11月1日から年末までちょうど60日です。2021年でやり残していること、1つでも2つでもチャレンジしてみましょう!
さて、今月の【健康づくりかわら版】をお届けします!

できていますか? (×)酔い (〇)良い お付き合い

良い付き合いや友好関係を築く時には、相手をよく知るということが大切ですね。お酒との付き合いもまた然りです。

新型コロナウイルス感染症の拡大から、お家でお酒を楽しむ時間が増えた!という方もいらっしゃるかもしれませんね。

お酒のことをしっかり理解し、健康的な良い付き合い方を考えてみませんか?

そこで今月は『お酒』に関するお話です。

飲んでいるアルコール量、あなたはどれくらい?

酒類とは、アルコール分1度以上の飲料を指します。

(薄めてアルコール分1度以上の飲料とすることができるもの、または溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む)【酒税法第2条第1項】

 

お酒には製法や原料も様々で、アルコールの度数も色々あります。
健康という視点で考えた時にポイントとなるのは、飲んでいるお酒の量ではなく、飲んでいる「アルコールの量」です。
そこでまずは、ご自身の日々飲まれている「純アルコール量」を調べてみましょう!

 

純アルコール量(g)=酒の量(ml) × 度数[%] × 比重 (0.8)

 

例)5%のビール 中ビンまたはロング缶1本(500ml) 
  500ml×0.05×0.8=20g
  7%の酎ハイ レギュラー缶1本(350ml) 19.6g
  9%の酎ハイ レギュラー缶1本(350ml) 25.2g
  ワイン(12%) ワイングラス1杯(120ml) 11.5g
  日本酒(15%) 1合(180ml)  21.6g

適切な飲酒量ってどのくらい?

厚生労働省の示す指標では、節度ある適度な飲酒は1日平均の純アルコール量で『20g程度』です。ビールは中ビン1本、7%酎ハイ・レギュラー缶1本、ワイングラス2杯程度が『20g』相当となりますね。9%酎ハイ(いわゆるストロング系)は、レギュラー缶1本で適切な飲酒量を超えてしまいます。

 

一方、アルコールの代謝能力が低いとされている女性や高齢者、飲酒後に顔面紅潮・動悸・頭痛などのフラッシング反応を起こす人は、半分の『10g程度』が推奨されています。

 

では、アルコールの摂取量が多すぎた場合、体や心にどんな影響があるのでしょうか?一部ですが書き出してみました。アルコールは全身に影響があることが分かっていただけるかと思います。

 

【肝臓】 脂肪肝、肝炎、肝硬変、肝がん
【膵臓】 膵炎、糖尿病
【循環器】高血圧、脂質異常症、冠血管疾患、心不全、脳梗塞 
【脳】  脳委縮、認知症
【がん】 口腔、咽頭、喉頭、食道、肝臓、大腸、乳房
【メンタルヘルス】  うつ病、アルコール依存症
【その他】メタボリックシンドローム、痛風

ここが肝! お酒の代謝に注目

《吸収》
アルコールは胃や小腸で『消化を受けることなく吸収』されます。
全般的に吸収は早く、飲酒後1~2時間でほぼ吸収されます。
手術等で胃が切除されている場合や、空腹時に飲酒をすると、アルコールが胃を素通りして小腸に流れ込みます。胃よりも小腸のほうが吸収が速いため、血中濃度の上昇がさらに速くなるといわれています。

 

《分解》
胃・小腸から吸収されたアルコールの大部分は肝臓で分解されます。肝臓は様々な代謝を担っている体にとって重要な臓器、まさに「肝」なのです。
多量のお酒を休肝日なく毎日飲んでいると、脂肪肝や肝炎、肝硬変をきたすことに。肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれています。
症状が出てからではすでに手遅れという場合もあります。

 

なお、アルコールは分解の過程でアセトアルデヒド⇒酢酸となります。このアセトアルデヒドの分解に必要な2型アルデヒド脱水素酵素は、遺伝的に3タイプがあります。

  1. 普通に働くタイプ(活性型)
  2. 活性型に比べて分解が非常に遅いタイプ(低活性型)
  3. 全く働かないタイプ(非活性型)

日本人の約半数は2や3の働きの弱いタイプと言われ、飲酒後、血液中のアセトアルデヒドの濃度が上がることで、フラッシング反応を引き起こします。このような方は、アルコールの分解が遅く、

がんや様々な臓器障害を起こしやすいといわれています。

お酒と脳との深ーい関係性

「酔う」ということと脳(中枢神経)には深い関係があります。
アルコールの血中濃度が低いと気持ちをリラックスさせる、会話を増やすなどの効果があると考えられています。
一方、ある程度の濃度を越えると鎮静効果の方が強くなり、小脳の機能が低下します。すると、呂律が回らない・まっすぐ歩けないといった運動機能の障害が現れます。俗にいう千鳥足です。
さらに濃度が高まると意識障害を起こして死に至ることも。

 

フラッシング反応を示さない人でも、すぐに酔ってしまう人もいます。これは脳のアルコールに対する感受性の違いによるものと言われています。
また、飲酒を続けるとお酒に強くなります。その多くは脳の神経細胞が機能変化を起こし感受性が下がる=耐性がつくからと考えられています。感受性が低く飲み始めからお酒に強い人はアルコール依存症のリスクが高いともいわれています。

お酒との「良い」お付き合いの方法

  • アルコール量は1日20g以下に
    (女性・高齢者・フラッシング反応が起きる人は10g以下)

  • お酒は食事と一緒にゆっくり楽しもう

  • 寝酒は極力控えて
    アルコールは寝つきは良くなるが、夜中に目覚めてその後なかなか眠れなくなり、睡眠の質を下げてしまいます。

  • 週に2日は休肝日を!

  • 薬の治療中、妊娠・授乳中は飲まない
    アルコールは薬の効果を強くしたり、逆に弱めたりします。
    また、妊娠中や授乳中は赤ちゃんの成長を妨げてしまう場合も。

  • 入浴・運動・仕事前も飲まない
    飲酒後の入浴や運動は、血圧の変動を大きくしたり不整脈のリスクが。事故やケガ予防の観点からも控えましょう。

  • 定期的に健康のチェックを!
    健康診断やがん検診をしっかり受けるようにしましょう。
    飲酒量が明らかに多い、飲み方が気になる、もしかして依存症?気になる方は以下のテストでチェックしてみましょう。


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厚生労働省 e-ヘルスネット

新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト/新KAST


https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-026.html

最後に・・・

お酒は、1日の終わりにリラックスできたり、食事や会話を楽しむ時間をもたらしてくれることがあります。
だからと言って、たくさんの量を毎日飲むことは、デメリットやリスクを伴います。お酒を知り、お酒に呑まれず、心や体にとって、良いお付き合いをしていくことが大切です。
クリスマスやお正月など、季節ごとのイベントも増える時期。お酒と長く良い付き合いができるよう、いま一度振り返ってみてくださいね。

※今回の記事は次の資料を参考・引用して作成しました。

 

  • 【厚生労働省e-ヘルスネット】 (最終閲覧:2021年10月18日)
    アルコールによる健康障害
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol-summaries/a-01

  • アルコールの基礎知識
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol-summaries/a-02

  • ライフサイクルと飲酒
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol-summaries/a-04

  • 飲酒のガイドライン 樋口進
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-003.html

  • 我が国の飲酒パターンとあるコース関連問題の推移  真栄里仁
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-06-001.html

  • アルコールと認知症 松下幸生
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-007.html

  • アルコールと肝臓病 丸山勝也
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-002.html


  •  

    【厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査の概要】
    https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

PDF版はこちら 【2021年11月】健康づくりかわら版.pdfをダウンロード

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