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節電の夏がやってきました。


ムシムシジメジメ暑さとの闘いです。


さて今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

大暑にはエアコンで対処

 

電気料金が高くなっている昨今、日々の電気の使い方を意識されている方も多いのではないでしょうか。梅雨や本格的な夏にはエアコンや扇風機などを使って、節電もしながら快適な夏を過ごしたいものです。

そこで今回は『エアコンを使った熱中症対策』に関するお話です。

 

熱中症になりやすい状況とは?

 

汗には、蒸発するときに体の熱を奪って体温を下げる働きがありますが、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体から熱が出ていかずにこもってしまいます。体と外気の熱のやりとり(熱収支)には(1)湿度、(2)輻射熱(ふくしゃねつ)※1、(3)気温が影響しますので、熱中症予防に活用される暑さ指数(WBGT)を確認し、体に熱がこもらないような環境整備をすることが大切です。

※1輻射熱:日差しを受けたときに浴びる熱や、地面、建物、人体などから出る熱のこと。



なお、風(気流)の有無によっても、暑さ指数は変わります。



2022年8月号かわら版もご参考に!
緊急再確認! 熱中症予防対策!


https://www.jpm1960.org/kawara/18/202208.html



https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php

(環境省熱中症予防情報サイト)

 

エアコンは冷房?除湿?どちらを使う?

 

室内では、エアコンを上手に使って涼をとり、熱中症予防を行いましょう。エアコンには、「冷房」と「除湿」どちらも備わっているものが多いかと思いますが、どのように使い分けると暑い夏を快適に過ごせるのでしょうか?

空気が蓄えられる水分量は空気の温度によって決まっていて、空気の温度が高いと水分を多く蓄えることができます。気温が下がると空気中に蓄えられなかった水分が水滴となってみえてきます。

〇除湿

 湿度を優先的に下げる。
 湿度の高い空気を吸い込み、空気中の水分を熱交換器に集めて室外機へ。
 水分を取り除いた空気は室内に戻される。
 湿度の高い梅雨時期にオススメ!

〇冷房

 温度を優先的に下げる。
 温度が下がることで空気中に蓄えられる水分量も減り、湿度も同時に下がる。
 温度が高い真夏にオススメ!

 

電気代は冷房と除湿で違うのか

 

エアコン内部で空気の温度を下げ、水分を取り除く仕組みは、冷房も除湿も変わりありません。除湿には、室内に空気を戻す際に温度をあまり下げずに戻す「再熱除湿」という方法もありますが、温度を下げた空気を温めなおしているため、電気代が高くなることがあります。

冷房にせよ、除湿にせよ、内外気の気温差が大きいほど使い始めには大きな電力を使うことになってしまいます。エアコンをかける前に窓を開けて、室内にこもった熱気を外に出すことも大切です。



また、「節電のため」といって、部屋が涼しくなったらエアコンの電源を切って暑くなったらまた入れたり、短い時間の外出であれば一度切る方もおられるかもしれません。エアコンは急に部屋を冷やすときに電力を多く使うため、猛暑日には電源の入切で温度や湿度を調節するよりも、連続運転のほうが節電になることも多いようです。



なお、環境省はクールビズで「28℃」を推奨しています。これは冷房の設定温度のことではなく、室温の上限の目安です。室温が28℃位になるようにエアコンの温度設定を行いましょう。

 

節電の味方!サーキュレータ&扇風機

 

冷たい空気は部屋の下のほうにたまりやすく、室内での温度や湿度にムラができてしまうことがあります。部屋の中が設定温度になっていないと暑さを感じてさらに設定温度を下げてしまいたくなりますね。そんなときには、サーキュレータや扇風機を活用してみましょう。

〇サーキュレータ

らせん状に進む風を生む。空気を循環させ、室内の気温を均一化することを目的として使用される。エアコンからの涼しい(暖房時は暖かい)空気を室内にムラなく届ける。

〇扇風機

 前方広範囲に風を届ける。身体の表面の空気を動かし、涼を感じる。

冷房や除湿を使っているときは、エアコンから出る風を背にする(エアコンと同じ風向)と、冷たい風が遠くまで届き、設定温度を下げることなく冷房効率を上げることができます。なお、エアコンの設定温度を1℃上げると機種によっては約13%の節電になることもあるそうです。
サーキュレータや扇風機は消費電力がエアコンと比較して小さく、エアコンの設定温度で調整するよりも電力を抑えつつ効率的にお部屋を冷やすことができそうですね。

扇風機の風に直接あたって寒さを感じるときには、壁に向かって扇風機の風を当て、跳ね返ってきた風を間接的に感じることでも体感温度を下げることができます。

 

ほかにも節電のためにできることがたくさん

 

〇フィルターお掃除

エアコンのフィルターが目詰まりしてしまうと、空気を取り込む量が減り、エアコンが頑張ってしまうことで電力が使われてしまいます。自動フィルターお掃除運転機能のある機種もありますが、取り扱い説明書にある掃除間隔を目安にフィルター掃除を行いましょう。

〇室外機回りの掃除

エアコンは室内機と室外機をセットで購入し、室外機の吹き出し口付近は室内からの熱い空気を放熱しています。そして、その放熱の際に多くの電気を使用します。吹き出し口がふさがれてしまうと、放熱したい熱い空気が再び取り込まれ、冷却効率が下がってしまいます。室外機をできるだけ日陰に設置する、日よけを利用するなども節電になります。

 

最後に・・・

 

健康を守るためにはエアコンやサーキュレータ、扇風機などを上手に使う必要があります。熱中症にならないよう、エアコンに頼りつつも、栄養バランスの良い食事や適度な運動、半身浴などで汗を上手にかくことのできる身体づくりも行っていきましょう。

 
 

※今回の記事は次の資料を引用・参考にして作成しました。

 

  • 環境省熱中症予防情報サイト
    https://www.wbgt.env.go.jp/(最終閲覧日2023年6月19日)
  • ダイキン工業株式会社
    https://www.daikin.co.jp/(最終閲覧日2023年6月19日)
  • パナソニック株式会社
    エアコンの電気代はいくら?夏の冷房・除湿(ドライ)の省エネな使い方も解説
    https://panasonic.jp/aircon/contents/cost_cooling.html(最終閲覧日2023年6月19日)

 
 

PDF版はこちら 【2023年7月】健康づくりかわら版.pdfをダウンロード

 

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