男性育休の促進を阻害する大きな要因の一つは収入の減少です。育児休業中は給付金の支給があるものの100%補償されるものではありません。給与やキャリアでの不安を解消するには制度の充実とともに企業全体での制度の周知や意識変革が必要となってきます。

 

最後に・・・

 

実は筆者も今年度、3人目の出産で初めて産後パパ育休を取得しました。事前に料理や洗濯等を妻に教えてもらったり準備はしていましたが、実際に始まってみるとなかなかうまくいかないことも多く、家事・育児の大変さを痛感しました。

それでも、育休後半はなんとか一人で家事もこなせるようになり、その経験は育休が終わった今でも活かせています。家族内でのコミュニケーションを取る時間が増えますし、子供たちの成長を間近でじっくりとみることもできたので育休を取得して本当に良かったと思っています。

是非、皆さんも男性の育休について考えてみてください。

産業医 石川

 

用紙を片手に持つ男性
 
 

※今回の記事は次の資料を参考にして作成しました。

・厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp(最終閲覧日2023.11.20)
・厚生労働省,イクメンプロジェクトHP
   http://ikumen-project.mhlw.go.jp(最終閲覧日2023.11.20)

 
 

PDF版はこちら【2024年1月】健康づくりかわら版をダウンロード

 

一般財団法人日本予防医学協会
HP https://www.jpm1960.org/
本メールマガジンに掲載された記事を許可なく転載することを禁じます。
Copyright (c) The Association for Preventive Medicine of Japan.
All rights reserved.