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日本予防医学協会HP

暖かな日差し、桜の便りが待ち遠しい季節となりましたね。
さて、今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

もうすぐ新年度。そうだ、がん検診を受けよう! 

 

がん。日本の死因第1位の病気です。いまや、一生のうち2人に1人が何らかのがんにかかっていると言われており、とても身近に起こりうる病気です。
がんは全身いろいろな部位で起こりうるのですが、男性・女性それぞれ特有のがんもあります。
そこで今月は『性別特有のがん』に関するお話です。

 

見てみよう、がんのデータ

 

がん情報サービス がん統計予測【最終閲覧:2022年2月14日】
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/short_pred.html

がんの罹患者予測(2021年) がんの死亡者予測(2021年)
男性 女性 男性 女性
1位 前立腺 乳房 肺 大腸
2位 胃 大腸 大腸 肺
3位 大腸 肺 胃 膵臓
4位 肺 胃 膵臓 乳房
5位 肝臓 子宮 肝臓 胃

男性では、前立腺がんにかかる患者数が最も多くなっています。
女性は乳がんが最も多く、また、乳がんは死亡数も第4位と予測されています。

 

前立腺 × がん

 

前立腺は男性の尿道のまわりにある臓器です。
前立腺がんは50歳以降増加する傾向にあります。
初期には自覚症状がないことが多いですが、尿が出にくい、排尿の回数が多いなど前立腺肥大症に似た症状があらわれることも。

 

進行すると、上記のような排尿の症状に加えて、血尿や、腰痛などの骨への転移による痛みがみられることがあります。1)
気になる症状があれば早めに泌尿器科を受診しましょう。

 

なお、現在、指針として定められているがん検診はありませんが血液検査(PSA)でがんの可能性を調べることができます。

 

PSA検査
前立腺にがんや炎症が起きると産生されるPSAというタンパク質を血液検査で測定します。早期発見や再発の確認に役立つと考えられていますが、前立腺肥大や前立腺炎等でも上昇することがあり、さらに精密検査で確認することが必要です。

 

乳房 × がん

 

乳がんの主な症状は、乳房のしこりです。ほかには、乳房にえくぼやただれができる、左右の乳房の形が非対照になる、乳頭から分泌物が出る、などがあります。2)

 

【がん検診でできる検査】


マンモグラフィー
乳房専用のレントゲン検査です。乳がんに特徴的にみられる小さな石灰化の描出に優れており、早期の乳がん発見に有用です。
若い方は乳腺が多く、石灰化や腫瘤の判別が難しくなることがあります。X線を使用するため、妊娠中の方は受けられません。

 

乳房超音波検査
乳腺が発達している方でも腫瘍を見つけやすく、小さな腫瘍も発見できるのが特徴です。
マンモグラフィーと違い石灰化を映し出すことは難しいため、乳がん罹患率が上がる40歳以上の方はマンモグラフィー検査を主に受け、超音波検査は併用することをお勧めします。 

 

【早期発見のためにできること】


自己チェック
≪見て確認≫
ただれ等がないですか?
両腕の上げ下げや腕を腰にあてた時に、くぼみやひきつれはないですか?

 

≪触って確認≫
乳首から分泌物はないですか?
乳房全体やわきの下にしこりは触れないですか?

 

子宮 × がん

 

1.子宮頸がん
子宮の入り口・子宮頸部にできるがんです。
患者数は20歳代から増え始め40歳代が最も多くなっています。
子宮頸がんは高リスク型HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が影響していると考えられており、異形成という細胞に変化します。異形成は軽度→中等度→高度と進みがんに進行します。

 

異形成の時期は症状がなく、おりものや出血、痛みもありません。
進行すると、月経中でないときや性交時に出血したり、濃い茶色や膿のようなおりものが増えたり、水っぽいおりものや粘液が多く出てきたりすることがあります。さらに進むと下腹部や腰が痛んだり、尿や便に血が混じったりすることもあります。3)

 

【がん検診でできる検査】
細胞診
子宮頸部の細胞を採取し、顕微鏡で調べる検査です。
ブラシなどで子宮頸部を優しくこすり、細胞を採取します。

 

HPV検査
「高リスク型HPV(ヒトパピローマウィルス)」の有無を調べる検査です。子宮頸部細胞診と同時実施が可能です。

 

2.子宮体がん
子宮の内膜にできるため、子宮内膜がんとも呼ばれています。
30歳代以降増え始め50歳代・60歳代が最も多くなっています。
自覚症状で最も多いのは不正出血です。月経時期以外や閉経後に出血があるなど、気になる症状があれば早めに婦人科を受診しましょう。
なお、現在、指針として定められているがん検診はありません。

 

がんを早期に発見することの大切さ

 

医学の進歩に伴い、がんは、早く発見し早く治療すれば、確実に治すことができる病気となってきています。
しかし、初期の段階では、自覚症状がないことがほとんどです。
自覚症状がない初期の段階で早期に発見する。
そのためには、『健康診断』『がん検診』の受診が非常に重要となります。

 

新年度の行動計画に、『がん検診』受診を!
健康診断は受けっぱなしにせず、再検査や精密検査を!

 

当会保健師からの熱きメッセージです。

※今回の記事は次の資料を引用・参考にして作成いたしました。

  • 【国立がん研究センター がん情報サービス】 (最終閲覧:2021年2月8日)
    1)前立腺がん
     https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/index.html
    2)乳がん
     https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/index.html
    3)子宮頸がん
     https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/index.html

  • (一財)日本予防医学協会 検査結果の見方 (最終閲覧:2021年2月9日)
    https://www.jpm1960.org/toe/mikata.html

  • 厚生労働省健康局がん・疾病対策課
    平成30年 全国がん登録 罹患数・率 報告 (最終閲覧:2021年2月14日)
    https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000794199.pdf

 

PDF版はこちら 【2022年3月】健康づくりかわら版.pdfをダウンロード

 

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