次世代に伝えたい日本文化「和食」


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  次世代に伝えたい日本文化「和食」
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前回の記事で和食の特徴についてお伝えしましたが、和食は料理
だけを指すのではなく、日本人の伝統的な食文化として育てられ
てきました。長い歴史の中で伝承され、優れた食文化として世界
に認められた和食は、どのように育まれてきたのでしょうか。

そこで今回は『日本文化として考える和食』に関するお話です。

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★ 和食が日本文化として考えられた理由 ★
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日本人は一年を通して移り変わる季節や、時に厳しさをもたらす
自然と寄り添いながら、それぞれの地域で食文化を育んできまし
た。また、自然の恵みである食を分け合い、共に食べることで家
族や地域の絆を強くしてきました。和食が日本文化として考えら
れた理由として、下記の4つが挙げられます。

<和食の精神性>
科学や技術が発達していなかった時代、自然は大きな存在でした。
そして、神を信じ、農作大漁・収穫の祈りや喜び・感謝は祭りと
なって、食の恵みをもたらす自然を尊重する精神性が育まれてき
ました。四季の感性を大切にする和食は「自然の尊重」そのもの
だと考えられます。

<和食の社会性>
家族の食卓や祝い事、村や町での祭りや行事など、自然の恵みを
共に食べる中で継承されてきた和食は、社会的な役割を果たして
います。

<和食の機能性>
米を中心に野菜や海産物など、自然の恵みを豊富に使用した和食
は栄養バランスに優れた健康的な食文化と考えられています。ま
た、行事や祭りなどの料理には、健康長寿の願いをかける機能も
あります。

<和食の地域性>
北海道から沖縄までそれぞれの地域が特徴のある食文化を営んで
きており、各地域独自の料理や食習慣が和食をかたちづくってい
ます。

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★ 家族や地域をつなぐ和食 ★
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日常の食事は、家族や親族で食卓を囲み、日々の出来事を語り合
うことで絆を深めたり、箸や器などの持ち方・扱い方、料理の味
覚やバランスを子どもたちに教えるなど、大切なコミュニケーシ
ョンの場になります。また、正月や節分などの「年中行事」でそ
のときならではの料理をいただき、それぞれの家の味や伝統が次
世代へ受け継がれていきます。
地域ごとで行う祭りの中でも食は大切な要素であり、さらに祭り
後の打ち上げで酒を酌み交わすことで、さらに親密感が増し、共
同体意識を高めています。
家族の食卓、祝いごと、祭りや年中行事など、日本の伝統文化の
中で、和食は人と人をつなぐ役割の中心にあります。

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★ 健康長寿を願って食べる和食 ★
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ハレの日の食事の代表的なものとして「おせち料理」があります。
そのバリエーションは各地域ごとにさまざまですが、神と食事を
共にし、福を招き災いを打ちはらう・健康長寿などの願いが込め
られているという点は共通しています。

 ●おせち料理
  黒豆(健康祈願)、昆布巻(「よろこぶ」の語呂合わせ)、数
  の子(子孫繁栄祈願)、田作り・たたきごぼう(豊作祈願)、
  紅白かまぼこ(祝の色、日の出の象徴)、海老の焼き物(長寿
  祈願)、栗きんとん(金運、勝負運を願う)、紅白なます(根を
  張るように)、煮しめ(家族仲良し)など

 ●お屠蘇(おとそ)
  邪気を払う、心身を目覚めさせよみがえらせる。
  
 ●雑煮
  神の力をいただく(丸い餅は神の魂の象徴)。
 
 ●赤飯
  赤い色の小豆は、邪気と厄をはらいのける。

このように、和食の根底には健康で長生きしたいという強い願い
が込められ、結果として健康によい食文化を作り上げてきました。

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★ 和食の成立とその変化 ★
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和食はそれぞれの時代の人々が海外の影響を受けながら、工夫を
重ね、伝承されてきました。

●稲作と大饗(だいきょう)料理の定着
 縄文時代はドングリなどが重要な食料であったが、弥生時代に
 稲作が全国に広がり、古墳時代に蒸し米が盛んになる。その後、
 中国の影響を受け、蒸した高盛の強飯に、魚介類を調味料につ
 けて食べる大饗料理が定着。

●精進料理、本膳料理の登場と発展
 鎌倉時代には動物性食品を排除した精進料理が発展。さらに、
 室町時代には上層階層の料理文化として、食事に儀式の意味を
 もたせた本膳料理が登場し、江戸時代に婚礼などの儀礼食(三
 々九度など)として全国に浸透。本膳には飯、汁、菜、香の物
 が盛られ、飯を主食とした伝統的な形式が定着し、酒や酒肴も
 発展。
 
●懐石形式と会席料理の成立
 安土桃山時代に千利休により茶の湯が完成し、懐石形式が定着。
 一汁三菜を基本に、素材やしつらいに気を配る精神性も盛り込
 まれ、その精神と共に現代に継承される。江戸時代には、寿司、
 蕎麦、天ぷらなどの食べ物屋、高級料理店が広がる。料理書も
 出版され、酒と酒肴を楽しむ会席料理も成立。和菓子もこの時
 代にできたと考えられている。

●各地域の日常食
 主食は麦・雑穀・芋類を用いた食事が多く、昭和期まで引き継
 がれ、各地で独自の食文化が形成される。明治以降は西洋文化
 が取り入れられ、都市部で西洋料理店が開店した。その後、家
 庭向けの料理書の出版で、西洋料理を和食に取り入れた和洋折
 衷料理がたくさん紹介された。

●栄養学の発展と洋風化
 大正期に栄養学の研究が進み、戦時期の飢餓の経験から、日常
 食に動物性食品や油類、乳製品などが取り入れられ、1980年ご
 ろにバランスのよい食事となった。しかし、その後、食生活の
 洋風化、簡便化、食料自給率低下などで若年層を中心に食事の
 基本型が崩れ、欠食や孤食の問題などもあり、和食の見直しが
 求められている。

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★ 最後に・・・ ★
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和食は世界中に広がる一方、日本国内では衰えつつあります。和
食という守るべき食文化を、次世代にどのように受け継いでいけ
るでしょうか。
感謝の気持ちやねぎらいの気持ちなどを伝える「いただきます・
ごちそうさま」など普段から何気なく行っていることも大切にし
て、遺していきたいですね。

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