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暖かい春の日差しとともに新年度が始まります。新しいことを始めてみませんか?

 

さて、今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

十人十色~全ての人が活躍できる社会実現に向けて~

 

毎年4月2日は、国連が定める「世界自閉症啓発デー」。わが国では、4月2日から8日を「発達障害啓発週間」として、日本各地で自閉症等の発達障害について啓発する活動が行われており、全国各地で普及活動やブルーライトアップ等のイベントが企画されています。


世界自閉症啓発デー・日本実行委員会
http://www.worldautismawarenessday.jp/htdocs/

 

また、2016年6月2日、あらゆる場で誰もが活躍できる、全員参加型の社会を目指すため、「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定されました。多様性という視点も含め『発達障害について』一緒に考えてみましょう。

 

まず始めに“理解”してほしいこと

 

【大前提:同じ人は1人もいない】
私たちは、性格も個性や特徴もそれぞれ違います。得意/不得意、関心のあり/なし、好き/嫌いなど。誰にでも得意・不得意や能力の凸凹(でこぼこ)があります。私たちは家族、友人、同僚、それぞれの個性や特徴・特性を互いに理解して関係を築いています。ピースの凸凹一つ一つを組み合わせて完成させていくパズルのように、全く異なる個が集まる集団の中で、互いに理解しあうことで多様性を認め合う社会へとつながっていくのではないでしょうか。

 

【能力の凸凹や特性によって悩むことがある】
発達障害は、生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴があります。そのため、養育者が育児の悩みを抱えたり、生きづらさを感じたりすることがあります。(※1)

他人との関係づくりやコミュニケーションなどがとても苦手ですが、優れた能力が発揮されている場合もあり、周りから見てアンバランスな様子が理解されにくい(※3)ことも。
思春期や青年期・成人期になってから学校や家庭、職場などで困りごとが増え悩むケースもあり、それに伴い精神的な不調を来す場合もあります。

 

【内的・外的要因の影響も大きい】
発達障害は、本人の怠慢や家族のしつけ・環境などが原因ではありません。(※2)発達の状況や年齢、環境など様々な要因によって、本人の特性の見え方が変わってきます。診断された時期で診断名が異なることもあります。

 

【“理解・認め合い・支えあい”が重要】
個々の能力を伸ばし、社会の中で自立していくためには、子供のうちからの「気づき」と「適切なサポート」、そして、発達障害に対する私たち一人一人の理解が必要です。(※3)また、私たちがその特性を理解し、本人・家族・周囲の人が特性に応じて、日常生活それぞれの居場所での過ごし方や環境を工夫することで、困りごとを軽減させたり、困難から優れた能力に変わることだってあります。
“理解・認め合い・支えあい”は私たちが人間関係を築く上で必要不可欠です。

 

主な発達障害について

 

前項の内容を踏まえたうえで、主な発達障害の特徴を見ていきます。同じ障害名でも特性の現れ方が違ったり、いくつかの発達障害を併せ持ったりすることもあります。

 

自閉スペクトラム症(ASD)
自閉症、アスペルガー症候群など含めて自閉スペクトラム症と表されています。コミュニケーションの場面で、言葉や視線、表情、身振りなどを用いて相互的にやりとりをしたり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを読み取ったりすることが苦手。また、特定のことに強い関心や能力をもっている、こだわりが強いという特性も。感覚の過敏さを持ち合わせている場合もある。

 

注意欠如・多動症(ADHD)
発達年齢に比べ落ち着きがない、待てない(多動性-衝動性)、注意が持続しにくい、作業にミスが多い(不注意)といった特性がある。

 

学習障害(LD)
全般的な知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算するなど特定の学習のみに困難が認められる。

 

その他、チック症や吃音なども含まれています。

 

大切なのはその人を理解していくこと

 

ここでは、「働く」に重点を置いて考えてみます。

 

会社で何かトラブルが起きた時、作業工程が問題なかったか、環境はどうだったか等アセスメントを行うかと思います。

 

困りごとが起きているときもやはり大切なことは、どこにつまずいているのか、何が難しかったのか、環境や状況・工程に問題はなかったのか等、健康状態、特性等含めてアセスメントしていくことではないでしょうか。

 

アセスメントした中で個人や集団、組織として工夫できることはないか、ステップの踏み方や特性に応じた適正な業務について等考えていくことが重要だと考えます。
その際には、産業医や産業看護職・医療機関・相談機関等の事業内外の資源を活用していくことも大切ですね。

 

発達障害について相談したいときには

 

発達障害がある場合、早めに障害に気づき、適切な療育や支援につなぐことで、社会に適応する能力を身につけ様々な能力を伸ばしていくことができます。もし、ご自身やご家族、周りの大切な人のことで気になることがあるときは、「相談」しましょう。
全国に発達障害者支援センターが設置されています。お住いの地域の相談窓口もご確認ください。

 

国立障害者リハビリテーションセンター
発達障害情報・支援センター 相談窓口
http://www.rehab.go.jp/ddis/action/


また、今回の記事は下記サイトを引用・参考に作成しています。こちらもぜひ参考にされてください。

 

<引用>【最終閲覧:2023年3月20日】
(※1)厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス 総合サイト
こころの病気を知る 発達障害
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_develop.html

 

(※2)厚生労働省 e-ヘルスネット 発達障害 稲垣真澄 加賀佳美
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-049.html

 

(※3)政府広報オンライン 発達障害って、なんだろう?
https://www.gov-online.go.jp/featured/201104/index.html#section004

 

<参考>【最終閲覧:2023年3月20日】
・国立障害者リハビリテーションセンター
 発達障害情報・支援センター

 http://www.rehab.go.jp/ddis/

 

・厚生労働省 政策レポート 発達障害の理解のために
 https://www.mhlw.go.jp/seisaku/17.html

 

・発達障害ナビポータル

 https://hattatsu.go.jp/

 

・平成30年厚生労働白書 第1部 第4章
 https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/18/dl/1-04.pdf

 

≪こちらも参考に≫【最終閲覧:2023年3月20日】
厚生労働省 精神・発達障害者しごとサポーター 養成講座 e-ラーニング

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/e-learning/

 

内閣府 合理的配慮等具体例データ集(合理的配慮サーチ)
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/index.html

 

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
みんな輝く職場へ ~事例から学ぶ合理的配慮の提供~
https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/gouritekihairyo.html

 

PDF版はこちら 【2023年4月】健康づくりかわら版.pdfをダウンロード

 

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