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9月は健康増進普及月間!「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ~健康寿命の延伸~」(今年度の統一標語)を合言葉に自分や大切な仲間との健康づくりを実践していく機会にしてはいかがでしょうか。

 

さて、今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

始めていますか?!健康投資は最優先課題です!

 

先立つものは「健康」。頭ではわかっていても、多くの人が健康への投資を後回しにしてしまいます。特に、働く世代の皆さんは、多忙でそれどころじゃないという方も多いかもしれません。
「自分は大丈夫!」というバイアスを一旦取り除いて、今一度、食習慣から見直してみませんか?

 

そこで、今回は『働く世代×食事ポイント』に関するお話です。

 

青年期・若者世代(20~39歳ごろ)

 

気力・体力ともに充実した世代。一方、生活の自由度が高くなり、望ましくない生活習慣も身に付きやすい時期です。就職や結婚、出産といった環境の変化により、食生活の乱れ・運動不足・睡眠不足・ストレス過多などの健康問題が課題となるため、自分自身でいかに食事管理を行うかがポイントです。


 

男性


【健康課題】

  • 学生時代と変わらない食事量や食べ方で、生活習慣病のリスク上昇
  • 就職後、10年で10㎏前後の体重増加
  • 夜型生活で生活リズムが不規則

 

【食生活の傾向】

  • 栄養より低価格!安くて空腹が満たせればOK
  • 今、食べたいものを食べる!直観的に食べ物をチョイス
  • 手軽にとれておいしいものが良い(加工食品が多め)

 

◎食事のポイント

  • 夕食は早めに食べる、遅くなる場合は夕方に間食(おにぎりなど)を取り入れ、夕食の一部を朝食へ
  • 食事も仕事の一部と捉え、食事で体調管理を行う
    例)朝食を摂る/昼食を充実させる(単品→定食)/丼のご飯を少な目にし、サラダをプラス/夕食後の間食は控える

女性


【健康課題】

  • 心身の不調(便秘、冷え、イライラなど)を感じる
  • 低体重だが健診結果に異常あり(コレステロール値が高い、貧血など)
  • 栄養不足や偏食による骨密度や筋肉量の低下(将来の骨粗しょう症につながる)

 

【食生活の傾向】

  • “カロリー”や“ダイエット”に敏感
  • 美容面を意識し、サラダやサプリメントを取り入れる
  • 食事は軽食で済ませ、食後や間食にデザートを食べる

 

◎食事のポイント

  • 朝食、昼食を充実させる
    (炭水化物食品+たんぱく質食品+野菜)
  • お菓子は16時までに1日200kcal程度
  • まずは食事、その補足でサプリメントを活用する
 
壮年期・中高年世代(40~64歳ごろ)
 

職場や地域、家庭において重要な役割を担い多忙な時期。一方、身体機能が低下し、更年期などホルモンバランスの乱れが生じてきます。また、これまでの生活習慣や食習慣、運動習慣などによっては、生活習慣病の発症や受診を必要とする機会が増える方も多いです。仕事や子育てなどで自分の健康管理が後回しになりがちであるため、いかに生活の中で健康を意識し、良い食習慣を取り入れていけるかがポイントです。

 

男性


【健康課題】

  • 基礎代謝の低下で体重増加
  • 生活習慣病のリスクが増える、または発症する
  • 服薬を開始する人が多い
  • アルコール量が増える
  • 動脈硬化が進行しやすい

 

【食生活の傾向】

  • 味覚に変化がみられ、濃い味を好むようになる
  • 似たようなメニューを選びがち(食事のマンネリ化)
  • 朝食は食べない 又は 軽食で済ませる
  • 肉中心のおかずが多いが、サラダや栄養ドリンクなどの健康を意識したものを少しずつ取り入れている

 

◎食事のポイント

  • 適正体重(BMI=22)を目指した食事量へ
  • 遅い時間の夕食は控えめにし、朝食を充実させる
  • 例)パン→納豆ごはん、卵かけごはんなど
      肉料理などは昼食、魚や豆腐料理を夕食に食べる
  • 塩分の多いものは残す(漬物、麺類やインスタントのスープ等)
  • サラダ、お浸し、酢の物など野菜メニューにバリエーションを持たせる
  • アルコールは1合/日までにする 

女性


【健康課題】

  • 更年期に入り、体重やコレステロール値が増加しやすい
  • おなかぽっこり(内臓脂肪型)の肥満になりやすく、生活習慣病のリスクが上がる
  • 動脈硬化が進行しやすい

 

【食生活の傾向】

  • 栄養バランスは比較的整っている
  • “カラダにいいもの”を色々プラスし、エネルギー過剰になる
  • 家族に付き合いながら食事をとるため、早食い、つまみ食い
    夕食時間が遅い、ダラダラ食べなどにつながる

 

◎食事のポイント

  • 朝食は温かい食事を取り入れる
  • 家族全員に合わせず、自分の食事時間を決める
  • “カラダにいいもの”は食事の中で取り入れ、足した分はごはんやおかずから引き、摂取エネルギーを調整をする
  • 無糖、低脂肪、高たんぱくを意識した食品や飲料を選ぶ
 

すべての世代での食事のポイント

 

働く世代の食習慣は子どもの食育にもつながっています。すべての世代での共通の食事ポイントを知り、家族で健康投資を行っていくことも大切です。

 

■一日3食、朝食はしっかり食べる
どの世代もまずは3食の食事でしっかり栄養を摂ること。食事リズムを整えることで、体内時計が整い体調改善につながります。

 

■適正体重の維持
BMI=体重㎏÷(身長m×身長m)=22を目標とし、これより多い場合は食べ過ぎ、少ない場合はエネルギー不足と捉え、活動量と合わせて食事量を調整します。肥満の予防は生活習慣病の予防、やせの予防はフレイルや骨粗鬆症予防の第一歩です。

 

■減塩
壮年期~高齢期に入ると、味覚も低下し濃い味を好むようになります。子供時代から薄味に慣れておくことで、生活習慣病の予防や一生涯にわたり食事を楽しむことにつながります。

 

■みんなで食べる(コロナ禍が落ち着いたら…)
食事は生きるために必要な栄養素の摂取という意味だけでなく、心の栄養や社会性など様々な役割があります。そして、何よりも楽しくおいしく食べることができます。家族や仲間と一緒に食事をとる機会を増やしていけると良いですね。

 

最後に

 

食習慣は子供世代から作られ、高齢期の健康にまで影響を及ぼします。そして、健康投資は若ければ若いほどメリットも大きくなります。まだ健康投資を始めていない方は、“今”が始めるべきベストタイミングです。

【参考資料】
・小島美和子. 1週間で体調がグンとよくなる食べ方.三笠書房(王様文庫), 2018
 健康日本21(総論)(厚生労働省)
 https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/s0.html
・【特集】健康寿命の延伸につながる食育の推進(農林水産省)
 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wpaper/h30/h30_h/book/part1/chap1/b1_c1_1_03.html

 

PDF版はこちら 【2022年9月】健康づくりかわら版.pdfをダウンロード

 

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