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日本予防医学協会HP

最近、わたしは新聞も読まずテレビもみなくなりました。
みなさんはどこから情報を仕入れていますか?
さて、今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

インフォデミックって、どげなこと?

 

うわっ、カタカナ! と拒否反応が起きそうですが、新しい言葉が次々と生み出されますね。
インフォデミックは2020年に衆議院の国会答弁でも俎上(そじょう)にあがっています。
そこで今月は『インフォデミック』に関するお話です。

 

世界保健機関(WHO)も使っています

 

インフォデミックはインフォメーション(情報)とパンデミック(感染症の世界的流行)を合わせた造語です。

 

新型コロナウイルス(Covid-19)の世界的流行と同時に、真偽が定かでない様々な情報もSNSを通じて世界中に拡散されました。
エンタメとしては面白い都市伝説や陰謀論のようなものから、医師や研究者が語る最新情報まで、日々情報の洪水に押し流されつつあるのがわたしたちの現状ですね。

 

インフォデミックを引き起こす元となる情報は、悪意あるデマから情報の誤った解釈までグラデーション(濃淡)があり、一見すると判断に迷うことが多々あります。

 

たとえば・・・

 

最近の例を一つお示しします。

 

「2022年はインフルエンザが大流行」という見出しのニュースが昨秋躍ったように記憶しています。
これは2021年9月に日本感染症学会が「2021-2022年シーズンにおけるインフルエンザワクチン接種に関する考え方」で「インフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨」した提言に由来します。
https://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=44

 

その提言の中に「英国政府は、今年のインフルエンザは早期に流行が始まり、昨年流行がなかったために例年の1.5倍の大きさの流行になる可能性があるとして、インフルエンザワクチン接種を呼び掛けています」とあります。昨秋のニュースはおそらくここを切り取って「2022年はインフルエンザが大流行」という見出しになったのだろうと思います。

 

そして今。
2021-2022年シーズンも前年と同様、現時点では流行していませんので「日本感染症学会がまちがった」と、はやガテンした人もいるでしょう(わたしもその一人です)。

 

しかしこの提言は、流行の可能性に言及し、新型コロナウイルス感染拡大時に医療現場の負担を減らすためにもワクチンで予防できる疾患には積極的な接種を、と述べています。

「2022年はインフルエンザが大流行しますよ~」と喧伝しているわけではありません。

 

毎日大量にあふれるニュースのヘッドラインだけを見ていると、勘違いや誤読も増えてしまいますね。

 

インフォデミックの大海原を泳ぐには

 

ではわたしたちは何をどうすればいいのでしょうか。

 

学生時代の初心に戻って、基本的なことを認識し直すことではないでしょうか。

  • 事実と推測を分けて考える
  • 引用や参考など二次情報ではなく一次情報(原本)を確認する
  • 不確かなことは発信しない

また、権威ある新聞やネットニュースでも誤った解釈がありうると心構えることではないでしょうか。科学的な知見とかエビデンスと言われても鵜呑みにできません。そもそも科学は日進月歩ですから、今日の常識は明日の非常識かもしれません。

 

かと言って、何もかも疑っていては予防活動もままなりません。
何か疑問を持ったら、厚生労働省や世界保健機関(WHO)はどのような見解かこまめに調べることではないでしょうか。

 

withコロナとともに、withインフォデミックで、落ち着いた生活を心がけたいものです。

 

PDF版はこちら 【2022年4月】健康づくりかわら版.pdfをダウンロード

 

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