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各地で梅雨入りする時期となり、蒸し暑い季節が始まりますね。

皆様は、雨と聞くとマイナスなイメージを連想しがちではありませんか?実は、雨にはメリットもたくさんあります!雨の音は「1/fの揺らぎ」ともいわれており、心を落ち着かせたり、集中力も高めてくれます!この時期を利用して、好きなことに没頭してみるのも良いかもしれませんね。



さて今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

雨ニモマケズ!PMSニモマケズ!

 

女性の方には、なじみのある月経前症候群 (premenstrual syndrome :PMS)。天候の変化もPMSの症状に関係しているといわれており、梅雨入りするこれからの時期は普段より不調を強く感じる方もいらっしゃるかもしれません。

症状が起きる、悪化する、その前に今一度PMSについての理解を深め、しっかり対策をしましょう!



そこで今回は『月経前症候群:PMS』に関するお話です。

 

PMSとは

 

月経前3~10日間の黄体期に生じる精神的・身体的症状で月経の発来とともに減弱あるいは消失するものと定義されています。1) 

精神的症状

イライラ感、怒りやすい、無気力、集中力低下

身体的症状

腹部膨満感、肩こり、頭痛、むくみ、体重増加、便秘、乳房緊満感

月経が始まる年齢は12歳、終わりは50歳が平均ですので、約38年間、月経と付き合っていくことになります。そして、妊娠・授乳中は月経が止まることが多いため、子どもを多く産んでいると月経の回数が少なくなります。ですが、現代女性は月経の始まりが早まったものの、結婚や初産年齢は遅くなり、出産回数が大幅に減少しています。その結果、現在女性の一生の月経回数は約450回と推定されており、昔の9~10倍ともいわれています。

 

PMSの原因

 

特に女性ホルモンの変動が大きく関わっていると考えられています。

月経は、「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類の女性ホルモンの作用によってコントロールされており、月経周期の間にホルモンの分泌量も変動します。

個人差はありますが、女性は月経開始から閉経するまで、この女性ホルモンの揺らぎ(波)からくる症状を毎月感じながら過ごしているということです。

しかし、ホルモンはストレスなどの影響も受けるため、PMSは女性ホルモンだけでなく、その他の多くの要因から起こるといわれています。

 

PMSの対策

 

1.記録をつける

いつ、どのような症状が出るのか記録し、自分に起こる症状を事前に把握しておくことで対処がしやすくなります。

 

PMSの症状と付き合うために、自分の傾向を知って、自分なりの対策を考えてみましょう。

2.薬の服用

日常生活にも支障が出るほど症状が重い場合は、医療機関への受診を検討しましょう。



PMSの治療薬には、 一時的に排卵を止め、女性ホルモンの変動を抑える低用量ピルや、漢方などがあります。



最近では、婦人科専門の病院もあり、女性医師の在籍や夜間診療の対応など、相談しやすい環境も広がっています。症状がつらい時には、無理せず受診して相談をしてみてください。



月経痛やPMSは決して恥ずかしいことではありません。こんなことで…と我慢せず、小さなことでも相談し、本当につらい時は休むようにしましょう。

 

PMSの原因となるストレス対策

 

PMSの原因の1つにも考えられている「ストレス」。そのストレスを軽減するためのヒントをお伝えします。
日々お忙しい毎日かと思いますが、取り組みやすいことから始めてはいかがでしょうか。

1.食事
 〇積極的に摂りたいもの
  これらはイライラや情緒不安定を和らげるといわれています。

  ・ビタミンB6

   牛肉、豚肉、鶏のレバー、マグロの赤身、きなこ、ナッツ類


  ・カルシウム

   チーズ、干しエビ、ししゃも、しらす、大根、小松菜、ナッツ類

  ・マグネシウム

   豆類、ナッツ類、海藻類

  ・温かい飲み物

   ホットミルク、ココア、ハーブティー
   ※カフェインを含まないもの

 〇控えたいもの
  ・スナック菓子など、脂質・糖分・塩分の多いもの


  ・カフェインを含むもの(コーヒー、紅茶、緑茶、栄養ドリンク)


  ・お酒、たばこ

2.運動
 ストレッチ、マッサージ、半身浴などで体を温め、代謝や血流を

 良くしておくことも大切です。リフレッシュも期待できます。

3.睡眠
 深い睡眠をとり、体のリズムが整うよう、入眠時の環境を工夫

 しましょう。

 

 ・アロマテラピーや、リラックスできる音楽を聴く。
 ・就寝前30分はスマホやテレビを見ないようにする。
 ・毎日同じ時間に寝る。

 

最後に・・・

 

PMSは女性だけの問題ではありません。仕事や家事が滞ったり、コミュニケーションがうまく取れず、家族や同僚と衝突することも増えてしまいます。そして、できないことを自分のせいにしてしまい、更に悪循環が続きます。
一生の月経回数が大幅に増えている昨今、より多くの方の理解が求められています。全てを理解することはできなくても理解しようと思うことが大切です!PMSの症状が起きていることを当たり前に周りに伝えられ、当たり前に配慮ができる環境をつくっていきたいですね!

 
 

※今回の記事は次の資料を引用・参考にして作成しました。


 引用:1)小林仁美、金子健彦、多賀昌樹:女子大学生における月経前症状と食生活習慣の関連、

    栄養学雑誌、Vol.77 No.4 77~84(2019)
 参考:女性の健康推進室ヘルスラボ

    https://w-health.jp/


    働く女性の心とからだの応援サイト

    https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/

 
 

PDF版はこちら 【2023年6月】健康づくりかわら版.pdfをダウンロード

 

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