新型コロナウイルス感染症の影響が続いていますね。
在宅勤務やテレワークを継続されている方も多いのではないでしょうか?
さて今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

 

テレワークの極意

 

内閣府が推進してきた情報社会(Society 4.0)の実現と、コロナ禍も相まって、働き方にも変化が生まれてきています。

今では何らかの形で毎日の仕事に情報機器類(パソコンやタブレットなど)を使用する方が大半だと思います。


これらの情報機器を操作するような作業では、心身への影響がよく知られています。特に、機器を操作する作業環境や作業姿勢等で心身への様々な影響が発生すると言われています。


そこで今回は『在宅勤務とパソコン作業』に関するお話です。

 

情報機器操作のガイドライン

 
従来、パソコンなどの機器を使用する作業の労働衛生管理については、厚生労働省より「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」が示されていましたが、令和元年7月付で「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に改訂されました。
この背景には、冒頭にお示したような情報社会の確立に伴って、ハード・ソフト両面の技術革新が進んだことにより、パソコンだけでなくタブレットやスマートフォンなどを使用した作業を行う方が増えたことが挙げられます。
このガイドラインには、作業による疲労、目(視覚)への影響、肩こりや腰痛など(筋骨格系疾病)への影響、メンタルヘルスなどのリスクを低減するためのヒントが数多く示されています。
それらのヒントとは、大まかに言えば、作業を行う際の環境に関するもの(作業環境管理)や作業を行う条件に関するもの(作業管理)、健康の維持に必要なもの(健康管理)に分けることができます。
昨今のコロナ禍において、在宅勤務となった方も多くいらっしゃると思いますが、このガイドラインのヒントに沿ってご自身の作業する環境を今一度見直してみましょう!
 

在宅勤務での作業あるある

 

同じパソコンを使用する作業でも、会社の中で使い慣れた机と椅子に座って行う作業と自宅の机と椅子では目や体の疲れ方が違いませんか?この疲労感は机と椅子が変わったことによって作業する姿勢(作業姿勢)が変化したことや、自宅の照明の明るさ(照度)、窓のブラインドの有無などが関係しています。以下の項目は、在宅勤務における作業環境と作業姿勢あるあるを集めたものです。当てはまる項目はありませんか?

☑ 椅子が無いので、床に座って作業をしている

☑ ソファに座って作業をしている

☑ 横になってタブレットやスマホで作業している

☑ 節電のため照明は暗めにしている

☑ つい作業に集中して時間を忘れてしまう

☑ 自宅から殆ど出ていない

これらの項目に当てはまるものがあれば、作業による疲労感が大きくなることがあります。早めに改善していきましょう!

 

どんなことに気を付けたらいいの

 

情報機器を操作する作業で起こりやすいとされている身体症状には、眼精疲労、肩こりや腰痛、指の痛みなどがあります。
これらの症状は、作業姿勢や作業時間、身体活動量と密接な関係があることが既に明らかになっています。
在宅勤務で大切なことは、適切な作業姿勢、適度な休憩、身体活動量を保つということです。特に、在宅勤務では通勤がなくなることで、以前よりも歩数が大幅に減少している方が多いのではないでしょうか?自主的に散歩するなど三密を避けた適度な身体活動を心がけましょう。
自宅でできそうな工夫を以下にまとめてみました。少し工夫するだけで、体の疲れ方が変わりますので一つでも多く取り組んでみてください。

作業する姿勢や環境に関する工夫

  • 作業時の肘と膝の角度が90度になるように机と椅子の高さを調整する
  • 座った時に足の裏全面が床につくように椅子を調整する
  • なるべく背もたれのある椅子を使用する
    (但し、ソファは腰が沈み込んで背中が丸くなるのでNG)
  • 椅子が無い時は、壁によりかかって背もたれ代わりに使用する
  • パソコンの下に本などを置いて目線の高さを調整する
  • パソコン画面と目の距離は40㎝以上とる
  • タブレットなどの作業では外付けキーボードを使用する
  • 適度に明るい照明を使用する

 

作業を継続する時間に関する工夫

  • 目の疲労軽減のため20分に1回は立ち上がって窓の外など遠くを見つめる(20秒位でOK)
  • 作業の継続時間は1時間までにして小休憩をとる
  • 小休憩は10~15分程度を目安にする

 

こまめに体を動かす工夫

  • 小休憩の際には簡単な体操やストレッチを実施する
  • 浮いた通勤時間で散歩など外出して気分をリフレッシュする
  • テレビで決まった時間に放送されている体操などを実施する
 

最後に・・・

 

いくつか取り組めそうな内容はありましたか?
在宅勤務では作業する環境や作業する姿勢に配慮して健康を維持していきましょう。また、座りっぱなしにより身体の活動量が低下することで、様々な病気のリスクが上昇することが既に明らかになっています。在宅勤務では、以前よりも身体活動量が減少していることを踏まえて、自主的に運動する時間を作ることが肝要です。様々な工夫をして在宅勤務を乗り切りましょう!

※今回の記事は次の論文や資料を参考に作成しました。

  • 厚生労働省通達(令和元年7月12 日 基発0712第3号)
    https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/content/contents/000707132.pdf
  • (一社)日本人間工学会、榎原毅・松田文子(訳)
    「タブレット・スマートフォンなどを用いて在宅ワーク/在宅学習を行う際に実践したい7つの人間工学ヒント」
    日本人間工学会、2020
 

PDF版はこちら 【2022年2月】健康づくりかわら版.pdfをダウンロード

 

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